陰謀が忍び寄る
○次回は9月16日、11時に予約投稿しました。
◎ストレスを感じた時に、考え方を変えると楽になる事があります。
例
問題:上司が自分にだけ、仕事を押し付ける。
解決:上司に頼りにされているんだと思う。
:色々な仕事を経験出来るので、スキルアップに繋がると考える。
問題:夫が急な飲みに誘われて、帰りが遅くなる。
解決:一人で自由になれる時間が増えると考える。
呂将軍の屋敷の中で、将軍と息子の電我と話をしていた。
「父上。辛評の賄賂の証拠を抑えました。」
「真か。見せて見よ。」
将軍に、証拠を渡した。
「これほどの人物が関わっていたという事だな。」
「ただ、大丈夫でしょうか。」
「何がだ。」
「辛評が攻撃を仕掛けるかもしれません。」
「なーに。こちらには証拠があるのだから、心配いらん。
今直ぐに、韓馥様に報告をしに行くぞ。」
「ハイ。では出発の用意をしてきます。」
電我は、屋敷を出た。
「これで、不正を正せる。」
ほっとした表情になった呂将軍だった。
アイと良は、リンの部屋にやって来た。
「入るぞ。」
「まぁ。珍しいですね。若様が私の所に来るんなんて。」
「今日は、折り入って話がある。」
「あらあら。いきなり本題ですか。世間話でもして頂ければいいのに。」
「急ぎの用だからな。お金を生む方策を考えたから聞いてくれ。」
良は、今さっき話した内容をリンに話した。
「つまり、お金を貸して欲しいと言う事ですね。」
「そうだ。」
「もちろん。駄目です。我が家は、商人にお金を借りている状態なんですよ。」
「解っている。だから、誰に借りたか教えて欲しい。」
「それを聞いて、どうすのですか?」
「直接、交渉を行ってお金を借りる。」
「ハハハ」
口元に手を当てて上品に笑った。
「多額の借金をしているのに、さらに貸してくれる訳ないでしょ?」
「先ほど話あって、商人を説得する方法を考えた。」
「そうですか。お好きにして下さい。ただし、旦那様には報告させて貰います。」
「ああ。父上によろしく伝えておいてくれ。」
良は、商人の名前と住所を教えて貰って、部屋を出た。
「私の仕事はここまでですね。頑張ってくださぁ~い。」
アイは、良に手を振った。
だが、良はじっと子犬の様な目で、アイの方を見た。
良の目線に耐えれなくなったアイは質問をした。
「ど、どうしたんですか?」
「お前も一緒に来い。」
「嫌ですよ。商人に話す内容は教えたんですから、私が行かなくても大丈夫でしょ?」
「お、お前が来てくれた方が安心だから・・・」
アイに聞こえない声で、ぼそぼそと言った。
「え?何か言いました?」
「つべこべ言わずに来い。主人の命令だ。」
「え~。じゃ~。給料を上げて下さい。」
「はぁ?何、生意気な事を言っているんだ。」
「私は、給料分しか働きませ~ん。」
「貴様。」
「どうぞう。どうぞう。お人一人でどうぞ。
私は二人の勉強を見ないといけないので、これで失礼しま~す。」
アイは、良に背中を見せて、部屋の方へ歩いた。
「ちょっと待った。」
良は必死の形相でアイを止めた。
「何ですか?」
機嫌の悪いアイは、ぶっきら棒に答えた。
「給料を上げるから、一緒に来てくれ。」
「いくらですか?」
「2割増しでどうだ。」
「たったそのくらいですか。」
「十分高いじゃないか?」
はぁ~と、ため息をついて、アイはさらに不機嫌になった。
「2倍」
アイは、右手で2の数字を作った。
「高い。」
「3倍」
アイは、右手で3の数字を作った。
「はぁ?何で上がっているんだ?」
「4倍」
「待て。待て。待て。」
「5倍」
「解った。解った。」
「毎度ありがとうごいま~~~~~~~~す。(*´з`)」
(はぁ~。リンに怒られてしまう。付いてない。俺のお小遣いから出すか~。(><)
でも、商人の交渉が上手く行けば安い出費だ。('ω')ノ)
ため息を付いた後、自分を励まして都にいる商人の所へ、アイと一緒に行った。
「姫様。結構遠いですね。」
「そうじゃな。」
