ゴブリン2話
「おめでとう。キミはゴブリンに選ばれたんだ。ぼくの名前はキュ〇ベェ。魔法少女を世界に作り出すために、遠い宇宙からやってきた存在なんだ。きみをゴブリンにしたのもぼくだ」
「ちげぇえだろおおおおおおおおおっっ!!!!!!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
かつて人間であった男は、凄まじい咆哮を上げながら、洞窟内すべてに響き渡らんばかりのがなり声で、声の主に精一杯の否定の意思を示した。
目の前にいるのは、どこまでも白い、猫みたいな犬みたいな、某魔法少女アニメで見たキャラにそっくりな姿をした、愛くるしいマスコット系の獣だった。
そして、その隣には。官の姿をした、金髪の美しい少女がいる。
かつて人間であったはずの男は、この一瞬で、多くのことに思いを馳せた。
かつて暮らした人間世界でのこと。ここに飛ばされた時の失意。困惑。そして、別れへの、悲しみ。
そして、目の前に広がる世界と、神々しく、特別な出会いを感じさせる、この少女との出会い。
その中でも一番最初に確実に思ったのが、「そのアニメじゃねぇよ」という自分への冷静な思考への、果てしない苛立ち。アニオタはどこまで転生してもアニオタであるという非道な事実が、かつて人間だったと思われる男を、ここまで怒らせていた。
「ちなみにキミをゴブリンにしたのもぼくだ。これからキミは一生ゴブリンとして生きていく。ゴブリンはこの世界では最も卑怯で卑劣で下劣で下等で劣悪で下品で醜悪な生き物とされている。モンスターの中でもっとも力が弱く、人間でいうところの小学3年生くらいの腕力しかない。性に目覚める年齢だね。知能や防御力はゼロで、魔法は一切使えない。得意なことは何もない。
まさに最低レベルの生物と言えるね。
そして、ここからが重要だ。よく聞いてくれ。ゴブリンはとてもレ〇プを愛する生き物なんだ。だから、3日に1回、必ず人間を女性をレ〇プしなくてはならない。しかも女性なら誰でもいいってわけじゃない。必ず可愛くて性格の良い20代以下でなければならないんだ。性に目覚める年齢だね。それ以外をレ〇プすると呪いで死んでしまうから、本当に気をつけて。
そして、もうひとつ重要な点が、きみに課せられた使命だ。これからキミは、魔王を倒しに行く。魔王はこの世界に100万種類、1億以上のモンスターの頂点に立つ存在だ。きみは100万種で最弱だが、そんなことは関係ない。存分に冒険して女性をレ〇プして、魔王を倒すという勇者の偉業を達成してくれ。あ、あとこの隣の娘のことは何も知らない。だれだろう。でも性に目覚める年齢だね。さて、話が長くなったね。きみの検討を祈る」
「性に目覚める年齢って連呼すんじゃねぇよ…」
かつて間違いなく人間であった男は、今度こそ心が壊れ、膝から崩れ落ちた。
渦巻く絶望に、心の底が締め付けられる。
なんなのだ。この生物は。なんなのだ。この扱いは。
しかし、現実は変わらないということが、なぜか唯一使える超能力「レ〇プする女の子の嘆き悲しみの心を聞きたいレーダー」が反応し、白い生き物がまぎれもない事実を告げているということを男に実感させた。
「そんな…」
こんなの。チートすぎる。
「あの…」
そこで、ここまで口を閉ざしていた少女が、不意に口を開いた。
(続く)