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帰還

はぁ、それにしても色々あって疲れたなぁ早く温泉に入りたい。


「どうしたのですか、ため息なんかついて」


「いやぁ早く温泉にでも浸かってゆっくりしたいなぁってね」


「そんなに早く行きたいのなら魔法を使えばよかったのです」


「あ」


完全に忘れてた、そういえば一度行った所なら魔法でひとっとびなんだっけか。


「ま、魔法ばかりに頼ってあたらいざというとき困るしね」


「今、あって言ったのです。ただ忘れていただけなのです、まぁもうすぐ町に着くので関係ないですけど」


アモールを出る前に気づいていれば今頃はベッドでゆったりしてただろうに、身近に魔法なんてものが無かったから、戻るのか、じゃあ魔法でっていう発想にならないんだよなぁ。


「ところで、姉様にはトーラのことを何て説明するのです?行きは三人だったのに、帰りは四人になってたらきっと聞かれるのです」


「そういえば考えてなかったな、とりあえず親戚の子って事にでもしておくかな」


「実際のところはどうなのです?あの子姉様の事をお姉ちゃんってよんでますけど、妹か何かなのですか?」


「ま、まぁそんな感じかなアハハ」


「なんだかスッキリしない答えなのです」


本当は私の姉妹機で、戦闘用に作られたアンドロイドとかいったら大騒ぎになる何てどころじゃないからな、それに騒ぎになってトーラが暴れだしたりでもしたらそれこそ大惨事だ、あの殺傷力が人間に向けられれば…いや考えないようにしよう、とにかく今は温泉だ。


「見えたのです」


俺たちは町につくとすぐに神社へと向かった。


「お待ちしておりました、長旅ご苦労様です」


「ただいま帰りました、姉様」


「貴方たちの活躍はわたしの耳にも入っております、頑張りましたねミナ」


「っはい!」


「アキラさんもご苦労様でした、貴方のおかげでミナもたくましくなったようです、今は旅の疲れをゆっくりと癒してくださいね」


「はい、そのつもりです」


「それでは私はこれで、また明日にでもお話を聞かせてください」


「はい、姉様」


キアラは奥へと姿を消した。さぁて風呂だ!風呂が俺を呼んでいる。


服を脱ぎ捨てると湯船につかり一息。


「はぁーーーーーーー、生きてるって素晴らしい」


「もう、ご主人様きちんと服は籠に入れないとダメですよぅ」


なんかハルが言っているが無視、今の俺は無だ、まるで体がお湯に溶けていく、全身の疲れが抜けていくのが分かる。悪いものが体からすぅっと出ていき今の俺はなんの汚れもない赤ん坊の気分だよ。お湯に体を浮かすとまるで空を飛んでいる鳥の気分、空には赤い月のようなものが見える。


がらがらと音がなり誰かが入ってきた音が聞こえる。ハルかな?まぁそんなことはどうでもいい、今はもうただひたすらこうしていたい。


「姉様、はしたないです」


「風呂とは裸と裸の付き合い、ここでは世間の()()など存在しないんだよミー」


はぁ、というミナの溜め息が聞こえてくる。それにしても今夜はいい月夜だ、見たところ三日月といったところかそもそもあれが月なのかも分からないが。


「何を見ているのですか?」


「月」


「月とはなんです?」


「何って言われても月は月だよ」


「あぁ、()()の話ですね、月とは確か…そう星の周りにある衛星のことですよね」


「流石ミー」


「勉強の成果です、しかし、あれは月ではないのです」


「じゃあ、あれは何なの?」


「伝承では昔世界は二つに別れていたのです光指す世界の支配者神と漆黒の世界の支配者悪魔、神は悪魔を滅ぼすべく神の使いである人間を創造した。人間は神の力を借り悪魔に戦いを挑んだが漆黒の世界には光はなくことごとく返り討ちにあったのです、そこで神は漆黒の世界に一つの光を放った、それがあのビルムと言われるものなのです」


「へぇ、それで悪魔はどうなったの?」


「漆黒の世界を照らすことは出来ましたが、それでも悪魔を倒すことは出来なかったそうです、そして今でも神々の支配する光と悪魔が支配する闇は交互にやって来るのです。しかし、あのビルムのおかげで完全に闇になることはなく悪魔もなかなか人間に手を出せないというのがあの姉様が月と呼ぶものの正体なのです」


「へぇ、面白い物語りだね」


「本当のことなのです、現にあのビルムが完全に消えてしまう事が数百年に一度あるのです。その時には毎年良くないことが起こるとか…、そう言えば今年がその年ですね」


「良くないことって何が起きるんだい?」


「そこまでは知らないのです」


神と悪魔の戦い…ね。

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