ハーフエルフの私、悲しみと怒りと
この話から言葉に出すときは私、心のうちは俺だったのが
完全に俺から、私に変わります。
「ヒーリス!ヒーリス!」
俺は動かなくなった少女に、覚えたての回復魔法をひたすら唱え続けていた。
「ご主人様、もうやめて下さい…ニーナちゃんは、もう…」
「ヒーリス!ヒーリス!ヒーリス!」
「ふん、下らぬ興が削がれた。愚かなる人の子よ」
昔、僕がまだ小さかった時、大事にしてた猫が死んだ。とても悲しかった。その時近所に住んでいた女の子に言われたんだ。
「ご主人様、止めてください、そんなことをしていては、ニーナちゃんも天国にいけませんっ」
そうだ、俺は昔同じことを言われたんだ。
いつまでも悲しんでいては、死んだものの魂は救われない。そう思ったとき、俺の体から悲しみが消えるとともに。ある一つの感情が沸き上がってきた。
「解析完了、怒りの解放とともに、新たに自己強化スキル、バイリスを解放します」
「ミナ様!テーテ村です」
「ひどい、これがテーテ村なの?」
私がテーテ村に着いた時には、既に村は火の海に包まれていた。
そこで、見つけたのは姉だと思っていた人物が今まさに、魔物の首を跳ねた瞬間だった。
「お前が、おまえがぁぁ!」
恐らく死んだであろう魔物に、さらに八つ裂きにせんと剣を振るい、血だらけになる姉の姿だった。
「ご主人様!もう終わりました。終わったんですよ!」
ハルは必死に止めに入るが、私の耳には入ってこない。
「ご主人様!」
パシッ
殴られた、ハルに、その瞬間私は我に帰った。
「もういい、もういいのですよご主人様、終わりましたから」
血だらけの私をハルはそっと抱き締めてくれた。
おわった、その言葉に今度は悲しみが溢れてきた。
「ふぅぅ、うわぁー」
まるで、血と涙を洗い流すかのように、雨が降っていた。
「ミナ様…、これは」
「各自生存者の確認を、それと生存者は直ぐにトレイア村に」
「はっ」
姉様…。
その後のことは良く覚えていない、気づいたらベッドの中にいた。
「落ち着きましたか?あねさ…アキラ様」
「ここは」
「トレイア村です、あの後気を失ったようでしたので、こちらに運ばせていたたきました。ハル様も心配されてました」
ハルが…、ハルがいなければ私は私で要られなくなっていたかもしれない。
「あなたは、私に自分は姉であるキアラではないと仰いました。今日の戦う姿を見て、私も貴方がキアラ姉様ではないと感じました」
「……」
「では、一体貴方は誰なのです?姿形は、姉様なのは間違いありません、ですがそれを否定されてしまった」
「分からない、自分でももう何が本当のことか分からないんだ、ミー」
その言葉に、ドキッとする。ミーそれは姉様だけが私を呼ぶときに使う言葉、自分はキアラではないという人物が今度は私のことをミーと呼ぶ。
「失礼します」
そういうと、ミナは部屋を出ていった。
私はベッドに横になると目を閉じた。




