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「君との出会いは間違いだった」と言った僕に 君が嬉しそうに笑うから 僕はまた君を好きだと自覚させられるんだ  作者: 文月みい


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君を見つけてしまった

たくさんの作品の中から選んでいただき、ありがとうございます。

 体育館へと続く渡り廊下。


 いつもなら余所見なんてせずに、真っ直ぐに体育館へと向かうのに、何故かその日は途中で足を止めてしまった。


 ふと右側に視線を向ける。 


 少し先には何代も前の先輩達が植えた卒業記念の大木が見え、葉が生い茂って、風に吹かれてユラユラと揺れている。


(なんだ?あの女子は?これから朝会なのに、あんなところで何してるんだ?)


 木の前に立っているその子が気になり、じっと見つめると、不意にその子が僕の方へと視線を移す。


 数秒…目が合った。


 驚いた顔のその子が、次の瞬間、小さく笑みをみせたが、僕にはそれが何故か泣いてるように見えて、胸がギュッと締め付けられた。


「秋人!どうしたんだ。早く行こうぜ。」


「…あぁ、そうだな…」


 友人に声をかけられ一瞬目を離した。何とか返事をして、次にあの子が居た場所を見るが、既に居なくなっていた。


(誰だったっけ?見たことが有るような気がするけど…)


 思い出せないもどかしさに、少し苛つきながらも、朝会に遅刻しないようにと、また体育館へと歩みを進める。


「おい!秋人お前、大丈夫か!?」


 先を歩いていた友人が振り返り俺の顔を見て驚いて声を上げる。


「えっ?何が?」


 訳が分からず答える俺に、心配そうにこちらを見ている。


「何がって、お前泣いてるけど、えっ、無意識?」


 慌てて顔に手をやると、確かに涙で頬が濡れていた。


(えっ、何だこれ。何で泣いてんだ僕は…?)


 目元を擦り、両手で乱暴に流れた涙を拭う。


「さっき風が吹いたときに、目にゴミが入ったから痛くてさ。それで涙が出たのかも。」


「なんだ、そうなのか?ビックリさせんなよ」


 僕自身も泣いてるなんて、理由が分からなくて混乱する。


 気持ちを落ち着かせるために、深呼吸をしてから、体育館の中へと入った。


 最後にもう一度、あの子が居た場所を確認するが、やっぱりあの子は何処にも居なかった。


 そして、その日の朝会で、僕と同じクラスの女子生徒が交通事故で亡くなったことを知らされた。

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