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別れ

(この町、栄えているはずなのに人通りが少ない。)


「飯屋があるぞ!うまそうな匂いがする」

店のスイングドアから中を見渡しながら言った。


「お、兄ちゃん達。嬉しい事言ってくれるじゃねえか。飯食ってくか?」


「あの、すみません!僕達、道中でお金を盗まれて手持ちが無いんです、、失礼しました!」

フレイの手首を戒めるように軽く引っ張る。


「おい!待ってくれ、兄ちゃん達よお!今はあまり外に出ない方が良い。俺の昼飯の残りで良ければ無料で食わしてやるよ」


「まじか!食ってもいいのか!」

「良いんですか??」


「おお!適当に座れ!」


「ありがとうございます!」

「よっしゃぁ!食うぞ!!」


「へいお待ち!羊丼だ!」


「うんまそう!!!いただきます!

この肉すげぇ柔けえよ!」


「ほんとだ!美味しい!!」


「ははっ!だろ!お前さん達見てると作った甲斐があるよ!」

「ところでよお、兄ちゃん達、旅人か?この町は今少々危ねえんだ。なんでも、山の上にあるミクサーズ牢獄から脱獄した奴らがいるらしいんだよ。今、各地に指名手配書も張り出されている。」


そう言うと店主は、厨房の奥から指名手配書を2枚持って戻ってきた。


「これだよこれ。1人は、20年前の悪魔の集団無差別殺人事件の主犯格の子供、『トレトン・ラビリス』もう1人はその仲間の『フレイ・ディナイパー』」


手配書には2人の顔写真と【情報求む。この顔を見たら、宇宙情報局へ】という一文が添えられていた。


(僕達の親?20年前の集団無差別殺人事件?)


「悪魔の集団無差別殺人事件ってなんの話だ?」


「知らないのかい?20年前に帝国の首都が突然、炎や氷に包まれたり、建物が前触れもなく崩壊した事件の事だよ。後から怪しいカガクヘイキ?やらを使った殺人集団が犯人だった事が分かったらしいんだ。あの恐怖を人々は胸に刻むために『悪魔』と呼んだんだよ。お前さん達はまだ生まれて無さそうだしな!知らなくてもしょうがねぇ!」

「宇宙情報局が動くぐらいだ。気を付けろよ!」


「そ、そうですね。気を付けます。」


「まさか、お前さん達がこの2人じゃないだろうな??」


(まずい、、、どう答えよう。フレイは何で何も言わな、、、ってまだ食べてる!!!危機感持てよ!)


「がははは!そんな訳ないよな!こんなに飯をうまそうに食べる奴らに悪い奴はいねえ!」


「はっ、はい、ははは。僕達に悪い事なんて出来ませんよ、はは」


「おっちゃん!ありがとよ!美味しかったぜ!俺達はもう行くけどよ、もし悪党にあったら、おっちゃんの店には手出すなって言っとくからよ!」


「もう行くのか?そりぁ有り難えが、気を付けろよ!」


「おお!俺達の故郷の奴にも勧めておくぜ!じゃあな!」


2人は店を出て、再び歩き始めた。

「フレイ、これからどうする?」


「俺はファイターになる為に外に出たんだ。無法地帯を目指す。その為にまずは、船か飛行船が必要だ。ミクサーズで一通り仕組みは理解したけどよ、作り方は分からねえ。だから本屋で作り方が書いてある本を探す。それともう一つ、やらなきゃいけない事が出来たんだ。トレトンはどうすんだ?」


「僕は………」

数十秒の沈黙が走る。


「おいおい、俺達の仲だろ?遠慮すんなよ。お前にはお前の目的がある。ここで別れても、終わりじゃねえ。」


「ああ……フレイ、俺は手紙の人を探しに行く!急がないといけないんだ。フレイ、これだけは忘れないでくれ。『人の言葉の偽りを見抜く』この世界には、僕達が知らない事だらけだ。僕達自身の出生すら分かっていない。そこに付け入る人は数多くいる。ミクサーズもそうだった。世の中を疑うんだ!」


「ぶはは!トレトンらしいな!分かってるぜ。もう騙されるだけの俺達じゃねぇ。俺の道を信じ抜いてやるよ!」


「「それじゃあ、俺達(僕達)の道の先でまた会おう!」」


フレイはこの町に残り、トレトンはこの町を出て、旅を再開した。






Dear トレトン・ラビリス

From


元気に過ごしていますか?私は、ずっと南の国で穏やかに暮らしています。

トレトンに手紙を送るのは初めてですね。私の命はもう長くありません。ですので、最初で最後の手紙です。どうしても伝えたい事があるので、手紙を出しました。

まず一つ、ミクサーズから逃げなさい。二つ目、君は頭が良いです。大きな野望を持つかもしれません。しかし、身近な大切な人のために力を使いなさい。三つ目、人の言葉の偽りを見抜きなさい。この世の中は間違えだらけです。もちろん真実もありますが、それは君が向き合って判断しなさい。そして最後に、君が生きている事を誇りに思いなさい。何が起ころうとも、君を愛する人がいる事を忘れないでください。

トレトン・ラビリスよ、愛しています。


悲しいです。

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