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廃墟と狼

 しっかり寝ないと行動に支障をきたす事は分かっているが、中々寝付けずまとまった睡眠をとる事は出来なかった。元々寝付きは悪い方だが、そもそもボロボロの建物で安眠しろというのが無理のある話だった。探索して家に帰れば良かったが、時間がかかってしまいここで止まる羽目になった。この世界で計画性のなさは命取りになるので、計画的に進むことを覚えなければ......。




 目が覚めて行動しようとしていると、昨日も聞いた遠吠えがまた聞こえて来る。ここから離れた場所にいるのか、それとも山彦で反復しているだけなのか分からない。犬だと思いたかったが、どうやら狼の遠吠えのようだ。この辺に動物園はなかったということは、何処かから脱走したかあの化け物の様に突如として現れたのか。狼がいると分かると、心臓の鼓動が早まり息が荒くなる。もしも見つかって追いかけられたら間違いなくやられる。




「確か狼って、時速60km以上で走れるよな....」



 人間の足では逃げきれない。かと言って車に乗ろうとしても車そのものがない。あるのは溶けた金属だけだ。何処にいるかを把握しようにも、あちこちを見回してもいない。









 フッ....と太陽の光が遮られた。それと同時に獣の臭さと生暖かい空気が、後ろから激しく主張してくる。



 息が止まる。汗が止まらない。歯がカチカチ鳴るのが止められない。抗えない力が働いているかの様に、ゆっくりと後ろを振り向いてしまう。




 

 デカい、その一言に尽きる。自分の背の数倍はある巨躯。牛刀の様な黄色の歯。灰色の体毛に覆われた狼がいた。そいつは鼻を動かして、此方を睨んでいる。もしかしたら睨んですらいないのかもしれない。分からないけど、こいつの歯か爪で、体がバラバラにされるだろうなと思ってしまう。怖くて思わず目をつぶってしまった。




 まだ来ない。殺すなんて簡単なはずなのに、中々殺そうとしない。それどころか、自分の周りをうろうろ回ったり鼻で体をぐいぐい押してくる。こいつが食べる価値があるのか、それとも餌としてすら見ていないのか分からない。背後に回られるたびに、吐息が身体にかかるたびに心臓が飛び跳ねてしまう。


(食べるのなら一思いに食べてくれよ....)




結局狼は食べる事なくその場を立ち去った。立ち去る瞬間を見る事は出来なかったが、ジャンプして立ち去ったというよりフッと消えた。さっきまで居たのに一瞬で消え去ってしまった。



 




 その晩、一睡も寝る事なく朝を迎える事となった。







 世界がモンスター達が出現して変わってしまった。だがモンスターが出現するだけではなかった。


 突然体が透明になる者,空を飛ぶ者,人を洗脳して思い通りに動かす者。今まであり得なかった特殊な力を持つ者が世界中で現れ始めていた。


そして....




 血塗れの道路をそのモノは歩いていた。退屈で堪らず人間の住処に来たのに、暇潰しにもならなかった。残った人間はどうしようか考えながら、額に一本の角を生やした鬼は現れた。血塗れの箱が周囲の若者を皆殺ししていた。西では黒い翼の怪物が街を襲っていた。醜悪なモンスターを見つけては駆除していた。




 


 世界には数多の怪異がいる。今まで居ると思われていなかった怪異が、モンスターと同時に出現した。


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