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白黒物語~2人と7人の主人公~  作者: 天然パ~マ
~中立都市編~
21/121

21話 仮面の男

仕事の都合上、不定期掲載になりますがなるべく毎日投稿できる様に心がけています!


基本的には深夜帯~朝方にかけてです。

安定した更新できなくて申し訳ないです!

 遠征するにはもってこいと言わんばかりの晴天……


 朝からギラついた太陽が遠征の門出を祝う様に大地を照らしている。



  ~騎士場門前~


 騎士団員の声援とデザートホースの鳴き声が街の外まで響き渡り、もの凄い活気で空気が揺れる……

 門の外にも多くの市民が駆けつけ、外は人でごった返しになっている。


 自身の愛馬……毛並みは白く尻尾に大きな炎の灯った【神獣セルシオン】に股がるとレイは凛々しい顔つきでクロノスへ声をかける。

「では先生、行って参ります!」


 その後ろから、黒と深緑の毛色が綺麗に織り混ざった2メートル程の大きさの

 愛狼【神獣バーン】に乗ったガラハドが、いつも通りの顔でクロノスへ声をかける。

「クロノス様、朗報を楽しみにしてて下さい!

 ゼクサス……子供らとラック……イースフォードを暫く任せたぞ!


 ラック、(みな)を頼んだぞ!」


「あぁ……ガラハド無事を祈る。

 ……………………………………………………レイを頼んだぞ。」

「がはは………心配なら本人に言ってやれ!」


「お前さん達の無事を祈っておる……」


 ラックはガラハドの目をしっかりと見て、深く頷いた……



 当然、騎手の経験のないシエンとユウマは屋根の付いた積み荷車の中で荷物と共に乗り込む……

 外から相変わらずボロボロの姿のダイチとソラの声が聞こえてくる。


「お前ら、あんまり迷惑かけんなよ!

 シエン……無茶だけはすんなよ!ユウマ……シエンを宜しくな!!」


「2人共頑張ってね!ちゃんと無事に帰ってきてよ……。」

 ダイチはいつもの笑顔を出せず、少し心配そうな顔をしている。


「あぁ……お前らもあんまりゼクサスさんに迷惑かけんなよ!

 強くなって帰ってくるから待っててくれ!」

「ダイチ……ソラ君……

 ちょっと怖くなってきたけど、自分に出来る事を精一杯やって来るよ!

 必ず帰ってくるから、ちゃんと待っててね!」


 レイは子供達の別れが済んだのを見届けると、勇ましく声をあげた……

 その声を合図に部隊はゆっくりと前に進む。

 街を通るとイースフォードの住民達が広い道沿いに集まっており、無事と健闘を称えた声が街中に響いた!


 東の門からイースフォードをあとにすると、全部隊が勢い良く走り出した!

 その音と振動は街の中まで響き、イースフォードの住民達は心配そうな顔をして解散していった。




「やべぇ………俺……なんか気持ち悪くなってきたかも……」

 積み荷車の中では荒々しく揺れる反動で、デザートホース酔いをしたシエンが既に満身創痍の様子で悲痛な声を漏らしていた……


「……あ…あの。もし宜しければ気持ち悪さを打ち消す加護を与えましょうか?」

 見かねた回復部隊の1人アマネが、心配そうな顔でシエンに声をかける。

 その姿はシスターのようで、黒と白の服と頭にベールを被り、見るからに信仰深そうでどこかルーインの様な女性だと感じた……


「え?そんなの出来んの?じゃ……ちょっと頼むわ!

