意地っ張り
バサリ、と手帳の落ちる音で目が覚めた。どうやら日記を読み返している途中に眠ってしまったようだった。なんだか嫌な夢を見ていた気もするけれど・・・駄目だ、全然思い出せない。あの時のことを思い返すのは存外精神的に疲れるみたいだ。まあ、あの時の状況を思い返してみれば、それもしょうがないことだけど。
「こんなんじゃあ駄目だよなぁ・・・。」
自分の無力さを改めて突きつけられて、思わずそう呟いていた。このままではあの化け物を殺すことはおろか、近付くことさえ出来ない。ならば、僕がもっと強くなるしかない。まずはルカに稽古に付き合ってもらおう、と考えて手帳を引きだしの奥底にしまった。
********
「え?俺にレオンが俺に頼み事なんて珍しいこともあるもんだなー。」
レオンから頼み事をされたのってもしかして初めてなんじゃないか?と思ってそう言うと、レオンはむっとして
「悪いですか?嫌ならいいですけど。」
と答えた。俺は慌てて
「嫌だから黙った訳じゃなくて!ただビックリしただけだってば。拗ねるなよーレオンー。」
と言った。・・・よく考えたらべつに拗ねてはいないだろうなー。レオンがこのくらいで拗ねる訳ないし。怒ってないといいなー。・・・まあ、多分『頼み事』を引き受ければ機嫌直るんだろうけど。
「拗ねてなんていませんけど。んで、結局どうするんですか?」
「うーん・・・内容によるな。俺頭使うこととか苦手だしさ。」
いくら親友の頼みでもできないことはできないんだ。だって人間誰しも限界がある。なるべく叶えてやりたくても、無理なものは無理。うん。
「・・・に・・・さいと・・・。」
「え?すまん聞こえなかった!レオン、もう一度言ってくれないか?」
レオンが頼み事を言ってくれたのに、上手く聞き取れなかった。もしかして本当にこの間レオンに言われた通り耳が悪いのかも・・・そう思いながらレオンの言葉を待っていると、急に胸ぐらを掴まれた。
「うわっ!?急にどうしたんだよ!?」
どうやら相当怒らせてしまったらしい。
「そんなに重要な頼み事だったのか・・・?すまん!」
そう俺が言うとレオンは呆れたように手を離して足早に去ってしまった。・・・・・・・・・悲しい。