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だーれだ
夜は深まり青を重ね黒となる。最初から完璧に黒いものなど存在しえないのだ。黒曜石だって見方によっては白いのだから。
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今日の練兵はいつになく苛烈を極めた。何でも、お偉いさんが視察に来ているらしい。こういう時だけ厳しくするのなら、普段からこの位やっておけば良いものを______僕はそう思いながら疲弊して騒ぐ気力のないルカの方をちらりと見やった。
「・・・しんどっ・・・。レオン、お前・・・よく平気だな・・・?」
「息を整えてから話せば良いでしょう、そんな話題なら。・・・普段から自主的に鍛えてますから。」
「なるほどなー・・・。レオン頑張り屋だもんな・・・。」
思わぬ評価をされて固まっていると、不意に後ろから肩を叩かれた。
「久しいな、ああ。振り向かんでも良い。今はレオン、と言ったか?」
この声は。間違いない。奴だ。・・・そう認識した途端、背筋が怖ばった。
「うむ?せめて何か反応をだな?・・・この修練着で眼鏡拭いてしまうぞ?良いのか?」
化け物は、人の形をして僕の背中をつうとなぞっていた。まるで、獲物の吟味でもするかのように。