神との邂逅
俺、佐藤哲郎35歳。親が早くに他界し遺産で自堕落に暮らしている無職だ。そんな無職の俺にも趣味があるそれは野球観戦だ。こんな奥深いスポーツは見たことない。まあ実際にはやったことはないが。
そんなことを思いながら、近くのコンビニまで歩いていると。子供の甲高い叫び声が聞こえた。あたりを見回すと俺より一回り大きい男が、小学生でも低学年くらいの男の子を車に連れ込み拐おうとしていた、周りを見たが俺しか助けられる人間はいない。急がないとと思い、駆け出し助走をつけてその男の横っ腹にドロップキックをお見舞いした。男がよろけたのを確認して男の子に声をかける。
「今のうちに早く逃げるぞ。」そう言って泣いていた男の子を担ぎながらその場を離れようとしたが、誘拐犯に足を掴まれた。「よくも腹を蹴ってくれたな、ぶち殺してやる。」憤怒の表情を見せながら言う誘拐犯。二人で逃げるのは無理だそう思った俺は、男の子を下ろし誘拐犯と取っ組み合いながら叫んだ。
「逃げろ!他の大人を見つけて助けを呼んでくれ。」
「でっでもおじさんが」
「俺のことはいいから早く行け!」
そう言うと男の子は躊躇いを見せながらも逃げてくれた。
それから10分ほど誘拐犯と取っ組み合いを続けていると、パトカーの音が聞こえてきた。頭に血が上った誘拐犯は、「お前だけでも、殺してやる。」そう言ってポケットから折りたたみ式のナイフを取り出し、俺の丁度心臓あたりを刺してきた。"グサ"
刺した誘拐犯は頭が冷めたのか顔を青褪めながら車で逃げてった。
刺されたところから血がどんどん出てくる痛い。
だかだんだんと痛みがなくなって意識が混濁としてきた。後悔ばかりの人生だった。だが一番の後悔は、
「野球しとけばよかったな。」そう最後に言い残し
意識が途絶えた
―――――――――――
「起きろ」
なにか声がしたような、気のせいか。
「気のせいじゃない早く起きろ!」
その何者かの大声で意識が覚醒した俺はゆっくり目を開けた。
真っ白な部屋中央に神々しい光を発しながら椅子に座っている小太りのおじさんの姿があった。
「やっと起きたか、まったく」
そう言いながら首を呆れたように横に張る小太りのおじさん。
(一旦深呼吸して落ち着こう、すーはー)
「質問していいですか?」
「いいぞ」
「あなたは誰ですか?」
「私はお前らの世界じゃ神と呼ばれている者じゃ。」
「神…様?」
「そうだ」
(これは現実じゃない夢だ悪い夢を見てるんだ)
(夢じゃないぞ)
軽い現実逃避をしていたら直接頭に話しかけてきた。
「ここはどこですか?」
「魂の終着地点、死後の世界だ」
「…俺は死んだんですか?」
「死んだ」
(そうか、俺死んじゃったのか)
「あの男の子はどうなったんですか?」
「心配するなちゃんと生きている」
「よかった、ちなみに誘拐犯はどうなったんですか?」
「ああ、あいつかあいつは捕まって今頃塀の中だお前を殺した罪+余罪がたくさんあってな向こう30年は出てこれまい」
(ザマーミロ)
「これから俺どうなっちゃうんですか?」
「結論から言うと転生する、それも違う世界に」
「転生?なんで俺が」
「説明するとながくなるんだが」
そう言ってとぼとぼと説明し出した神
「私たちの仕事は地球上の全ての生命の寿命を管理するのが仕事なんだが、管理している途中でどうゆうわけか少しの歪みが出てしまって本当は起きるはずない事件や事故が起きてしまった。それで犠牲になったものにお詫びの印で転生させてやろうと言うことになった次第だ」
(ん?)
「なら俺は、あんたらのミスで死んじまったのか?ふざけるな!」
「そうだ、申し訳ないことをしたと思ってるだから特典も用意したぞ」
「特典?それはどんなものなんだ?」
「それは転生してからのお楽しみだ」
「…ちなみにどんな異世界に俺は転生するんだ、危険な世界だったら俺は行きたくないぞ」
「お前が思ってるような異世界じゃないぞ、お前の元いた世界と同じくらい発展してて大陸の位置も国名も全部元いた世界と同じだぞ。」
「元いた世界と同じ?なら野球!野球はあるのか」
「ああ、あるぞプロ野球のチーム名は若干変わってるが」
(よかった)
「質問は終わりかならもう送るぞ」
「え、いきなりすぎない」
「この騒動の対処で忙しいんだ。あとあっちに転生したらステータスって口に出すように、じゃあ送るぞまたな」"転生ボタンポチッ
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」