表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

訪問者たち

「はい!今日もやってきました!え〜… 今、夜中の2時ですね。今僕たちがいるのは、殺人があった後、人がいないはずなのに声がするとか、居るはずのない人影を見たなど数々の心霊現象が起きると言われている曰く付きの家になります。さっそく家の中に入ってみたいと思います」


「僕たちのコンセプトは「相手が霊であっても敬意を払う」です。やっぱりね、相手はもともと人間ですからね、失礼のないよう接したいと思います」


「失礼します!僕たちは心霊現象を撮るためにキチンと家主さんに了解を得てこちらに伺わせてもらってます!よろしくお願いします!YouTuberのライアンです!お邪魔します!」

「タイガです。お邪魔しまーす」

「ウサコでーす。お邪魔しまーす」



「…うわ、この箪笥…。1、2、…引き出しが7つありますね。開けてみましょう。何か包みが入っていますね…タイガ、カメラまわして!」

「オケ」

「すみませ〜ん。ここ撮らせて下さ〜い」


「……なんかさっきまで人が暮らしていた雰囲気がありますね…」

「ここって寝たきりのお婆さんをお爺さんが殺して、お爺さんはそこで首吊って死んだんだって」

「えっ!こわ!ちゃんと手を合わせとこ」







 。。。




 おっと…失礼しました。

 …この若者等に集中していまして、気づくのが遅くなりました。



 それに今夜の雨。

 雨音は外の音を遮断してしまいますからね。もちろん中からの音も…ですが。




 こんばんは。

 恐怖の語り部、菊池彼岸と申します。



 私の住む家は、高い三角屋根にアールの窓や、嵌め込みの大きなステンドグラスがある古い洋館なのです。

 素敵でしょう?

 しかし古い家なりの大変さがありましてね、雨の日は湿気のせいで木枠が歪んで窓が開かなくなったりするのです。

 まあ、それも味わいとして付き合っておりますが。


 古い洋館というのは、側から見たらとても興味がそそられるのかもしれません。



 …ですので、よくイタズラでチャイムを鳴らされるのですよ。


 人が住んでいようといないとお構いなし。

 こちらの都合など、考えてはいただけないようです。


 ほら、また今も…



 そうだ。

 今夜はこちらの話にしましょう。



 今宵の恐怖、貴方のお気に召すと嬉しいのですが。


。。。




 最近、霊に対して真摯に向き合っているとか、敬意を払うとか、丁寧に話していれば必ずわかってくれると言う人がいますが、残念ながらそれはありえません。

 それは自分たちの都合の良いように解釈しているだけの事です。



 わかりやすく例えましょうか?



 生きた人間と同じならば、マフィアに同じ事をしても無事に帰って来れると思いますか?礼儀作法を守れば許されると?言葉が通じると?



 この世に留まる霊たちは、あの世に行けない、もしくはあの世に行く事を拒んでいるような方々です。

 その方たちは礼儀など通用しないのですよ。



 その結果どうなるか。


 どんな事態を招くか…




 先程のYouTuber。 

 困った事に彼等はまだ気づいていないのです。




 すでに自分たちはこの世に生を持つ者たちを脅かす側に立っているという事に。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ギャーーっ!? 箪笥ぅっ!? それ絶対ヤバいヤツぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ! ……………………死んだな、コイツら。
[良い点] うわぁん!(;´Д`) 箪笥ー! ソイツは開けちゃダメなヤツー! [一言] …っても炎上系YouTuberっぽいから自業自得か、って見てたら、あ! そういう!?Σ(゜Д゜) てか彼岸おじち…
[良い点]  彼岸さんの仰るとおりだと思います。  こちらの常識は通用しないと考えるのがセオリー。君子危うきに近寄らずです。自分では絶対に近付きません。でも怖いもの見たさで動画は観ちゃうのですが……。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