初めまして、父さん母さん
(ふぅ、ほんとにここは真っ暗だけどポカポカですごく落ち着くな。)
時は遡ること数ヶ月まえ、あのクソ神のせいで転生することになった俺は、この真っ暗の周り水だらけ中数ヶ月間(最初の頃は日数を数えてたがめんどくさくなってやめた)放置されていた。
(まあ、俺はずっとこのままでもいいけどなここ居心地いいし)
呑気にそんなことを思っていた。だが別れというのは、唐突なものだった。
(今日もいつも通りのんびり過ごそ……うん?なんかおかしぃぃぃなにかにぃぃぃ引っ張られるぅぅぅ)頭から引き込まれる感覚が俺を襲った。
(嫌だ、俺はまだここにいたい)精一杯争ったが、そんな努力虚しく、自分が数ヶ月過ごしたマイホームから引きずり出されてしまった。
「おんぎゃぁ、おんぎゃぁ」
引きずり出された衝撃で泣いてしまった。そして突然の浮遊間、俺は誰かに抱き抱えられたらしい。
「五十嵐さん。生まれましたよ元気な男の子です」その声と共に俺抱き抱えていた人物は誰かに俺を手渡した。
「はぁはぁ、初めましてあなたのママですよぉ」
「おお!この子が俺の息子か、初めましてパパでちゅよぉ!」
近くで男女の声がした。俺を受け取った女性は、運動した後のように息も荒く苦しそうなこえだった。だけどその声を聞いているだけですごく落ち着く。男の方は鼻息を荒くしていてうるさい。
(ママ?パパ?あっそうか俺、転生したんだった。じゃあこの男女は父さんと母さんで、息が荒いのも俺を産んだ後だからか、納得納得)一人で勝手に納得した。
「名前はもう決まってるんですか?」助産師さんが質問すると、母さんが嬉しそうに言った。
「名前は幸司。五十嵐幸司です。」それを補足するように続け様に答えた。
「幸せを、司ると書いて幸司です」
(五十嵐幸司かぁ、めちゃくちゃいい名前じゃん。父さん母さんこれからよろしく、でもちょっと疲れたから少しだけ寝るね、おやすみ)
「うふふ♪」
紗子は、自分の腕の中ですやすやと眠っている可愛い息子、幸司を見ながら微笑んだ。
「やっぱり自分たちの子供は可愛いいな紗子」
紗子の夫、五十嵐龍平はそう呟きながら幸司の頭を撫でた。
それを見た紗子は、笑いを堪えるのに必死だった。いつも寡黙で朴念人な夫が、我が子の前ではこんなにデレているなんて、とうとう吹き出してしまった紗子を見ながら頭にクエスチョンマークを浮かべてる夫と安心した顔してすやすやと眠っている我が子を見て呟いた。
「幸せだなぁ」