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叶え人-さよならは言わない‐  作者: 凜風 杏花
5/12

第5回 アージの苦悩

台湾ドラマのようなお約束場面がいっぱいの、プラトニックなラブロマンス。

自分好みのピュアな物語を妄想全開で書いています。

脚本バージョンも作成していつか2時間ドラマに。


ヒロイン・町田杏子(まちだきょうこ26歳)

30日限定の夢の相手は台湾の俳優アージ

舞台は香川県、金曜日更新、全12回

夜、ホテルの部屋でアージは窓際に立ち、ウイスキーのグラスを傾けて海を見ている。


苦々しげに

「お前はなにをやってる、アージ?」


アージは撮影スタジオの様子を思い出す。


撮影のかたづけをしながら、スタッフがアージのことを話している。


「今日の王子はご機嫌、最悪!」


「あぁ、でも、たいていのことはほめときゃ大丈夫なんだよ。監督からすれば視聴率とれる金の卵なんだから、うまくやれよ」


「だんだんわかってきたよ、アシスタントの仕事が何か」

   

二人は顔を見合わせて苦笑する。


アージは陰で壁にもたれ聞いている。



アージはさらに回想する。


豪邸の応接室で、アージと婚約者がソファにかける。


婚約者の父は向かいの椅子に座ると

「そんなに緊張しないで、ゆっくりくつろぎたまえ」


アージは咳払いの後

「ありがとうございます」


婚約者が言う。

「そうよ、いずれはここに住むんだから」

   

アージはムッとした表情になる。


「それにしても、娘が君と結婚したいと言った時はびっくりしたよ。俳優と結婚なんて!」

見下したような顔でアージを見る婚約者の父。


「お父様、俳優だなんて……アージは、これからプロデュースのお仕事もしていく実業家なのよ。もちろん、後押しもしてくれるわよね」


「それはいいが、私にできるのは資金援助くらいだよ」


「あら、それが一番大事なことよ。ねぇ、アージ」


婚約者はアージの肩にもたれかかる。


アージ、唇の片方をあげ、すこし微笑む。


「この通り、父親は娘には頭が上がらないよ、ハハハ」




思い出したことを振り払うように、アージはソファにかけてグラスを置き、両手を組む。


うつむいて苦しげな表情で

「僕は何をしてるんだ。彼女を好きだと勘違いして、婚約してから後悔するなんて」


「でも、メディアにも婚約を発表したし、彼女の父親には映画のスポンサーになってもらう約束をした。もう引き返せない」

   

アージ、しばらくしてはっとしたように顔をあげ

(いや、引き返せないのか、ホントに……)

  

ホテルの窓から夜の海が見える。




同じ日の夜、杏子はパジャマ姿でコーヒーを入れている。


スマホが鳴る(アージの歌のオルゴール曲)


嬉しそうな顔になって電話に出る杏子

「アージ?」


「え~と、こんばんは」


杏子は恥ずかしそうに小さな声で

「こんばんは……」


「まだ、起きていましたか」


「はい……ええと……」


「何?」


「初めての電話……です」


「あぁ、ほんとですね」

アージは微笑む。


杏子は何の用事か気になりながら

「えぇと……」


杏子の声をさえぎるように

「明日の土曜、デートしませんか」


思わず大きな声になる杏子

「デ、デート~!」


「はい」


「だって、あなたには……」


「婚約者のことなら忘れて……あぁ、そうか、君の彼に悪いんだね」


「そんな、いませんよ、彼なんて」


「よかった!杏子さんのおススメの場所は?」


「私、前から恋人ができたら行ってみたいと思ってたところがあるの…そこでもいい?」


「もちろん」




翌日、雨が降る防波堤で、杏子とアージが傘をさし、歩いている。


風が吹いて杏子の傘が飛ぶ。


二人が同時に叫ぶ。

「あ~っ」


アージ、傘をつかもうとするが届かず、傘が海面に落ちる。


アージが杏子を見て

「ごめん」


「ううん、私が悪いんだから」


アージ、杏子に傘をさしかけ、杏子は恥ずかしげにとまどう。


アージ、優しい目で杏子を見ながら

「その服、明るくて似合ってる]


「実は、新しく買いました」


「そう…今日は恋人だからね」


杏子はうつむく。

(今日だけの恋人でもいい。でも、この記憶もアージは忘れてしまうのね)


「恋人は嫌ですか」


「嫌だなんて、とんでもない。私はあなたの大ファンなのよ」


アージ、目を見開いて

「えっ、そうだったの?」


杏子も驚きながら

「私、言わなかったっけ?」


「一度も」

   

二人、黙ってしまい、しばらく海を見つめる。


しばらくしてアージが聞く。

「どうしてここに来たかったの」


婚約を後悔していた上に、仕事の上でも悩みをかかえているアージ。

杏子と出会ったことで、何かが変わるのか!?

第6回「純愛の聖地」は9月8日(金)夜掲載。


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