 “乗り物”っていうのに初めて乗ったから、慣れてなくて……」


 シエンは笑いながらも、口を膨らませては込み上げてくるナニかを抑制するのに精一杯な様子であった……。


 アマネはその言葉に少し驚いたようにしている……

「そうなんですね!シエンさんの前の世界ではこういったものはなかったんですか??」

 アマネはゆっくりとした口調で話ながら、手に白く光輝く魔力を帯びてシエンの体に宛がっている……



 今回の遠征部隊に参加する人間は、レイの口から、彼等の宿命のある程度の事情を聞かされている。

 始めは皆が驚き、とまどっていたが、ケイオスや大罪者、神龍の存在が世界で公になっている為、すぐに納得していた。


 その為、2人が真新しい景色、生き物、道具を見てはしゃぐ様子を見ても、誰も茶化す事なく暖かい目で見ている。


 シエンはアマネの問いに対して少しだけ頬を赤らめる………

「悪かったな……俺達みたいなのを何も知らない……経験した事もない“イナカモノ”って言うんだろ……」


 嫌みを言ったつもりのなかったアマネは慌てて弁解する

「あ……そういうつもりはなくて……私も3年前にイースフォードに受け入れて頂く前までは何も知らない……外にも行かせてもらえない環境でしたので……

 なんだか、昔の私を見てるみたいで、その……懐かしい気持ちになってしまいました………ごめんなさい!!」


「ふ………なんだよそれ!あんた面白いな……

 それにしても凄いな!本当に気分が良くなったよ!サンキューな!」


 シエンは爽やかな笑顔で感謝を述べる……


 その様子を見てユウマはニヤニヤを隠せないでいた…

(なんだかシーちゃん、前よりも優しさとか感情を出すようになったなぁ…)


 そんなユウマに気付いて直ぐ様制裁を加える、3人の笑い声が響き、すぐに打ち解けた3人が楽しそうに話している……


 時速70キロ~80キロで3時間くらい走っただろうか、積み荷車の外……隊列の先頭を走るレイが大きな声で「全隊員止まれぇーーー!!」と叫んでいる……


 その瞬間、シエン達の乗る積み荷車を引っ張っていたデザートホースが急停止した!急に止まった為、大きな衝撃と共に3人と荷物は車内の前方へ大きく投げ出された……



「いっってぇ~~!ユウマ!アマネ!大丈夫か?」


 シエンが転がる2人を心配していると、また、レイの大きな声が響いてくる……

「全隊員直ちに武器を取れ!!」


「え……え?シーちゃん!なんだか凄くヤバそうだよ!!」

「シード砂漠入り口では大型の魔物が結構いるみたいなので、運悪く遭遇してしまったのでしょうか??」

「お……マジかよ!ちょっと除いてみようぜ!!」

「シーちゃん呑気な事言って……怒られちゃうよ!!」


 ユウマはそう言いながらも窓から顔を覗かせるシエンに続くアマネに続いた………


「ん………?なんも見えねぇぞ?本当に魔物が出たのか?



 いや………あれは………人間?」


 3人が外を見ていると前方から、ユーヴェンス、エマと部下2名の4人がかなり急いだ様子でこちらに向かって来ているのが見えた……


「ん?なんだなんだ?」


「想定していた中でも一番悪い事態だ……」


 ユーヴェンスは厳しい表情をしながら静かに2人に告げた……



「…………色欲の大罪だ。」






  ~ 隊列先頭 ~


 レイ、ガラハド……その後ろにノア……クラッシュ……アクセル……ダッシュ

 全員、既にスタイルを宿し臨戦態勢に入っている。



 レイ達の眼前にいる“それ”は両手を広げながら優しい笑顔でとても友好的に話し掛けてきた……


「よっ!久しぶりだな………ワイバーン……ディル……オーバーレイ。」


「よりによって貴方ですか………アスモデウス。」


「おいおい!レイ!!

 その呼び方はやめてくれ!って………随分前……腕をブッた切った時に言ったろ?


 改めましてはじめましてそしてサヨウナラ!

 ははッ………最近クラウンの挨拶にハマってるんだよ俺!


 大罪が1人“色欲”の、ラファエル・ギルティ・アスモデウスだ!


 ほら……!

 ラファエルだと天使みたいだろ?流石に神々し過ぎるし……

 アスモデウスだと悪魔みたいだろ?そこまで悪い訳でもないし……

 だから、俺の事はギルティって呼んでくれよ!!」


「気安くレイと呼ぶな………と、随分前に腕を切り落とした時に伝えた筈だが?」


「おいおい久しぶりだってのにつれない事言うなよ!………お!良かったな!!

 腕……ちゃんとキレイにくっつけてもらえたみたいで安心したよ!!

