ハーフエルフの私、再びテーテ村へ
一瞬だった、魔法を唱えるとテーテ村についていた。
しかし、最初に訪れた綺麗な村の姿はそこにはなく、逃げ惑う人々、燃える家、倒れて動かない人、俺は走り出していた。魔物の呻き声と、人々の悲鳴が木霊するこの町を。
途中、暴れている魔物を切り払いながらある家の前で立ち止まる。
その家は炎に包まれていた。俺は迷わずその家に飛び込む、中は既に火の海ものすごい熱で、思わず怯む。
「ぐ、誰か!誰かいないのか!?」
「その声は、昨日の旅の方ですか…」
すぐに声のした方に駆け込むと、ハンナとベリトーが倒れていた。
「しっかりして下さい!今助けますから」
「いえ、ハンナはもう既に…、私ももう助からないでしょう」
「そんな、私がこの村に残っていれば!」
「いえ、旅の方のせいではありません」
「でも、でも」
もうどうしていいか分からない、何もしてやれない自分の無力さにただただ絶望するしかなかった。
「それにしても、巫女様に良く似てらっしゃる。一つだけ、頼みを聞いて下さい、私達の宝、ニーナを救って下さい、二階の…うっ」
「タンス…の中に隠れているように言っておきました。どうか私達の宝を、ニーナを救って下さい、巫女さ…ま」
最後までいい終えると満足したかのようにその顔に生気はなくなった。
ここで泣いていてもダメだ!すぐに二階へ向かう。
「ニーナ!」
タンスを開けるとニーナは、ブルブル震えていた。
「おねぇちゃん?」
すぐにニーナを抱え窓から飛び出る。
「ご主人様!ニーナちゃん、良かった」
「ハルおねぇちゃん、うわ~ん怖かったよぉ」
ニーナの家はみるみる炎に包まれ崩れた。
「パパとママは?」
俺はその言葉に胸が握りつぶされたような感覚を覚えた。
声に出せない、どう答えたらいい?死んだその事実をこんな幼い子供に突きつける権利が俺にあるのか?言葉がでない、俺はただ首を横に降ることしか出来なかった。
「そんな」
「いやだ、パパとママをたすけるの!はなして!」
「ニーナちゃん、ダメだよ!」
「はなして、パパ、ママァ」
ハルはそんなニーナをただ抱き締めている。
「くそっ!もう少し早く駆けつけていたら!」
下を向く俺たちに、この村を壊滅させた元凶が少しずつ近づいて来ていた。
「マダイキノコリガイタカ」
その声に俺は顔を上げる。そこには一匹の魔物がこちらを見下ろしていた。
「目標から殺意を感知、敵とみなします」
??? 性別不明
種族 魔獣
筋力 B
瞬発 B
耐久 B
魔力 C++
幸運 C
潜在能力 B+
「お前がこの村を襲ったのか!」
「いかにも、我が名は魔獣オルゴーン」
「お前が、おまえがぁぁ!」
剣を抜き一直線に突っ込む、相手が強かろうが関係ないただ、仇を討つそれ以外になかった。
剣を振るうが、弾かれる。
「アグニ!!」
剣に炎を纏い再び切り込むが、魔物はそれは軽くかわすと、すぐに反撃してきた。
「ぐぅ」
「その程度で、我に刃向かうとは、すぐに殺してやろう」
前の戦いで、能力的にはかなり向上した。が、それすら上回るポテンシャルをこの魔物は秘めていた。
ドゴォ
「がっはぁ」
もろにくらってしまった。息が出来ない、目眩もするし体の力も入らない。
「こいつが、パパとママを…」
ハルがアキラに気をとられている隙に、ニーナがハルの胸から飛び出る。
「ニーナちゃん、ダメ!」
「お前がパパとママを!」
刃物のようなものは、魔物の硬い皮膚に弾かれる。
「パパとママを返してよー!」
「ふん、虫けらの分際で、強者が弱者を殺して何が悪い?目障りだ」
「やめろぉーー!」
次の瞬間、少女の体は宙を舞い、地面にたたきつけられた。
俺は這いずりながらその少女の元に向かう。
「パパ、ママ、どこ?真っ暗で何もみえないよ」
俺は差し伸べられた手をただつかむ。
「ごめん、約束したのに守るって」
「パパ、ママ、ニーナ寒いよ、パパマ…マ」
やがてその手から温もりは消えた。
「あ、あぁ、うわぁぁーーー!」
「解析完了、悲しみを解放しました。また、それにともない治癒魔法ヒーリスを解放します」




