サンタクロースがうちに来た
2007年12月24日
夕方の6時
母さんが夕食の七面鳥を焼いて、父さんが木に飾りつけをしている。
そう、今日はクリスマスイブ。
恋人と食事に行ったり、家族とイルミネーションを見に行ったりしている人が多いことだろう。
え、俺はなにやってるかって?
ひたすらボールを壁に当てて修行してます。
そんな冗談はさておき、俺はあの(父の涙)事件の1ヶ月後、母さんが買ってきた赤子用の教材で英語の勉強をしている。
前世では英語はからっきしだったが、子供の頭の吸収力とは凄まじいもので、どんどん単語を覚えていっている。
もちろん、日課の壁当ては毎日している。だけど最近じゃ、慣れた赤ちゃん用のオーボールじゃ物足りなくなってきてしまった。
(はぁ、どっか赤ちゃんでも持てそうないい感じのボールないかなぁ)
一方その頃、クリスマスツリーの飾りつけをしていた龍平はクリスマス当日のことを思い浮かべながら浮かれていた。
(よしクリスマス当日の計画を改めてダメなとこがないか確認しよう)
そう言って頭の中で計画を思い浮かべる。
1.朝食の時に抜け出して外に出る。
2.あらかじめ車のトランクに用意しておいたサンタの衣装を着る。
3.外壁をよじ登り、庭から家に入る。(紗子には伝えてある)
4.事前に打ち合わせしておいた紗子が騒ぐ。
5.サンタが言いそうなセリフを言いながら、プレゼントを渡す。
6.幸司が喜んで抱きつく
(パーフェクトだな)
「龍平さ〜ん、飾りつけ終わったならお皿並べるの手伝って」
「…わかった」
急いで飾りつけを終わらせた龍平は、紗子の手伝いに向かう。
その足取りはいつも以上にかるかった。
2007年12月25日
クリスマス当日早朝
親子3人で朝食を食べていると父さんが、いつのまにかいないことに気がついた。
(こっわ、父さん忍者かなんかかよ)
そう思いながらも食事を続けていると
"コンッ"コンッ"とガラスを何かが叩く音が聞こえた。
(なんだこの音?)
その方向に顔を向けてみると窓の向こうに"ソイツ"が庭のガラスのドアを叩いていた。
全身赤い服を着て、特長的な長い白髭、頭には大きな三角帽子、そして手には白い袋を持っていた。
そうその正体は
(サンタクロースだっ……………てはならんでしょ、どう見ても父さんじゃん)
そんなことを思っていると、母さんがサンタクロース(父さん)をドアを開けて招き入れていた。
「キャァー、コウちゃん見てサンタさんよ、サンタさん」
母さんがわざとらしく声を上げた。
(ははぁ〜ん、母さんもグルか)
そう思いながら冷めた目でその茶番を見ていた俺だが、サンタクロース(父さん)が声を掛けてきた。
「…幸司くんは、今年一年いい子にしてたかな?」
(父さん…喋るなら、もうちょいサンタに声質寄せていけよ)
そう思いながらも頷く俺、その様子を見てサンタクロース(父さん)は続けた。
「そんないい子の幸司くんには、ワシからプレゼント遠あげよう」
そう言って白い袋からプレゼントを出そうとした瞬間
"ピンポーン"
インターホンが鳴った。
母さんが出てみたら警察だった。
後で警察来た理由を知った俺はめちゃくちゃ呆れた
(サンタクロースの演出の為に外壁登ったのを近所の人に見られて通報されたって……何してんだよあの人は)
ちなみにクリスマスプレゼントは、色んなボール詰め合わせだった。やったぜ