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ときつねシリーズ

サバイバルゲーム、クマ、きつねの愛

作者: おおらり
掲載日:2025/12/26


 トキの同居人、きつねは『願いを叶えるおもちゃのスマホ』を持っている。スマホは、壊れている。願いは、ろくな叶い方をしない。


「サバイバルゲームか、興味あるな」

 トキはそうこぼし、ハッとしてきつねを警戒する。きつねは一緒に「サバゲーやってみた!」動画を見ている。偽物のきつね耳、きつねしっぽ、どちらも動かない。集中しているようだ。

 トキは胸を撫でおろす。



 翌朝、トキは山の中で目を覚ます。

「は?」

 山の濡れた地面にトキの布団が敷かれている。


「おはようございます、トキさま!

 やりましょう、サバイバルゲーム!」


 季節は冬のはじめだ。Tシャツにジャージじゃ寒すぎる。寒い、とこぼしかけたとき、『シャランシャラン』と音が鳴った。


 きつねは水色のワンピースに、紫と白の組み紐を斜めがけにしている。紐の先に鈴が連なっている。お祭りで子どもがかける「たすき鈴」のようだ。風もないのに「ひとりで」に鳴っている。


「何それ?」

「クマ避けです」

「なんで鳴るの?」

「近くにいます」


 パキッ……



 トキときつねは顔を見合わせる。


 ピッポッパッ 

 プルルルル…… プルルルル……


『ハイ』

「あの、クマ対策グッズをお願いします! なるはやです!」

『売れ筋商品でいいですか?』

「ハイ!」


 空から、スプレー缶が降ってきて、クマの頭に当たった。

 クマは怒る。怒ってスプレー缶を噛み砕く。

 クマの叫び声が、甲高い声になった。

 

「中身、クマスプレーじゃなさそうだぞ!?」


 クマが、ソプラノの美声で追っかけてくる。


「ひっ」

「歌ですトキさま! ほら、メガホンです! 熊は威嚇に弱いです!」

「歌である必要性あるか!?」

「ソプラノ対決です!」

「俺じゃソプラノはでねーよ!」


 トキはきつねにメガホンをつっかえす。きつねはメガホンに向かって大声で歌う。スーパーの売り場で流れるあの曲だ。

 何故……と思いつつ、トキも一緒に口ずさんでしまう。トキは音程が外れている。


 メガホンは直接、クマ耳に歌を転送する効果があったようだ。

 ふたりの歌で、クマは倒れる。


「トキさま お歌、下手だったんですね……」

「いっそ殺してくれ……」

「それはできません なんのためにきつねがいると思ってるんですか!」

「え、なんのために居んの?」

「トキさまを幸せにするために決まっているじゃあないですか! どーん!」


  ペシっ 


「なんで叩くんですか!?」


 クマは、お騒がせもののクマだったようだ。

 ふたりは市から表彰された。

 布団はダメになった。


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