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覚悟

「ふむ、申してみよ」


「私はギラン帝国によって作られたアンドロイド、そしてこの姿は仮初めエルフのある少女キアラという女性を真似た姿なのです」


ヘルタレスは一瞬ピクリと肩が動いたが、再び冷静に話し出した。


「にわかには信じられんな、見たところ普通の女性にしか見えぬが?」


「では真実をお見せします」


「ニコ偽装を解除しろ」


「マスターいけません、ここでそのような事をすればどうなるかわかるはずです」


「構わないこれはマスターとしての命令だ」


「…イエスマスター」


全身がみるみるアンドロイドとしての最初の姿へと戻っていく、ヘルタレスも最初は驚きを隠せないといった様子だったが、次第にそれは殺気へと変わっていった。


「これが私の本当の姿です」


「お前はそれがどういう意味か解って言っているのか?返答次第では…」


物凄い殺気、辺りをピリピリと痺れるような感覚が漂う。


「私は確かに帝国によって作られたアンドロイドです、しかしここにこうしているのは私自身の意思です」


「お前の狙いはなんだ」


依然としてヘルタレスから放たれる殺気は、俺の方へと向けられている。少しでも変な真似をすれば首が飛ぶだろう、ここからは慎重に言葉を選ばねば。


「貴方の力を貸してほしいのです」


「俺の力だと?敵の兵器に力を貸せというのか」


「私は、ある研究所で生まれましたが博士によってそこから逃げることができたのです。そして色々あって今ここにいます。帝国は私を取り戻そうと必死です、戦闘は避けられないでしょう。そこで貴方の勇者としての力を貸して欲しいのです」


「お前は姿形を真似ることが出来るようだな、もしかしてその真似た相手の技能なんかもか?」


「はい、おっしゃる通りです」


「それこそ無理な話だ、相手に私の力をみすみす手渡すことになるのだぞ?勇者の力は巨大だ、この力を悪用すれば多くの犠牲が出る」


「分かっておりますそれを承知の上でのお願いなのです、しかし言葉だけでは信頼には足らないでしょうそこで…」


胸に手を当てるとそこからマスターキーを取り出す。


「いけません、マスターそれを渡すということはマスターの全権利を渡すと同意義なのですよ」


分かってる、だがこちらも覚悟を見せなければ相手も納得するはずがないのだ。マスターキーこれを持つものに私は絶対服従しなければならない、私のそこに私の意思は関係ない。


「このマスターキーを貴方に渡します、これを持つものに私は逆らえません」


「…どうしてそこまでする」


「私にも分かりません…、ただ私には帰らなければならないところがあるのです。いつか必ず帰ってみせるそこへ帰るまでは決して死ぬことは出来ない、そのためには力がいるのです」


「帰らなければならない場所か…」


「クックッワッハッハ」


「分かった、お前に力を貸そう」


「ではこのマスターキーを」


「いやそれはいい、お前が持っているがいい」


「しかし、それでは等価とは言えません」


「確かにな、だが俺にはお前が言っていることは信じるに値すると感じた」


「帰らなければならない場所があるのだろう?俺たちもいつかは生まれ故郷へと帰れる日を夢見ている。お前が言った()()()()その言葉に偽りは無かった。俺にはちょっとした特技があってな、相手の目を見ればそいつが本当の事を言っているのか分かるのさ、それに連れを見たらお前が悪いやつではないと分かるしな」


「それでは」


「あぁ、俺の力お前に貸そう」


俺はキアラの姿へ戻るとヘルタレスに触れ集中する。


「ニコいけるのか?」


「はい、マスターマスターの力は魔法石によって強化されました。技能だけをトレースするだけなら対象を取り込まなくともしばらく触れていれば解析し次第トレース出来ます。もっとも、相手の力が強大である場合はブロックされたり、触れている時間が短ければ技能をトレースすることは出来ません」


いつの間にかヴァージョンアップしてたのか、しばらくヘルタレスに触れているとニコから返信があった。


「勇者ヘルタレスの勇者の加護、勇者の力をトレースしました」


「もういいのか?」


「はい、この力必ず悪しき事には使わないと誓います」


「もう俺も年だ、これからは若い奴等が世界を変えて行かねばならない、もっともお前は機械だったなワッハッハ」


なんか最後に嫌みを言われた気がするが結果的にうまく事が進んでくれて良かった。


「さてと、お前達はこれからアモールに帰るのか?良かったら町を見ていってくれ決していい土地とは言えないが皆精一杯暮らしている」


「はい、ありがとうございます」


そう言うと一礼し部屋を後にした。


「っはぁー、緊張した生きた心地がしなかったよ」


「あ、ご主人様やっと終わったんですか?」


「なんの話をしてたのですか?」


「ちょっとね、それより帰る前に町を見学していこうこっちに来てからおちおち休む暇もなかったし」


「見てくださいご主人様」


「雨が止んだのです」


雲の切れ間に日差しが差し込んでいる、外には子供のはしゃぐ声や商人の声が聞こえてくる。


「最初はなんだか怖い感じがしたけど、ここも他の町となんら変わらない良いところだったんだな」


「お姉ちゃん達他の国からきたの?私他の国の人見るの初めて!」


いつの間にか子供達に囲まれていた。


「そうですね、魔族なんて呼ばれていますけど普通の暮らしをしている人たちなのです」


空を見上げると大きな虹が町を明るく照らしていた。

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