美少女の俺、飼い猫と再開する
なんとか町についた。途中また魔物に襲われて死ぬかと思ったが、生きている!生きているって素晴らしい!一度死んだから余計素晴らしく感じるぜ!
とにかく今日は疲れた。宿なり食料なりなんとかしないと…、それと衣服、いつまでも少女の体を布一枚というわけにもいかないし。そう思い立ち止まると目線を下に向けると、僅かに胸の辺りに膨らみがある。
「ゴクリ」
思わず息を飲むおっといかんいかん、俺には好きな女の子がいるんだ。他人のボディとはいえ自分の体に欲情するなんて変態すぎる。思いとは裏腹に手は次第に胸へと近づいていく、しかし確かめたいそうだ、これは別に変な意味はなくてただ自分が本当に女の子になってしまったのか、もしかしたらこの小さな膨らみは別の何かかもしれないし、例えば布のシワとか。
「マスター」
「うわぁ!な、なんだよニコ」
「体温が上昇しています、顔もやや赤いです。このままその姿でここにいては身体に影響がでます」
「あ、あぁそうだな」
慌てて手を引っ込めると再び町へと歩き出した。
「ところでニコ、この世界にお金はあるのか?」
「イエス、マスターここリンド大陸では主に、銅貨、銀貨、金貨の三種類が流通しています」
ああ、成る程一般的なRPGみたいな感じね、当然俺はこの世界に転生したばかりなのでそんな通貨は一銭もないわけだが。この魔物から採取したもので交換できるか?
「イエス、マスターそういったたぐいのものを換金するシステムはこの町にあります」
よっしゃ、魔物を倒した後ニコから皮とか剥ぎ取れって言われて気持ち悪いし無理無理とか思ったけど、どうやらやっておいて正解だった。ナイフなんてなかったからそのへんの石を削って採取したが、なんか異世界にきたのに原始人に戻った気分だよ、ロボットなのに原始人、未来的で原始的これはいかに?
「へっくし」
考え事してたらまた体が冷えてきた、ニコまたあのポカポカする魔法を頼む。
「イエスマスター」
おおーこれこれ、体の芯から暖まる。こたつの中に入っている感覚に似ている。
「ご主人様?」
ふと何者かに声をかけられた。ご主人様?はて、メイドを雇った覚えはないが振り返ると少女がこちらを真っ直ぐに見ている。知らない少女だ。辺りを見回したが俺と目の前の少女しかいない。
「失礼ですが人違いでは」
っといったところで、少女の姿に唖然とする。耳が生えている。いや、耳は俺にもあるんだがいわゆる猫耳というやつが生えている。それと尻尾この世界には猫耳や尻尾の生えた人種が存在するのか?布一枚の俺がいうのもなんだが、実に怪しい。
かかわらないほうが良さそうだ。きっと人違いだ、うん、この世界に転生して知り合いといえば博士とニコくらいだし。振り替えると見なかったことにして歩き出した。
「ご主人様~あいたかったですぅ」
「どわっ!」
ちょっ、背中に柔らかい感触が伝わってくるぅ!まて、何興奮してるんだ俺、今の俺はいたいけな少女だぞ?でも中身は男、見た目は少女中身は男、その名は性転換、明!なんて考えている場合じゃなかった。誰なんだこいつは?
その答えは、次の一言で解決した。
「ハルですよぉ、ご主人様ぁ」
「は↓る↑?」
はるってなんだ?もちろんそんな人物に心当たりなんてなかった。
「すみませんが、どちら様?」
「そんなぁ、忘れたんですか?ご主人様の飼い猫のハルですよぉ」
飼い猫のはる?はる・・・ハル!?え、あの飼い猫のハル?え、なんでこの世界にハルが?まるで意味がわからんぞ?確かに俺はあの光る玉にハルを生き返らせてくれるよう願ったが、そのハルがなぜここに?
「ハル・・・・なのか?俺が飼っていた?」
「はい、ずびぃ、そのハルですぅ」
どうやらほんとらしい、あの玉なんでこっちの世界で生き返らせたんだよ今度あったら文句いってやる。
「ずみまぜんご主人様、あのときハルはご主人様と榛名さんを見かけてつい嬉しくなってしまい、ずびぃ」
ち~ん
うぉおい、俺の布で鼻をかむんじゃない!とにかく話を聞く限り間違いなさそうだ。
「勝手に出るなと言っておいたのに、まぁ仕方ないよ今はこうしてお互い生きているんだ俺はハルの事を恨んだりはしてないよ」
「ご主人様ぁ~」
あ~よしよし、このあたりの甘え方は前と変わってないな。それより、緊急事態だ、物資が二人分必要になってしまった。