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白黒物語~2人と7人の主人公~  作者: 天然パ~マ
~中立都市編~
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9話 中立都市イースフォード③

 ~ 二週間程前 ~


 ダイチ達がイースフォードに来てすぐ、クロノス達との話を終えた後……。


 クロノスとの話が終わり、子供達四人が出ていった後の部屋の中では怒りの表情を浮かべたゼクサスがラックの肩を掴み怒鳴っていた……。


「どういうつもりだ?ラック!!貴様……止めなければ“現王達の現状”を口にしようとしていたな!!

 まだこの世界の道理すら理解していない……。ましてや世界を担うかもしれない子供達に今言う事ではなかったと思うが?

 なによりも現王達はあいつらの親だぞ!つい数時間前に育ての親を亡くした子供達を不安にさせる奴があるかッ!!」


 その勢いのままラックを壁際に置いてある本棚に押し付ける……

 部屋の中はバサバサと落ちる蔵書の音が鳴り響く。

 あぁ……ワシの本が。と、悲しい顔をしながら嘆くクロノスをよそに、怒りを押さえきれないゼクサスを見かねて、ガラハドが割って入る。


「ゼクサス落ち着け!ラックも特に深い意味も悪気もなかったんだろう……」


「それが大問題だというのだ!!一部隊を預かっている身でありながらの軽率な発言に腹を立てているんだ俺は!!

