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小話と短編は連載となる  作者: 黒田明人
1章 小話1と小話2より抜粋
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09 チート疑惑






 VRゲームにも色々あるが、つい最近までやっていたゲームはかなり気に入っていたのに、止める羽目になったんだ。


 それはチート疑惑のせいだ。


 普通に倒していただけなのに、何か不正をしているんじゃないかと追求され、言いがかりだと思って無視していたらそれが大勢となり、まるで吊るし上げみたいにされたうえ、どいつもこいつも口汚く罵って、まるで真犯人を捕らえた、みたいな態度でありもしない事を白状しろと強要されたんだ。


 後に運営が介入して誤解は解けたけど、その頃にはもう、ゲームをやる気力など残っていなかった。


 当時の事を振り返る。


 ◇


 強敵と言われる敵の中でも、自分的には一番倒し易い魔物を見つけ、それを専門に狩っていた。


 なんせ他の強敵はソロなどでは到底狩れず、フルパーティでようやく倒せる相手なのに、あの強敵だけはソロでも可能な相手だったからだ。


 それはある特徴があったからだ。


 けん制攻撃を何度か繰り返せば、ウザいと思ったのか、必殺技の攻撃態勢となる。


 口から何かの攻撃か?

 しかしな、戦闘中に口を開けるとは。

 しかもそんな大口を。


 ◇


 口中を投げナイフ入れにした魔物が倒れている。


 これ、このまま首落として持ち帰ろうか。

 ちょっとアレだけど、30本も収まっているし。

 部屋のオブジェにはならんかも知れんが、持ち運びには便利そうなんだよな。


 ナイフは全て頭蓋骨の内側で止まっており、当然、頭蓋骨の中身はミンチになっている。


 どんな強力な魔法なのかは知らないが、上向き加減で大口を開けるから、そこに連続投げナイフアーツで30連の攻撃をしただけだ。


 そうしたら、何も言わずに倒れたんだ。


 投げナイフアーツは通常6連続なんだけど、5つまでの予約アーツホルダーがあって、5連続攻撃に使えるから、そこに全て投げナイフアーツを収めたに過ぎない。


 投げナイフアーツは、投擲スキルを持っていれば、最初に覚えるアーツだ。

 それと言うのも、普通は攻撃力が余りないので、数撃つ必要があるんだ。

 それでも弱点に使えば、それなりの威力が見込めるので、弱点に連続で打ち込む為のアーツと言えるだろう。


 後で聞いたら、そいつは口から必殺技を吐くらしくて、その魔法は状態異常のオンパレードなうえに、かなりの毒なので中級から先の解毒薬を使うか、上級解毒魔法を使うしかないらしい。


 しかも、使用してすぐに回復する訳ではないらしく、戦闘中に食らうともれなく死に戻りになるという恐怖の攻撃らしい。


 ただ、発射の直前の数秒で態勢を整えてガード系の魔法を多重に構築してで防ぐのが今までのやり方だったらしく、口の中に攻撃を当てようなんて輩は存在しなかった。


 だけど言わなかった。


 余りにも当たり前の弱点なので、他の誰かがすぐに見つけるだろうから、わざわざ言わなくても良いと思ったのさ。


 生物全てに共通する弱点なんだから、すぐに分かると思ったのさ。

 そうしたら、結局は追求されて仕方なく発表するまで、誰も気付かないんだ。


 情けないよな。


「これで満足か? 」

「まさか、口の中が急所とか、そんなの普通、気付くかよ」

「お前の口の中も急所だぞ。相手を人形か何かと思っているから気付けないんだ。口の奥には何がある。そう、脳だ。あいつは上向きになって口の中を晒す。となれば、その奥にある脳を狙ってやればいい。後ろからだと頭蓋骨が邪魔になるが、前からなら問題無い。だから当然、普通に気付くと思って言わなかっただけだ。まさかこんな気付いて当然の急所にすら、気付かないとは思わなかったよ」


 言ってやった、言ってやった。


 勝手な憶測で他人を貶めた挙句、よってたかって情報の公開を強要しやがった連中に。


 言ってやったぜ。


 何がチートだ、何が独占だ。

 大抵の生物は口の中が急所なんだよ。


 しかもご丁寧に上を向いていれば、その奥には脳みそしかねぇよ。

 そのまま数秒あれば、アーツ5連打も余裕なんだよ。


 しかも最初に覚えるアーツだし、そこらの初心者でもやれる事さ。


 それを攻略組が偉そうに、チートだと決め付けて囲んで、挙句の果てには脅しによる強制連行までやらかして、広場での吊るし上げ会場とやらまで連れていかれた挙句、ご丁寧に逃げられないようにと周囲を囲むんだ。


 そうして犯人を尋問するかのように、荒い言葉で吐けと強要しやがったんだ。


 で、言われるままに情報を公開したと。


 そのままじゃ悔しいから、思いっ切り言ってやったぜ。


 ◇


 当時の関係者は軒並み厳罰注意を受け、中でも粘着気味にストーカーして絡んだ連中はかなりのペナルティを受けたらしい。


 それでも相手が客のせいか、遊戯停止にはならなかったとか。


 客が糞なら運営も糞。

 だからもう、辞めるんだ。


 幸いにもあの強敵から得られた素材各種は友人が買い取ってくれるらしく、全て売り渡して削除の予定だ。

 散々不正扱いしたんだし、最後に本当の不正をやっても構わないだろ。


 リアルマネートレードがどうした。


 チート疑惑で散々貶めてくれたその代償に稼ぐだけだ。

 まあ、友人はオレとの関係は秘匿するが、素材の出先を探ろうとするかも知れないな。


 なんせ何の証拠の無いのに自分達の思い込みで他人を犯人と決め付けて、大勢でよってたかってこき下ろすのが好きな連中がやっているゲームなのだから。


 もっとも、そこまでやっても遊戯停止にならないようだし、リマトやっても停止にならないかもな。


 まあ、がんばれよ。

 

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