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魔王様は意外と弱い

前回のあらすじ。


紆余曲折あって早速ファミリーが4人に増えた超絶美少女魔王タマちゃんは、赤マッチョ(へんたい)に何故か勝負を挑まれて大ピンチ!


でもでも、大丈夫!

私、魔王だし、めっちゃ強いらしいし!!!


というわけで、本編スタート!!!


「………はっ!」


「魔王様!大丈夫ですか!?」


「えっと…ごめん、なんで私闘技場のど真ん中で寝てるの?」


「陛下。恐れ多くもこのバカが、加減を間違え陛下を投げ飛ばしたのでございます」


「お、おい、タマちゃんどうしたんだよ!?

お前の本気はそんなもんじゃねぇだろ!?」


「リンドウ殿!!!

陛下をお前呼ばわりとは、一体どういう了見か!!!

説明してもらおうか!?」


あぁ、何となく思い出してきた。

手合わせをするために配置についた私は、なっちゃんの開始の合図と同時に宙を舞って…

…あれ、私、もしかしてめちゃくちゃ弱い…?


「まぁまぁ、へんた…リンドウさんも悪気があった訳じゃないんだし、許してあげてよ?」


「いけません。陛下。

家臣に対してそのような…」


「おいおい、そんなことより、なんでタマちゃんがこんなに弱いんだよ!?

俺を吹き飛ばした時の力はどうした!?」


「私もわかんないよぉ

そもそも、本当に強かったの?」


「…確かに陛下は一度、リンドウ殿を吹き飛ばしております。

もしかすると、魔王因子の発現条件に問題があるのかもしれません。

何か心当たりはございませんか?」


心当たり…心当たりかぁ…

そもそも私、吹き飛ばしたっていう時は寝てたしなぁ…

あっ…そういえば…


「みんなを家族って言った時、力が湧き上がるような感じがしたんだ〜

あれが、魔王因子の力なのかなって!」


「魔王様。それではよくわかりませんよ!」


「……ふむ。鑑定装置を使ってみましょうか」


「え?鑑定装置って?」


「魂に刻まれた能力――いわゆるスキルを鑑定する装置になります。

魔王因子によってもたらされたスキルまで詳細にわかるかどうかは定かではありませんが、試しに使ってみることにしましょう」


そんなもんがあるなら、最初からそれを使わせて欲しかったなぁ!?


おっと、いけないいけない。

思わず口が悪くなってしまった。




鑑定装置は持ち出し可能らしいので、シェフレラさんが取ってくる間は現時点でどの程度戦えるのかを試すこととなった。


「とりあえず、一般兵とは比べ物にならない程度には動けるみたいだな。タマちゃん。」


「それがどれくらいなのかわからないんだけど、数字に表すとどれくらいなの?」


「そうですねぇ…

リンドウ様を100、私を1とした時に、一般兵の方々は30。

魔王様は50から60くらいではないでしょうか?」


「なっちゃん自己評価低くない!?」


「いえ、そんなこともありません。

鬼人族のリンドウ様はもとより、一般兵の方々も武力に優れた種族の方々ですから」


「あ、ちなみに、なっちゃんの種族って何?

正直私魔族の種類とかイマイチ分かってないんだよね」


そう。

私目線、なっちゃんはごくごく一般的な人間の美少女のようにしか見えないのである。

人間に見えると言ったら怒られそうなのでやめておいた。

私は学習する女なのだ!


「私はエルフにございます。

人間と比べると非力な種族ですが、長命であることが特徴ですね。

一般的な個体でも700年から1000年程度は生きていますよ」


「エルフ!?なるほどねぇ〜!

そしたら魔術に秀でていたり、弓の名手だったりするの?」


「もちろんそういった方も居ないとは言いきれないと思いますが、種族的に優れているかと言われるとそんなこともないですねぇ…

基本的には長命であること以外、特段特徴のない種族です」


「エルフが居るなら、ゴブリンやドワーフって種族も居たりするの?」


「どちらも私たちエルフとの近縁種にあたりますね。

ゴブリンは力に秀でた進化を、ドワーフは技術に秀でた進化を、そしてエルフは知識に秀でた進化をした種族と言い伝えられています」


「ゴブリンは話が通じなくて野蛮なモンスター、ドワーフは酒好きの技術屋ってイメージで合ってる?」


「あはは、かなり面白い偏見が混じっているようですね。

ゴブリンの知能は確かに他種族に劣るところはありますが、社会性がないほどではありません。

ドワーフに関してもお酒が飲めるかどうかは個人によるかと」


なるほどぉ…

どうやら前世でお兄ちゃんが熱く語っていたファンタジー設定とは少し違うようだ。

でも、似ている部分もあるから、少し覚えやすくて助かるかな?


「何やら面白そうなお話をされておりますね」


「シェフレラさんおかえり!

シェフレラさんの契約の悪魔ってのは…種族?」


「ワタクシは契約を専門にしているというだけで、種族はデーモンにございます。

デーモンは種族単位でのまとまりがあまり存在せず、戦闘が得意なものもいればワタクシのような非戦闘員もおります」


「シェフレラさんも非戦闘員なの!?」


「えぇ。

戦えないことはないのですが、どちらかと言うと軍師として運用して頂く方が活躍の機会は多くあるかと」


「なるほどねぇ〜

そしたらここに居る中でいちばん強いのはへんた…リンドウさんなんだ?」


「それは状況によるであろうな。

例えば、今からワシとシェフレラ殿が正面から戦うとするならばまず間違いなくワシが勝利する。

しかし、3日の猶予を与えた上で森や砂漠といった自然の戦場で戦う場合はその限りではないだろう」


「そうですねぇ…

リンドウ殿は旧魔王軍の中でも特別規格外の存在ですから、確実に勝利できるとは申し上げません。

ですが、先程リンドウ殿の仰られた条件ならば五分以上には戦えるかと」


「ふーん、色々あるんだねぇ…

それより、その手に持っているのが鑑定装置?」


「……魔王様。結構気分屋ですよね」


小難しい話に興味を削がれた私の、次の興味の矛先はシェフレラさんが大事そうに抱えている水晶玉だった。


「えぇ。こちらがその鑑定装置となります。

繰り返しとなりますが本来の用途は魂に刻まれたスキルを鑑定するもの。

魔王因子によって決められたスキルを看破できるかどうかは定かではありません。

本来の使い方と同じであれば、お手をかざしていただければ脳裏に詳細が浮かぶことかと存じます」


「なんだかゲーム?みたいだねぇ〜」


「そのゲームとやらは分からんが、タマちゃんのスキルはワシも気になるところだ。

試しにやってみんかい」


「ほいほい〜」


私が水晶玉に向かって真っ直ぐと手を伸ばすと、水晶玉は淡く光り輝きはじめた。

体の中から何かが吸い出されるような奇妙な感覚を感じた後に、脳裏にこんな言葉が浮かんできたのだった。




【再起の祈り】


自身が仲間と認識する存在、もしくは、自身を仲間と認識する存在の数に応じて、能力を増幅する。

増幅率は対象との信頼関係、および感情的結びつきの深さによって変動する。




………つまり、ファミリーが増えれば増えるほど強くなるってこと!?

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