休息2
「ここなのか?」
「ここみたいですね」
いわれと通りの場所に行くと小さな木でできた、お世辞でもいいとは言えない家が一軒ぽつんと建っていた。
ドアに近づくと軽くノックをしてみる。
「……。」
「……。」
「留守ですかね?」
「みたいですね」
「いないならどうしようもないな、残念だけど諦めるか」
「そんな、迷子の猫さんはどうなるんですか」
「そう言っても、依頼主がいないんじゃ話は進まないしなぁ」
その時立て付けの悪そうなドアがガラッガラッっと開くと、中から小さな女の子が顔を出した。
「お姉ちゃん達だれ?」
「私たち依頼を受けてここに来たんだけど、お母さんか、お父さんはいるかな?」
「お姉ちゃん達がチョコちゃんを探してくれる冒険者さん達なの?」
「ええそうよ、そのためにここに来たの」
「ありがとう!依頼したのは私よ」
「君が依頼主?」
「うん、いつも時間になったら帰ってくるのに昨日から帰ってこないの、チョコちゃんを見つけてお姉ちゃん達」
チョコって迷い猫の名前なのか?正直、報酬もお小遣い程度だし迷子の猫探しはあまり楽しめそうにないな…。
「申し訳ないけど……」
「分かりました、任せてください必ずチョコちゃんを見つけてあげるのです!」
「私の依頼を受けてくれるの?ありがとう!」
ああ、うん何となくこうなることは分かってたけど、どうせ暇だしやるか。
「そういえばまだ名前を聞いてなかったね」
「私の名前はテレサ」
「テレサちゃんって言うのね、私はハルこちらのお方はアキラ様です」
様って俺はいつからそんなに偉くなったんだ。でもなんでだろう言われて嫌な気分はしない。
「何かその猫の特徴とかないのかな?」
「チョコちゃんはね、真っ黒で目が青と黄色なの」
ふむふむ…、それだけ?まぁ猫の特徴なんてそんなものか、目のところが黒いぶち猫とかハートがたの模様があるとかならまだ特徴的で見つけやすいけど、真っ黒か目が青と黄色っていうのが唯一の目印か。
「分かったわ必ずチョコちゃんを見つけて無事にテレサちゃんのもとに連れて帰るね」
「うん、ありがとうお姉ちゃん達」
「とはいったものの、どこをどう探そうか地道に聞き込みしかないかな」
「流石ご主人様です、そうしましょう」
そう言うとハルはとことこと走りだし、何やらしゃがんで頷いている。
「ふんふん、にゃるほどにゃるほど」
近づいてみると、近所の野良猫に話しかけているみたいだ。猫のことなら猫に聞けってか、そんな馬鹿な猫と話せる奴なんてこの世に…。
「ご主人様、どうやら昨日の夕方向こうの通りで見かけたそうです」
ここにいた!?そういやハルは元々猫だったんじゃないか、見た目は人間だったからその事がだんだんないがしろになってたけど、やはりこの猫娘ただ者ではない。これなら案外早く見つかりそうだな。
「ご主人様こっちです」
「あ、あぁ」
今回俺は役に立ちそうにない、とりあえずハルの後をついていくことにした。目的の場所につくと再び近所の猫と話し出した。
「へー、そうにゃんだそれでふむふむ、そういう関係のない話しはいいにゃ!」
こうやって猫と会話してるのを見ると怪しさこの上無いな、周りの人の視線が痛い。
というか、ふと疑問に思ったんだが猫の言葉をハルが理解するのは分かるとして、ハルの言葉を猫が理解できるのは何でだ?人の言葉が話せないだけで、人の言葉が分かるってことなのか。うーん深くは考えないようにしよう。
「にゃんだってー!」
急に大声をあげ立ち上がるハル。
「ど、どうした」
「昨日の夕方、そこの路地裏でチョコちゃんがさらわれるのを見たっていってるにゃ」
さらわれた?猫をさらってなんになるんだ?
「その人は、ぐっへっへこれは珍しい猫だ金になるぜって言って走って逃げたらしいんにゃけれど、チョコちゃんのお友だちが追いかけて行ったら、町外れの倉庫に入っていくのを見たらしいのにゃ」
「成る程、それならそこの倉庫に行ってみるとしよう」
「了解にゃ!」
「ところで気になってたんだけどハルなんかしゃべり方が変になってない?」
「はにゃ、ついつい猫語で話してました」
猫語って語尾ににゃをつけるだけでいいのか…。それなら俺にも出来そうだな。先程ハルと話していた猫がこちらをじっと見ているので試してみる。
「有益な情報をありがとにゃ、きっと助け出すにゃ」
……………逃げてしまった。
「ご主人様何をやっているのですか?」
「っえー!猫語って語尾ににゃをつければいいんじゃにゃいのぉ!?何処か間違ってたのかにゃー!?」
ヒソヒソ
周りの視線が痛い、ダメだ恥ずかしくて死にそうだ。穴があったら隠れたいとはまさにこの事だ。
「ご主人様、恥ずかしいのでその話し方は止めてください」
ハルもさっきまで同じような話し方で猫と話してたんだけど!?どこがどう違うんだ。やはりハル恐ろしい子。