 優秀な仲間に感謝しろよ~レイ。」


「貴方と昔話に花を咲かせるつもりはない!何をしに来た……。」


「何?って、忘れ物を取りに来たんだよ!レイ。」


「………忘れ物?」






「お前の命さ…………レイ。」



 ッッッドン!!!



 っと押し潰されそうな威圧感が全隊員を覆う………

 その瞬間、土煙一つ上げず姿が消える!


「散れぇッッ!!」そう言いながら真後ろに振り向く……

 ガラハド達はレイの声と共に四方に飛び避ける……


 その刹那、青い炎を纏ったレイの剣と、オレンジに光輝くアスモデウスの拳が轟音と共に激突する!!


「炎陣……『青の竜巻(ブルーストーム)』ッッ!!


 刃と拳が触れ合う瞬間……互いの足元から青黒い炎の渦が立ち上る……

 それに合わせる様にガラハドが結界魔法を唱える。

 四角状に囲われた結界内部では、常に下から上へと暴風が吹き上がり炎の渦の温度と速度を押し上げた。



 唸る様な音が轟く……


「ユーヴェンス2人を!!」

 そう聞こえた瞬間、シエンの元にやって来た時からずっと唱えてた長い詠唱をエマの部下が唱え終え、転送魔法を発動させようとした瞬間……

『遠当』……そう聞こえると、エマの部下の腹部に大きな風穴が空いた。


 ユーヴェンスが結界の方に目を向けると、結界には大きな穴が開いており、そこからゆっくりとアスモデウスが出てきた。


「化け物め……。」

 ユーヴェンスは舌打ちと共にすぐに思考を切り替え、2人に絶対にここから出ない様に言い放つと、積み荷車を守る様に前に立ち構えた……



 アスモデウスの全身は焼け焦げていたが、瞬時に修復されると……

 その身に神々しい程のオレンジ色の氣を纏い始めた。


「なんで今その子達だけ逃がそうとしたんだい?

 お偉いさんの護送中だったのか……それともレイ達………いや、人間達にとってとても重要人物なのか………


 まぁいいか……後で“サプライズ”に嫌みを言われるのも嫌だし……

 死んで貰おうかな。」


 レイも結界から出るとその身に青黒い炎を纏わせて両手で剣を持ち、胸の位置に持ってくると刃先を天に向け構えた……


「その前に死ぬのは貴方です……アスモデウス!」

 不動の構えをしているレイの周囲が、その凄まじい熱気で揺れ動く……


「ははッ!これ以上は厄介になりそうだな……

 冗談だよレイ!………降参、降………」


 そう言いかけ、両の腕を上げようとした瞬間……


「『蒼炎の太刀(ブルーフレイム)』!!」



 ボッッ!!

 という爆発音と共に身に纏った青い炎の残像がアスモデウスを貫き、同時に青い豪火が罪人の全身を燃やす……

 刹那的にレイ自身も超高速で燃え盛るアスモデウスの体を真っ二つにする。


 生々しい音を立てて2つの体は燃えながら地面に倒れこむ……


 すると、いつくっついたのかも認知できなかったが、陽気な笑い声を上げアスモデウスが立ち上がる。


「だから!冗談だって!!

 別にお前達を狙った訳じゃないって!たまたまレイ達だっただけで、分かってて会いに来た訳じゃないよ!


 目的は別にあるんだ…………強い気配をたくさん感じたから来ただけなんだよ!

 信じてくれよレイ~。」


「別の目的とは……?」


「お友達との賭け事さ!自分より強いやつを倒したらご褒美をあげるぜ!

 ってね!

 紹介するよ……もう出てきてもいいぜ……」


 すると、アスモデウスの真後ろから荒々しい魔力を放った男が出てきた……

 その姿は全身にマントを羽織り、辛うじて見える顔にはノーフェイスに十字架が描かれた仮面をつけている。




「俺の仲間の………仮面君だぜ!」

今回も最後まで読んで頂き感謝です!

少しでも面白いと感じて頂けたら、下の☆をポチポチして頂けると励みになります。


また、今後も読み続けたいなと思って頂けられたらブックマークに登録して欲しいです。

パーマが頑張れます。


これからも読者の方々が楽しんで頂ける様、精進します!!


宜しくお願いします。



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