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第一話 転生即バレ 悪役令嬢の事情聴取

「お嬢様!危ない!」

町を視察しているお嬢様に突如襲い掛かる暴漢

俺はお嬢様の盾となり他の護衛と共に応戦していたが、暴漢のうちの一人に鈍器で頭を強く叩かれて意識を失った。



ベッドで上で目を覚ました時、私は前世の記憶を取り戻した

私の名前は戸津川奏多とつがわかなたでしたが、それは前世の名前

今の名前はラインです。

私は乙女ゲーム【セイントテイル】の世界に転生していると思われる。


前世の私は乙女ゲームセイントテイルにはまっていた大学生だった。

元々このゲームは姉に勧められてやってみたゲームだったが、シナリオだけでなく

対戦アクション要素を求められる場面がいくつもあり、シナリオそっちのけて私はそっちの方面にはまっていた。


どうやら姉も対戦アクションにはまっていたようで対戦相手を求めていたらしい。

ただの乙女ゲームにオンライン対戦なんてものはなく、オフライン対戦しかなかったのだ。

ある日、ちょっと離れた所でセイントテイルの対戦会が開かれると知った私たち姉弟は車で会場に向かっていたが

その道中で信号待ちをしていると、突如後ろから大きな衝撃が車を襲った。



私の記憶はそこまで。そこから先は…覚えてない、分からない。

恐らくトラックか何かが後ろから突っ込んできて私は即死したのではないか…と思われる


可能であれば、姉だけでも無事であって欲しいが助手席に座ってた私が即死してしまうくらいだから…

そして私はシナリオは一度だけ読んだ程度の浅い知識で転生してしまったようだ。



今、私のベッドの隣で椅子に座っているお嬢様

名前はヴァイオレット

私はクールな性格と見た目が一番好みだったのでよく使っていたキャラクターだが

何もしなくても辿り着くメインの王子ルートか、逆ハーレムルートになると婚約破棄されて闇堕ちし、

ラスボスになるお方だ


そして私はヴァイオレットの側近ライン

…ということは、闇堕ちした場合はヴァイオレット戦の前哨戦で戦って死ぬ可能性が高いのか?


とりあえず、死にたくないので当面の目的はヴァイオレットの様子を見つつ誤った道を進んで闇堕ちさせないことを目標に

できる限りのサポートしていこう。

まずは、闇堕ちする原因をよく思い出して

「ライン、ようやく目を覚ましたの。」


ダメだ、今は考えている余裕はない。とりあえず流れに乗ろう


私は素早くベッドから起き上がり床に降りて跪いた

「お嬢様、心配おかけして申し訳ありません。」



・・


・・・


沈黙が部屋を支配する

焦りで回答をミスったのか私は

「いつもと様子が違うわね。頭を殴られた拍子に前世の記憶でも思い出したかしら?」

なんだって…


「二人きりの時はヴァイオレットと呼ぶように言っていたはずよ。」

そうだったっけ?いや、もしかして覚えてないだけか!?


「も…申し訳

「嘘よ、私をヴァイオレットと呼んでいいのは王子ただ一人。」

もうダメだ、ヴァイオレットが最強すぎる。

どうやっても手玉に取られる気がする。


「ただ、今の貴方には少し興味がある。二人きりの時なら特別にそう呼んでもいいわ

 今の貴方、少し面白いもの。


 そ れ で 、

 貴 方 は 何 者 か し ら ? 」



私は知っている情報を全てを話すこととなった

自分が前世の記憶を持っていること

これがゲームの世界であり、未来に何が起こる浅い情報

ヴァイオレット様が闇堕ちして世界の敵になる可能性があること



「王子が私と婚約破棄して平民と?それも隣国の王子や担任の先生等を含めた逆ハーレム?

 そして私が闇の力に魅入られて世界の敵に?馬鹿馬鹿しい。

 そんな事おこるはずがない、とも言い切れないわね」


ヴァイオレットは腕を組み顎に人差し指を当てて考えている。


「過去に今の貴方みたいに前世の記憶を持った人間が現れて洗脳魔法で

 何か国も崩壊させた悪女がいたという文献を読んだことがあるわ。

 貴方の逆ハーレムルートなるものと状況が酷似している。」

ヒロインは転生者説濃厚!首切って終わり!閉廷!以上!皆解散!


「ただ、ヒロインを事前に亡き者にするのはリスクが高いわね

 もし本当に聖女に覚醒するならば無視できない

 国にとっても、聖女という存在に力がある」

聖女に覚醒して遠距離は魔法、近距離は杖振り回せるようになるやつね

遠距離が強い代わりに近距離も強い万能ヒロインだったな


「私だけ話していてもつまらない。貴方の意見が聞きたいわ

 …私はシナリオ通り進むべきだと思う…?」


ヴァイオレットは全ての見抜くような鋭い目でこちらを見る


「…し…シナリオ通りに進んだ場合はヴァイオレット様が婚約破棄される確率は高いと思われます。

 そしてそれは私の死にも繋がり、ヴァイオレット様も…


 それだけは絶対に回避したいと私は思っています。

 できることならば、私はヴァイオレット様が幸せを掴める選択をして欲しい

 幸せを掴んでもらえるなら、どのような選択をされても構いません。


 なぜなら、私はヴァイオレット様が好きだから…。」


「あら、二人きりの時なら呼び捨てで構わないのに

 それと、

 本当に王子に婚約破棄されたときのために貴方をキープしておきましょう

 今まで出会ったどの人間よりも面白いし

 面と向かって私に告白した 初めての人 ですもの」




…ん?私は今、勢い余ってヴァイオレット様に告白…し…た…

恥ずかしさで私の顔が熱くなってきているのを感じる

そんな様子を様子の私を見てヴァイオレット様はクスリと笑いながら椅子から立ち上がる


「フフ、今日はここまでにしましょう

 一度情報を整理して明日また話し会いましょう。貴方も病み上がりできついでしょう?」

確かに、急に起き上がったからかフラつくし少し頭痛もある感じがする。


「最後に一つ、貴方の前世の名前はなんていうの?」


「と…戸津川奏多といいます。」


「トツガワ・カナタ…ふむ。

 今日から二人きりの時に貴方をカナタと呼びます。

 貴方も明日までに二人きりのときはヴァイオレットと呼べるようにしておきなさい」


ヴァイオレットはそう言って部屋を出て行った


私もベッドに戻って休もうと思ったが

さっきの告白を思い出してなかなか眠りにつけなかった。


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