平均以下の俺、幽霊になる
「未練はあるか?」
突然頭の中に声が響いた。あたりを見回したが誰もいない、榛名さんに目を向けるが幽霊になった僕に話しかけた様子はなかった。
「未練はあるか?」
再び同じ問が帰ってくる。
「ある、今まで後悔や未練なんてものは何もなかった。途中で死んだなら、それが俺の人生だと思っていた。けど、俺を必要としてくれる人がいた。だから、俺はこの人生に未練がある!だから俺は死ぬわけにはいかない」
そういいきった瞬間ものすごい光に包まれた。思わず眼を覆う。
光の玉のようなものが俺の目の前で静止し、再び問いかけてくる。
「汝が望むならその願い叶えてやろう」
「本当か!?」
「ただし、条件があるここより遥か遠くに、ソニアという星がある。その星に転生、汝が活躍し、名声を得るまでになったならば、その願い叶えよう」
ソニア?転生?言っている意味がよくわからなかったが断る理由もなかった。
「よろしい、ならば転生する前に何かひとつ願いを叶えてやろう、最強の剣がほしいか?それとも最強の鎧か?」
転生する前に何か叶えてくれるらしい、確かに最強の剣があればすぐに魔王なりなんなりを倒して名声を得られるかもしれない。しかし、僕が出した答えは違っていた。
「ハルの・・・ハルを救ってくれないか?俺の飼っていたネコなんだがあいつのために死んだのにこのままじゃ報われないし」
「よろしい、その願い叶えよう」
「汝、名はなんと申す?」
「明、明っていいます」
「明よ、見事ソニアでその名を轟かせ、現世に再び戻ってくるがいい」
光の玉はさらに発光していき全身が光に包まれる。俺は目の前が真っ白になった。
ハル、ちゃんと助かったかな?
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ソニアとかいう星に転生とかいってたよな。
転生…、何かに生まれ変わるってことだよな?できれば超イケメンか、絶世の美少女でお願いします。そして必ず戻ってくるそう心に誓った。
かくにも俺の第二の人生が今スタートしようとしていたのであった。