 ガラハド!貴様も貴様だ!!育ての師とはいえ、少々甘やかしが過ぎるぞ!!」


 怒りの矛先がガラハドに移ると、ラックは慌ててゼクサスに謝る。


「ま、まって下さいゼクサスさん!あなたの怒りはもっともです。俺が軽率でした!考えなしの言動は俺の悪いところです……。

 だからどうかお師匠を責めないで下さい……」


 クロスナイツの部隊長の中でも、一番新米のラックはまだ幼さが残る顔でゼクサスを見つめる。


 その垣間見えるあどけなさに、少々苦虫を噛んだような気分になったゼクサスは、ラックを掴む手を離すと背を向け、一言だけ言い残しクロノスに頭を下げて部屋を出ていく。


「ラック……。いつまでもガラハドに世話を焼かせるんじゃない。」


 バタン。とドアの閉まる音だけが部屋に鳴り響く。

 ラックは大きく息を吐き出すと、ズルズルと床に座り込んでしまう。


「はぁ……怖かったなぁ。」


 ガラハドはまた少し強めにラックを小突く。


「あやつが“俺”口調の時はかなり本気だからなぁ……俺も久々に見たよ。」


 流石のガラハドもラックが無事で少しホッとした表情をする……


「ゼクサスはのぅ……ああ見えてお主の事も心配しておるんじゃよ。あの子は昔、奥さんと5歳くらいの男の子と産まれたばかりの女の子を魔人に殺されての……。

 それがちょうど15年程前の話じゃ。もし生きておったら、男の子はお前さんと同じ歳頃じゃった……。お前さんに自分の子供の影を感じておるんじゃないかの……。

 あまり表だった優しさは見えんかもしれんが、誰よりも家族を大事にする優しい子なんじゃよ。」


 ラックは落ちた蔵書を本棚に戻しながら、少し俯き悲しそうな顔をしていた。


 騎士団が在中する建物はイースフォードの中心に位置し、山というには低く、丘というには少し高い所に建っている……

 城のような、要塞の様なそれは街の外から見ても目立ち、独立した街にしては威厳さを醸し出している。


 訓練生や騎士団員は、街の人々からは愛称で騎士城と呼ばれている建物で基本的に寝泊まりをし、寝食を共にしている。


 騎士城を囲うように栄えた大きな街は、高い城郭のようなもので囲われており、外敵や、魔物、たまに押し入ってくる各国の兵団からの圧力等を回避しやすい様にしてある……。


 イースフォードに入る手段は基本的に四つと、特例が1つ……。

 東西南北に位置する大門を通って入る他ない。城郭の上は幾重もの魔法結界が張ってあり、城郭を飛び越えて空から入るのはまず難しいだろう……


 特例はダイチ達が来た魔方陣による転送手段になる。

 しかし、イースフォードの魔方陣は受け入れるのみで、こちらから別の場所に転送する事はできない……詳しい理由は不明だが、15年前にクロノスがそう施したらしい……


 ダイチ達がこの世界に来て、三週間程経った時の事である……

 その日は、クロノスによる個性特化の訓練があるはずだったが、緊急で街に降りてしまったとの事で、ラックが代わりに訓練の場を取り仕切る事になった。


 ~ 個性特化訓練場 ~


 ここでは武術でも魔導でもなく、主に“個人職業(スタイル)”と呼ばれる力の開花を目的とする。

 また、開花している者はその能力を扱う為の訓練、強化を図る。


 ラックの周りには、スタイルを習得していない上級生や訓練生と並び、四人が集まる。

 自分達よりも何歳も年上の人達の未習得者も意外に多く、むしろ習得していて強化訓練を行っている人の方が少ない事にソラ達は驚いていた……。

 それと、同時に生半可では習得する事が難しいと言う事を物語っていたが、どうやらそこには気付いていない様子である


「なんだ100人以上いて、まだ出来ないヤツの方が多いんなら焦る必要もなさそうだな!」


 フッと、笑いながら言うソラに対し三人は少し笑いながら突っ込む……


「やぁっぱり焦ってたんだね!」


「そりゃ、あんだけ訓練で省かれてたらなー…………」


「ソ……ソラ君、ファイト!!」


「え?……は?……いや………別に焦ってなんかねーよ?

 俺は……お前らの気持ちをちょっと代弁してやっただけで……。」


 本音がこぼれて気まずそうにして、ついゴニョゴニョしてしまうソラ。

 ニコニコ顔のダイチがソラの頭をいい子いい子している……

 そんな中、ラックの元気な声が響き雑談している他の訓練生達の話を止めると、一気に訓練生達の視線を集めた……


「さあ!皆いいかな~!今日は俺が皆の先生だからねー!

 今日は、初めて訓練に参加する子達もいるから、授業で習ってはいると思うけど、改めておさらいしておこうか!


 まず、スタイルとは騎士団員に限らず一般の人、才能がある子だったら早くて子供の頃から、つまり誰しもが習得できるものであって……。この世界で生きていく、また、生活していく上で基盤ともなるものだよ。じゃあ、スタイルとはどういったものなのか?


 まず、自身の魂の内に眠る力であり、発動した際に魂の力を具現化するもの!分かり易いもので言うと……

 剣士であれば剣術に特化した力が……

 魔導が得意な者であれば、魔術に特化した力が開花しやすい。

 ……というように、一つの才能のようなものだね!それが形として表れる。


 今は戦闘のスタイルを例えたけど、例えば料理人や、芸術家であれば、それに特化したスタイルをもっていて、そのスタイルを活用している人が大多数である。


 つまり、スタイルと言うものは数千と種類があり……

 それ故に俺達もその種類を全て把握しているわけではないんだ。

 まぁ、全てのスタイルを把握している者が執筆した本が存在する……。と言われている伝説級の本があるとかないとか言われてるけど。


 次に、スタイルが開花するきっかけは、有名な学者さんいわくだけど……。心が成熟した時、覚悟が決まった時、どれも抽象的だけど、条件を満たした時ともされている……まぁ、諸説あるみたいなんだけどね……。


 基本的には、人は一つのスタイルしか持てず、その力は生命エネルギーを使用する為、長時間の使用をするとスタイルの力は解けてしまう。まぁ、簡単に言えば疲れちゃうと出せなくなるって事だね!


 最後に、スタイルを習得する際。……これは習得者だったら誰しもが経験している事なんだけど、開花のパターンが2つあって……


 1つは、死地に立たされて偶発的に開花する事や、世界の理によって強制的に開花させられる場合がある……


 これを<強制開花>と言うんだ!


 その時の大きな特徴として……

 習得するスタイルを必ず選ばなければいけない事……!

 習得中、当人以外の者から見た場合は一瞬の出来事で、戦闘の最中の判断材料としては開花者が一瞬強く光る事くらい……。




 もう1つは、揮昌石(きしょうせき)揮昌水(きしょうすい)と呼ばれる鉱石や水を使用して開花する場合がある……


 これを<揮昌開花>と言う。


<強制開花>との大きな違いは2つ!

 1つ目は、強制ではない事!習得するかしないかを選べて、習得しなかった場合はまた後日、揮昌石等をを使用すればいい。


 もう1つの違いは習得中、当人以外から見ても一瞬ではない事……!簡単に言えば揮昌石を用いて習得する場合は、スタイルを選んでいる間、隙だらけって事!!



 どちらの開花も、精神世界で自分の内に宿る、もう一人の自分?の様な声が聞こえてきて、こう問われる……。


『選べ』と……


 その時に、自分が扱えるスタイルが頭の中に浮かび上がる。そしてそこから選ぶんだ!今後の自分の一生を共にするスタイルを。

 人によって、スタイルの選択肢の数は違う!2つ3つの中からしか選べない者もいれば、10個以上から選べる人もいる。


 まぁ……当然その中に戦闘に向いていないものしかない場合もあるからね。修練を積めば、その内容に沿ったスタイルが増える事もある……でもそれは一朝一夕ではない事だからね。そう簡単に選択出来るスタイルが増えるとは限らない……

 これが理由で騎士になる道が閉ざされる人も少なくはないんだ!

 中には、更に熟練されたスタイルを求めて、ずっと習得しない人もいるんだよ。」

分かりにくかったらごめんなさい。読んでいけば慣れるはず、、、です。

文才がほちぃ。

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