私は誰?
「姉様、これ見て下さい凄く綺麗ですよ!」
「あまりはしゃぎすぎては、転びますよミー」
これは、私の記憶ではないおそらく、キアラの記憶。
「姉様あっちに、大きな実がなってます!」
「ミー、危ない!」
「姉様、姉様うえーん」
「怪我はありませんか?ミー」
これは、キアラの昔経験した記憶?何故それを私が見ているのだろう。
「ミー、これは母から教わった歌よ、母はあなたを生んで直ぐに死んでしまったけれど、こうやって受け継がれていくの、あなたも子供ができたら、歌って聞かせるのよ」
歌…、私はこの歌を知っている。
「姉様何処へ行かれるのですか?ミナを一人にしないで下さい」
「あなたはもう十分巫女として立派になりました、私はやるべきことがあるのです。また、すぐに戻りますよ」
「姉様、姉様ー!」
キアラの記憶が頭の中に流れ込んでくる。そうだ、私はミーを残してあそこに向かったんだ。あの洞窟に。
「これは、まさかそんな、オレイヤ大陸にも続いていたなんて、これのせいで魔物が…仕方ありません、ここで私が人柱になって封印しましょう。ミー、どうやらもう戻れそうにありません、せめてもう一度顔を見たかった…」
その瞬間目が覚めた。泣いていた、凄く悲しかった。キアラの思いがどっと流れ込んできた。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫」
話そう、もしかしたら捉えられるかもしれない、だけど話さないといけない私にはその責任がある。そしてあることに気づいた、気づいてしまった。
「ここ数日魔物が増えてなぁ」
魔物が増えた、私が封印を解いてしまったから、人柱になっていたキアラをそこから動かしてしまったから、だからテーテ村は…。
私のせいだ、くそっ!
とにかく全て話そう、それが私のせめてもの償いだ。
「ミナ、全て話しますこの体のことも」
ミナは何も言わなかったが、そのまま個室に案内された。
「私は、キアラではありません」
「では、誰なのです」
「私は、キアラと呼ばれるハーフエルフのコピー、そして、オリジナルは、私の中にいます」
「姉様が!?」
「その証拠をお見せします」
ニコに命令する。
「よろしいのですか?マスター、ここでの情報の開示は不利益にしかなりえません」
構わない。
「分かりました、これより収納されたオリジナルを解放します」
ぶぅん、という音の後一瞬にして目の前に水晶体が姿を表した。
「こ、これはどういうことです!まさか、貴方が姉様を」
「それは、誤解です。彼女はあるダンジョンに封印されていました。そこにたまたま居合わせた私が彼女をコピーしたのです」
「封印…、そのような話信じられません」
当然か、私は偽物でその偽物が話す言葉なんて信じられるはずもない。
「ここ数日で、封印の解析が進みまもなく解除できるところまで来ています」
「姉様は、助かるのですか?」
「まもなく、解析が完全に終わるとのことです」
その言葉に偽りはなかった。事実ニコによる全体の解析は98%までいっていた。
「解析、完全に完了しました、それに伴い全てのスキルと魔法を解放します」
その合図とともに、結晶にヒビが入り粉々に砕け散った。
「姉様!」
彼女は、すぐに意識を取り戻し足はおぼつかない様子だったが、なんとか立ち上がった。
「ミー、そうですか封印を解いてしまいましたか」
「こいつのせいで姉様は」
「いいえ、違うのです。彼女は悪くありません、私は望んで封印されたのです」
「そんな、なぜそのようなことを」
「ここ何年か、魔物の数が増えてきてその被害も増えてきていました。そして気づいたのです、魔物がどこから来ているのかそれは、ここオレイヤ大陸とリンド大陸を繋ぐようにしてある大迷宮ミドレイユ洞窟からだと、私はそこの深層までいき、その根元を見つけましたが、どうしようもなく私が人柱となって封印されることでその発生を押さえようとしたのです」
「そして、数十年たったある日彼女がやってきたのです」




