第1章 1話
ここまで来た人はおそらく厳選された方々と思われます…
それではどうぞ!
デートをする予定の枯木紅葉との待ち合わせ場所に予定の時間より早く着いた湊は、ベンチに座り流れる雲を、眺めていた。
秋から冬に変わろうとしている乾いた風が湊の頬を撫でると、頭上に咲く枯れ葉が舞い落ちた。
風が吹く度に、もう少し厚着をしてくれば良かったと湊は後悔をしていた。
公園の時計を見ると、時計の針は待ち合わせ時間を指していた。
時計から目を離し、また空を見上げると顔に葉が落ちてきた。
それを手で叩き落とすと、着信で携帯が鳴った。
着信者を確認すると「枯木紅葉」だった。
「ごめん!もうすぐ着く!あと5分!」
電話にでるやいなや、そう叫ぶ声が聞こえた。
「分かっ…」
「ありがとう!じゃ!」
…返事を言い終える前に電話を切られた。
まぁ、待ち合わせ時間丁度に紅葉が来る方が珍しい。
いつもは10分なんて平気で超えて遅刻する。そんな紅葉が5分弱の遅刻で来るなんて表彰に値する。…言ってて悲しくなってくるな
そんなしょうもない事を考えていると。公園の入り口の方から、座ってるベンチに向かって走ってくる人影があった。
遅刻した枯木紅葉だった。
「ごめん!待たせた!でも、いつもより早くない!?すごくない!?褒めるべきでは?」
褒めるべきではない
「そうだね、あと5分早く家を出れば遅刻しなかったね」
紅葉は僕の座ってるベンチの横に座り、2本の缶ジュースを出てきた。
「はいこれ!遅れてきたお詫び!どっちがいい?」
差し出された缶ジュースはミルクティーとレモンティー。しかも、レモンティーは肌寒いのに冷たい方のやつだ。
当たり前のように温かいミルクティーに手を伸ばすと、ミルクティーを引き、レモンティーが差し出された。…新手の嫌がらせか
「私はミルクティー飲みたいから湊はレモンティーね」
そう言うなりミルクティーを開け勢いよく飲み始めた。
思ったより熱かったのか、口に含んだ分を飲み終えるなり「火傷したかも。赤くなってない?」と舌を出てきた。
「自業自得じゃん。熱いって分かってて飲むって本能だけで動いてんのか…」
「そうかも」と紅葉は左手を頭の後ろに回し、てへへと言いフーフーしながら飲んでいた。
湊は冷たいレモンティーを飲み干し、ベンチを立った。
「どう?行けそう?」
紅葉はミルクティーを勢い良く飲み干すと、「よし!行こう」と言い、近くのゴミ箱に空き缶を投げ捨てた。
投げ捨てられた缶は綺麗な弧を描きながら、ゴミ箱に吸い込まれた。 紅葉はガッツポーズをし
「よし!これで遅刻したのチャラね!」
「どういうこと!?」
なんてことを言ってると、僕の持っていた空き缶を強奪しもう一度ゴミ箱に投げてみせた。
もう一度放られた缶はまたもやキレイにゴミ箱をとらえた。
「これでちゃらだよね!」
「だからどゆこと!?」
「2回連続だよ!?やばくない!?奇跡だよ」
「そんなの奇跡じゃあない、そんなことより、早く行くぞ」
「そうだね」
歩き始めた僕に走って駆け寄り、紅葉は隣に並んだ。
お疲れさまでした!
文の練習も兼ねているので感想やレビュー等々いつでも受け付けています!