ファミリーの協力
「何故ですか?」
ピノキオは腹黒に、強気で問いかけた。
「何故か?それは消費者庁が、ル・ビトンから大金の賄賂をもらっているからだ」
腹黒は意地悪そうに言った。
「じゃあ、そのことを東京地検特捜部に言いますね」
ピノキオは、負けじと強気に言い返した。
「証拠は?あなたは、その証拠をどこに持っているんですかー!?ハハハハハ!!」
腹黒は、意地悪そうに高笑いした。
すると、ピノキオは泣き始めた。
「…ぐすん…」
「アハハのハー!泣け泣けー!!ハハハハハ、ハーハハハハハ!!!」
腹黒は、さらに笑い続けた。
ピノキオは、これ以上ここにいても無駄だと思い、無言で庁舎を後にした。
帰り道、彼女は国会議事堂の前を通った。
ーどうせ国は、貧困に喘いでいる人たちのことなんて、ちっとも考えていないんだわー
そう思いながら議事堂を通り過ぎ、王国ホテルへと戻った。
「お帰り。どうだった、ピノちゃん?」
クロネコが声をかけた。
しかしピノキオは落ち込んだ様子で、ぽつりと言った。
「…駄目、でした…」
そして、消費者庁での出来事をファミリーたちに話した。
「私、おかしいことをおかしいって言うのを、諦めるしかないのかなって思っちゃって…もう、どうすればいいのか分からなくなってきました」
そう言うと、ピノキオは号泣し始めた。
ファミリーたちは黙ったままで、部屋には彼女の泣き声だけが響いていた。
すると、Aが口を開いた。
「もう泣かなくてもいいよ、ピノキオ」
ピノキオは泣き止み、顔を上げた。
「Aさん…」
「大丈夫。何があっても、みんなピノキオの味方だ。じゃあみんな、次のターゲットはル・ビトンでいいね?」
「はい!」
ファミリーたちは、やる気満々で答えた。
こうして彼らは王国ホテルをチェックアウトし、拠点へと戻った。
「おー!久しぶりだなあ!!」
スピルバーグが嬉しそうに言った。
「まあ、1年ぶりだからね」
クロネコも微笑んだ。
そしてファミリーたちはオフィスで、作戦会議を始めた。
「まず、作戦を立てよう。何かいい案はあるか?」
ポンジが問いかけたが…
「うーん…」
誰もすぐには思いつかなかった。
「じゃあまずは、ル・ビトンに関する最新ニュースを集めよう」
そう言って、全員がパソコンで検索を始めた。
しかし…
「ワニ革製品の販売に関するニュースしか出てきませんね…」
ピノキオは困ったように言った。
するとクロネコが尋ねた。
「ピノちゃん、それ、何で検索してるの?」
「え?ヤハーニュースですけど…」
「だから駄目なのよ。私は文秋オンラインで調べてるから、ほかの情報も出てくるわよ。ほら」
クロネコは、画面を皆に見せた。
ール・ビトン、茨城県石岡市に工場新設予定ー
「え、本当だ!?」
ピノキオは驚いた。
「でしょ。じゃあ、茨城県石岡市に何があるか、調べると…ほら。」
ーダチョウランドー
「ダチョウランド?何ですか、それ?」
「日本最大級のダチョウ観光牧場よ。でも、2020年のコロナ禍の影響で閉園したの。これがどういう意味かもう分かったわよね?」
数秒後、ピノキオの顔色が変わった。
「…ダチョウの革を、製品に」
「そういうことなの。これはあくまで推測だけど、火に油を注ぐから公表せず、内密に進めてたんだと思うわ」
クロネコは、さらに詳しく説明した。
「じゃあ、その情報を元に作戦を立てていこう。次に、どこの業界を狙おうか?」
ポンジはファミリーたちに問いかけた。
「まず銀行は、もう決まっていると思うから駄目だ。不動産も、建設予定地がすでに決まっているから駄目。となると、残るのは後々契約が行われる保険会社だ」
ニコラは冷静に説明した。
「じゃあ、保険会社に入社する形でいこう」
ポンジはそう言って決断した。
「待って下さい。前回は、たまたまみずなフィナンシャルグループが横浜に繋がりがあったから良かったですが、今回はル・ビトンがどの保険会社と契約するか分かりません。まずはル・ビトン側から情報を入手し、その保険会社を特定してから入社する必要があります」
ピノキオは的確に指摘した。
「そうだな。じゃあまず、ル・ビトンジャパンの社員と繋がりを持って情報を入手する。その後、その保険会社に入社し、ル・ビトンと契約する際に、うちの口座へ振り込ませる。そして、新設される工場については、ヘルメスのファミリー以外から実行役を見つけ、放火させる。最後に、その事件を理由に保険会社を退社する、これでいいな?」
ポンジはファミリーたちを見回した。
「はい!」
「じゃあ、みんなでル・ビトンをぶっ潰すために頑張ろう!!」
ポンジは希望に満ちた声で言った。
一方、警視庁では深夜まで本部会議が行われていた。
「じゃあ、手口班」
山岡が指示を出す。
「はい、古賀です。ヘルメスは、融資取引の際に企業連合が提出した各口座の情報を利用し、別の銀行口座へ資金を移しています。その後の融資金の行方は不明です、以上」
「じゃあ次、犯人特定班」
「はい、宇佐美です。5つの銀行に勤務している銀行員のうち、企業連合の口座情報にアクセスできる人物は134人。その中で、特に怪しいのは13人です、以上」
宇佐美はハキハキと報告した。
「じゃあ最後に、世論班」
「はい、高木です。ツッターでは、事件報道を受けて、「ヘルメスは貧しい人々の味方だ」という意見と、「ヘルメスは極悪な詐欺師だ」という意見に大きく分かれています、以上。」
「これで今日の本部会議は終わりにする。
残りたい者は残って構わない。では、解散。」
山岡の一言で会議は終了し、ほとんどの職員は帰宅したが、数人は席に残った。
「はあ…なかなか見つかりませんね、犯人」
ニコラは疲れた様子で言った。
「仕方ないだろ。今回の詐欺グループは、かなり手強い」
山岡も同じく疲れた声で応じた。
「じゃあ、もう諦めるしかないかあ」
切野は半ば投げやりにそう言い、黒木から渡された書類をペラペラとめくり始めた。
すると…
「あれ?この書類、何かおかしい…」
「だから、四井墨共銀行やバンキング・オブ・アメリカにも何度も問い合わせたけど、事件性があるような情報は一切ないって…」
「いや、そうじゃなくて…。
この書類、加工されています」
切野は、ついに書類に隠された秘密に気づいてしまったのだった。




