ゴブリン4話
「俺はスライムスレイヤー。スライムに親、兄弟、そして親戚。そして幼馴染、幼馴染の家族。
幼馴染の家族の親戚、そして幼馴染の家族の親戚のいとこの姪と甥がちょっと仲良くしていたおじさんと、そのおじさんに可愛がられていた野良犬……そのすべてを殺されたものだ。俺の復讐の炎は、彼らの恨みの咆哮が消えるその日まで、果てしなく燃え上がる」
鋼鉄の甲冑に身を包んだ男は、がしがしと音をたてながらこちらに歩み寄ってくる。
「スライムを殺すこと……それが俺のすべて。わかったな。では、覚悟しろ……ゴブリン」
「なんでだよぉ………」
ゴブリンは膝から崩れ落ちた。
なんでだよ。じゃあスライム殺せよ。なんで俺を狙うんだよ。俺はゴブリンだろ。
そんな声にならない声が、この空虚な洞窟に響くような気がしないでもなかった。
この果てしなくいい加減なストーリー展開に身震いを隠せない中、ゴブリンは頭の中で煩悶した。
どうすれば、いい?俺は、どうすればいいーー?
どうすればーー。
「ゴブリン……」
そのとき。少女が口を開いた。
「本当にキモいわ……」
「てめぇ…」
少女に対して、ゴブリンはすさまじい殺意を抱くのであった。
(続く)