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小話と短編は連載となる  作者: 黒田明人
2章 連載版・色々と想定外
22/27

12 移動と野宿らしい


それからは何事も無く、森と荒野に挟まれてのんびりと歩く旅は続く。

そのうち森が途切れて荒野ばかりとなっていった。

このまま荒野が続くとか、ちょっと想定外なんですけど。

人里探して荒野とか、困るんだけど。

どうにも地平線まで何も無い荒野に思え、仕方なく右折する。


さあ、あの夕日に向かって……野営の準備だな。


緩やかなスロープ状の四方が硬い構造物の地下道を掘り進めていく。

通り過ぎた場所には広くて深い穴を開けておいたので、何かの動物も奥には来られないだろう。

空を飛ぶ生き物対策には低い天井があるし、そもそも寝台馬車の大きさの地下道なので、でかいのは通れないはずだ。

穴の奥より少し手前で馬車を止め、車輪止めをして仮固定する。

そうして穴の奥に埋め込みの浴槽を作り、ここで裸族が出現する。

服を脱いで馬車に掛け、下着は洗って、靴の中敷も洗って干しておく。


そうして魔法シャワーに魔力を注げば、お湯がジャンジャン沸いて出る。

しかも両手でやっているから速度は2倍だ。

湯が8割になったらまずは身体を丸洗いして、そのまま浴槽に浸かる。

しばらく浸かって温まったら、弱い火種と風出しを使っての温風で身体を乾かす。

そいつで下着も乾かして着用し、靴に中敷を敷いて履く。

寝巻きにと拵えた毛皮のガウンを着て寝台馬車の中の毛皮布団の中に潜り込む。

後は傍の椅子に皿を出して、塩焼き串肉で晩御飯をして、そのままおやすみなさいとなる訳だ。


ビールがありゃぁなぁ。


塩焼き串肉を食べながらそう思うが、無いものねだりは意味が無い。

果物でも樹木に実っていれば果実酒もやれるんだろうけど、生憎とその手の知識は無い。

もっとも、他の知識も浅くてあやふやなんだけどな。


ふぁぁぁ、寝るかぁ。


明日こそ、人里に行けますように。



真っ暗の中で目が覚めて、着火で周囲が明るくなる。

とは言っても小さな深皿に精製した獣脂を入れて、木綿の服の端を切って作った芯を使ったランプもどきだけど。

ホヤっぽいガラスを活用しているけど、やっつけ感が半端無い。

こんなのでも無いよりはましと小物入れに入れてあり、暗い場所ではこれを使うようにしているんだ。


もちろん手探りなんかじゃやれないので、昨日食った串に着火しての作業になる。

準備が出来たらその串がそのまま、着火道具になるって訳だ。

こういうのは毎朝やっているので、手探りでも問題無い。

どのみち木材加工が楽にやれるようになった関係上、串がいくらでも作れるようになり、だからこそ使い捨てでも問題無いんだ。

もっとも串と言っても薄い板を切った四角い串だけどね。


そこまでの暇人じゃないので、四角い串を丸く削ったりはしない。


もっとも四角と言っても長方形だけど、そのほうが刺した肉が回らなくて良いんだよ。

だからどちらかと言えば、アイスクリームの棒みたいな代物の長いやつかな。

寝台馬車を作りながら、そういうのもやっていたから大量にある。

だから別に使い捨てにしても惜しくないんだ。


それはともかく、出発の準備をしないとな。


朝食も串肉なのは情けないけど、2本食ってから移動開始だ。

車止めを外して指定の場所に置いて、引き手を外して反対側に回して差し込む。

これがちょっとしたアイデアってやつで、通路の中で反転させなくても良い仕組みになっている。


通路を外に向けて馬車を引くが、ランプの明かりが頼りだな。


自作の地下道だから心配は無いとは思うものの、やっぱり真っ暗の中を移動するのは精神的にストレスになるようだ。

だから気休めのようだけど、こんなランプもどきでもあるのと無いのとでは全然違うんだ。

そうして段々と周囲が明るくなり、ランプも不要と思えば火を消して収納する。

これも簡易な明かりには便利だけど、どうにも素人が適当に作ったって感じで見栄えが悪い。


そのうち何とかしたいものだな。


途中の穴は限りなく浅くしてそのまま通過して、最後の入り口のでかくて深い穴も限りなく浅くする。

無事に通路を出られたので、振り返ってそいつも限りなく浅くする。

使い捨てみたいだけど、こうしないとうっかり遺跡とか思われたら嫌だからな。

特に浴槽の横の穴の中の物質とかさ。


さて、今日こそ村か町に着けるといいな。



またゴロゴロと、寝台馬車という名の荷車を引いていく。

ずっと荒野のままかと思ったら、少し湿ってきた感じだ。

そうして草がちらほらと生えているような地形となり、次第にそれが多くなっていく。

そのうちに視界に白っぽいラインが見えるようになり、もしかしたらあれは道じゃないかと思えてきた。


近付くにつれてはっきりとしてきたが、やはりあれは道だろう。

やれやれ、これでようやく人の近くに来たようだな。

そうして遂に道の上に寝台馬車……ええいもう、荷車で良いよ。


馬無しで馬車は無理があるもんなぁ。


さあ、どちらに行こうかと思うが、北は以前の廃村の方向だから、やはり南が正解か。

だけど廃村の近くに新しい村とかあるんじゃないかと思ったら、どちらが正解か分からなくなる。

時間も時間だからと昼食タイムにして、座ってのんびりと串肉を食べているも、誰も通り掛からない。

行商人とか居ないのかとも思うが、これだけ人の気配が無いって事は、恐らくは辺境なんだろう。


なんせ動物も魔物もさっぱり出会わないんだから。


それにしても、よくよく考えてみると、廃村の辺りは狼が主流だった。

それが南に下って遺跡辺りになると、狼よりも熊とか猪とかネコ科の動物になっていた。

更にそこから南東に進むと、サイクロプスの生息域があった。

この事から考えるに、南に行くほど強い生物が居ると考えたほうが良いかも知れない。


となると、ここは北が正解か。


まあ、最悪、あの廃村に戻っても構わないしな。

なんせあそこには鍛冶屋っぽい廃屋があり、あれが中々便利だったんだ。

だから無理ならあそこでもう少し、色々な道具の向上を図るって方法もある。

なんせ今なら生活魔法もかなり進化しているから、村回りの樹木の活用もやれるだろう。

それに廃屋を使えばこの荷車も、もう少しましになるかも知れないし。


よし、決めた。


結局、夕方まで何も無く、まだそろ地下道での野営となる。

本当に神様も不親切と言うか、いくら忙しくても人里近くに配してくれよな。

そんな風にぶつぶつ言いながらも、今日もお風呂は欠かせません。


汗を掻いたしな。


そうしていつものように夕食を食って、いつものように寝るのです。

 

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