第1話「運命(前編)」
はじめまして!ハイチュウ信者というものです!これが初投稿となりますが、僕なりにも結構力を入れてみた作品です!展開もかなり考えて作っているので、気軽に楽しく見てくれると嬉しいです!では、記念すべき(?)第1話です!
“…ごめん。アキ。”
運命は自分で選ぶことはできない。定められた運命に左右されながら「幸せ」も「悪夢」も掴んでいくんだろう。でも、それを分かっていても運命という残酷な現実が、僕は嫌いだ。あの時なんで ”僕” が選ばれてしまったのか。僕は運命について、もう少し理解したい。いや…
“理解しなきゃ、死ねない。”
2020年4月24日22時37分。東京渋谷の中心から謎の植物が東京を侵食した。謎の植物は1時間で東京のほぼ全てを覆い、災害史上過去最高の死者数を確認した。1358万人。1時間でこれだけの人が死ぬのは世界初だった。なぜここまで死者が多いか。それは植物の性質にあった。この植物は「人間を狙って殺す」という性質があったのだ。そのせいで逃げようとした人も、抵抗しようとした人もやられたのだ。
人間はこの植物を「殺人植物」と呼んだ。もはや日本だけでなく、この問題は世界のほとんどの国が迅速に対応するべきだと判断した。
そして時は経ち2024年の春。災害から4年が経った。
日本政府は「殺人植物の抹消」を目標に掲げ、「殺人植物特殊殲滅隊(Murder Plant Special Extermination Team)」
通称「MST」を結成した。
そして時は経ち…2025現在。
“ガサッ…ガサッ…ガサガサッ…”
カイ「…今日も、収穫無し…か」
1人の少年は動かない植物の中を漁っていた。
貪欲に、じっくりと、1箇所ずつ漁っていた。
カイ「仕方ないか。朝になると太陽で動きが活発になる。早めに出よう。」
そう言うと少年は道具を直し、来た道を思い出しながらゆっくりと歩く。何分か歩いてると生き物の鳴き声が聞こえた。
“ワンッ!ワンッワンワンッッ!!”
カイ「こら!吠えちゃダメって言っただろカスパル!?」
カスパル「クゥン…」
カイ「でも1人にさせてごめんよ、お前にはあそこは危険すぎるからさ…」
カスパル「クゥン??」
カイ「ははっ!やっぱりお前といるとほんとに安心するよ〜!俺の唯一の家族よ!」
カスパル「ワンッッッ!!!!!」
2人は小屋の中に入って、残しておいたと思われる缶詰めの中に入ってた肉を皿に移した。
カスパル「ワンッ!!♫」
カイ「まぁそう焦るなって〜♫肉は逃げないし、この俺の手の中にある限り、消えたりなんかしない!」
カスパル「ワンッ!ハァハァ…ハァハァ…」
カイ「よし!これで半分だ!食っていいぞ!」
カスパル「ワッッオーン!!」
カイ「さて、じゃあ俺も食べようか…」
そう言ってカイも自分の分を口の中に入れようとした時だった。
カスパル「クゥン…」
カイ「…ん?……え、もう食べ終わったのか…?」
カスパル「ワン…」
カイ「うーん…まぁこんな1口くらいの量しかないもんな…」
カスパル「クゥン…クゥン…」
カイ「…まぁ、いいか」
そう言うとカイはカスパルに自分の分を渡した。
カスパル「ワァンッッ!?」
カイ「いいんだ!俺はいつでも盗みにいけば取ってこれる!また調達するから食え!」
カスパル「ワンッ…!!!」
カスパルは夢中になって食べる。
カイ「いやぁ、懐かしいよな。1年前に初めてお前と会った時に、俺が食べてるカルパスをずっと見てきてたから、あげたらものすんごい喜んでたよなぁ…だから ”そんなにカルパスがすきならカルパスをいじってカスパルだ!” って名前付けたよなぁ…」
カスパル「ワンッ!」
カイ「そうそう!そんな感じでカスパルって呼ぶとめっちゃ吠えてたよなぁ!」
そんなふうに昔の話をしていた。その時だった。
カイ「…?」
カイは何かを察知した。
カイ「カスパル、静かにしろ。足音が外から聞こえる。」
カスパル「?」
カイは外で少し聞こえる会話の声をよーく聞き取ろうとした。
市民「恐らく…ここの辺りですわ!毎回この山までにげるんですの!考えられるとしたらここしかないでざます!」
警官「わ、分かりましたよ…(ざますが語尾…?)」
警官と思われる人物が近づいてくる。
カイ「(まずい…裏口から逃げなきゃ…)」
そう言うとカイは裏口から静かに抜け出し、ドアを閉める時も慎重に音がならないように閉めた。
そして警官はドアを開けた。
警官「…やっぱり誰もいないか。」
市民「そんなことないですわ!もっと調べるでざます!」
警官「いや、居ないですって…」
カイ「(今、小屋しか見てない…逃げるなら…今!)」
カイは大人2人が小屋を見ているうちにゆっくりバレないように、大人2人の後ろに回りこんだ。だが、運命は味方をしてくれなかった。
“ポロッ”
大人二人が小屋を漁っていると、さっき食べていた肉の食べ残しが落ちてきてしまったのである。カスパルはそれを見つけてしまったのだ。
カスパル「ワンッ!!!!!!」
警官「ん?」
市民「い、い、いたぁぁあぁぁああああ!!!」
カイ「くっそ…」
カイはカスパルをつれて全力で走り出した。だが、後ろから足音が聞こえる。
カイ「くっそ…やばい。どこかで分断出来れば…」
警官「待ちなさい!君!まだ未成年かい!?」
その時、カイの頭にはある場所が浮かび上がった。
カイ「そうだ…!あそこを使えば…!!」
そう言うとカイは方向を変え、速度をあげる。
警官「くっそ、小賢しい真似を…!」
そしてカイはとある場所の目の前まで来た。
カイ「よし…ここなら!」
警官「はぁ!?殺人植物要警戒エリア!?」
カイは躊躇なくフェンスをよじ登り、殺人植物要警戒エリアに侵入した。
警官「どれだけ危険なことをしているのかわかってるのかね君は!!!戻ってきなさい!!!」
警官の言葉は次第に遠くなっていった。そして聞こえなくなってもカイは無我夢中で走っていった。
だがその時、カイの走っている先に大きめの穴があったのだ。
カイ「えっ…!?うぁっ!!!」
カイは目を離していたせいで、その穴に落ちてしまったのだった。
第1話「運命(前編)」
続く
カイが逃げ込んだ先は、殺人植物の要警戒エリア…!そんな危険な中、カイは穴に落ちてしまう!!
次回!さらなるピンチが立ちはだかる!
次回をお楽しみに〜♫