真実
~応接間~
「話と言うのは?」
ヘルタレスに呼び出され個室に案内されると、椅子に腰を掛ける。
「君たちには真実を話そうと思ってね」
「真実ですか」
「既に気づいていると思うが我々魔族は、普通の人間だ、種族で言えばヒューマンといって問題ない」
「腑に落ちないと言った様子だな」
「はい、同じ種類ならどうしてこんな島にひっそりと暮らしているのですか?」
「どこから話すとするか」
「お茶が入りましたわ」
一人の女性がヘルタレスと俺の前に湯飲みを置く、お茶なんてこの世界にもあるんだな。
「あぁすまない、君も遠慮せず飲んでくれここで取れた茶葉は上手くてな、それでできたお茶は格別なんだ」
「おっと話が逸れたな、…昔今から50年以上も前の話、ある村に一人の少年がいた。彼は幼くして不思議な力を持っていた、彼が8つになる頃には近隣に出没していた魔物を退治して回るほど彼には力があったのだ」
「それと魔族と何が関係あるのですか?」
「まぁ聞け、彼は一躍町のヒーローとなった。彼のことを知らぬものはいないほどに、いつしか彼は勇ましい者、勇者と呼ばれるようになった」
勇者、魔王と相反する者ヘルタレスが魔王ならそれを倒すのが勇者、というのが俺の知ってる勇者なのだが。
「彼の噂はその国の王の耳にも届いた、そして彼が18になったとき城へと呼ばれたのだ。彼は戸惑いながらも城へ向かうとこう言われたそうだ」
「勇者よ、そなたの力は聞いておる。そこで一つ頼みがあるのだ、ある島に魔獣王と呼ばれる魔物がおるのだ。そやつがいる限り新たな魔物が次から次へと現れる。そこでその島へ向かいそやつを退治してくれと」
「勇者は同じ力を持つものと共に島へ向かった。そこには確かに魔獣王と呼ばれる魔物が存在していた、魔獣王との戦いはしれつを極め3日3晩続いたと言う、勇者と仲間達の力でようやく膝をついたのだ、しかし奴を倒すことは出来なかった。そこで仕方なくその地に封印したのだ」
「魔獣王を退け、城へ戻った勇者達を出迎えたのは手厚い歓迎…ではなかった。まさか本当に倒すとは、あんな化け物を倒す化け物…、彼らは勇者の、勇者達の力を恐れた。そして始まったのだ彼らのように力のあるものは捕らえられ尋問される。そうやってだんだんと追いやられた彼らは、魔獣王が封印されている島へと逃げ延びるしか生きる方法はなかった。勇者は逃げ延びた者を束ね、その島の統率者となった」
「そして、月日は流れいつしかこう呼ばれるようになった。魔獣王を倒しその地の王となった者、魔王とな」
「まさか、あなたは…」
「そう、私はかつて勇者と呼ばれたものそして今は魔王と呼ばれる存在なのだ、はっはっは驚いたであろうこれが勇者の成れの果てなのだ」
「この島は気候も悪く、何故か未だにどこからともなく魔物が現れる住みづらい場所、だがここでしか私達は生きられぬのだ。それでも一生懸命生きている、平和に暮らしたいと願えばこそ他の国との外交もしてこなかったのだ」
「ではどうして同盟を?」
「この先戦争は避けられぬ、こちらがやる気がなくとも相手にとっては脅威でしかないのだからな、我らを根絶やしにするまで奴等は安心出来ないようでな、それほどまでに私達の力は影響力があったのだ」
未知への恐怖、念力、お化け、UFO、人はそういった未知のものに対し恐怖する。それが自分達の中から現れ、その力を見せられたら力の無いものは恐怖するだろう。そしてそれらは不安の種でしかない。
「なぜその話を私に?」
「これから同盟を組む相手に隠し事はいかんと思ってな」
隠し事か…俺も隠し事をしている、実は俺は彼らを追いやった帝国によって作られたアンドロイドであること、彼は恥を忍んで話してくれた、それなら俺もそれに答えるのが礼儀ではないか?ただこの事を話たら最悪その場で殺されるかもしれない、だが俺には1つやりたいことがあった。ヘルタレスの勇者としての力を手に入れること、ニコの話では取り込まなくとも数分間触れているだけで解析しその力をコピーできるらしい、しかし相手は勇者先ほどから解析を試みているがあの少女と同じく解析出来ないらしい、解析するには彼自信の協力が必要これから戦いも激しくなるかもしれない、だからこそ彼の勇者としての力が必要なのだ。
俺は覚悟を決めた。
「私もお話しなければならないことがあります」