ウーリンとサザが、良の屋敷に向かって歩いていた。
「あ!あれ!関良です。」
「!!!!!」
「どこじゃ。どこじゃ。」
キョロキョロして、辺りを見合わすウーリンだった。
「あ!いた。」
突然、ウーリンは家の物陰に隠れた。
「姫様。どうしたのですか?」
「解らぬ。あ、あやつを見たら、なぜか隠れてしまった。」
「あの者と話をすれば良いじゃないですか?」
ウーリンの手を引っ張って、行こうとするサザだった。
「や、止めぬか。あ!!」
「姫様!!!」
強引にウーリンが手を引いた。
「しーーーーー」
サザと一緒に物陰に隠れて、良を見ていた。
「仁と五右衛門を残して良かったのか?」
「大丈夫ですよ。二人に文字の書き取りをやるように言ってますから。」
「特に、仁は直ぐサボりそうだからな~。」
「五右衛門に監視するように言ったので、大丈夫ですよ。
それよりも、さっき若様ったら緊張してたんですか?」
「ああ。どうも。リンと話をする時は緊張するんだ。」
「これからが、勝負なんですから、頑張って下さいよ。」
アイは良の背中を叩いた。
「いったーーーー。何で叩いたんだ。」
「気合ですよ。気合を入れた方が緊張しなくて、交渉を有利に進められますよ。」
「ホントか~?」
「じゃ~。もっと効くように、もう1発行きますか。」
アイはニヤっとした。
「いい。いい。」
首を振った良だった。
ウーリンは、後ろから良達の姿を見ていた。
「何だ。あの女?」
ご機嫌だった表情から、突然不機嫌になった。
「さぁ~。奥さんですかね~」
ウーリンは、眉間に思いっきりシワを寄せて、サザを見た。
「怖いです。姫様。」
「調べてなかったのか?」
「ハ、ハイ。」
「サザよ。一番大事な事では無いか。」
「申し訳ありません。」
「帰ったら、ちゃんと調べるのだぞ。よいな。」
サザは頷いた。
「では、帰りますか。」
ウーリンは首を振った。
「土産を買って来い。」
「へ?」
「この間のお詫びとして、土産を渡すのだ。」
「ああ。なるほど。」
「さっさと行け。」
「ハイ。」
サザはお土産を買いに行った。
ウーリンは、良を尾行した。
「父上、もうすぐ都に入ります。」
「そうだな。」
呂将軍達は、辛評の賄賂を報告するため、都へ目指していた。
横から炎の矢が一斉に飛んで来た。
「う。」
護衛をしていた兵士が、倒れていった。
「敵襲だ。迎え撃て。」
呂将軍は直ぐに、矢が放たれた方向に走って行った。
敵が炎弾を複数放った。
「雷盾」
呂将軍は、自分に当たりそうになった炎の玉を
バチバチという音を立てた左手で、払い除けた。
「この私に刺客など笑わせる。雷雷。」
「うぁ~。」
上空から、雷が黒装束の敵兵に落ちて、ドカーンという大きな音が鳴った。
そして、呂将軍は剣を抜くと。
「雷列斬」
剣で一人に斬りつけると、左右に居た4人の兵士が一斉に電撃を食らって、死んだ。
だが、敵兵はどんどん数を増やしていった。
「父上。このままではきりがありません。ここは私が引き受けますので、
先に行って下さい。」
「息子を見殺しにしていけるかぁ。」
敵を斬りながら、会話をしていた。
だが、兵士の数が違い過ぎているため、会話する余裕が無くなってきた。
「父上。早く行って下さい。証拠の品はこちらです。」
電我は、懐から証拠の品を出して、父に渡した。
「だが。」
「これで、不正を正して下さい。いつも父上が言っているではありませんか。
【民が喜ぶ事をしろ】と。」
とうとう、護衛の兵が全てやられ、二人になってしまった。
「父上。ご武運を。雷真檄」
「電我。」
電我は、槍を回転して電撃を飛ばしながら、一人で敵に突っ込んで行った。
「すまぬ。必ず生きろ。」
呂将軍は、電我が足止めしている内に、先を進んだ。
商人に行くために、都を目指しているアイと良だった。
「あれ?」
「どうした?」
「上空から雷が落ちていませんか。」
良は上の方を見た。
すると、上空から雷が多数落ちて来た。
「キャーーーー。何なの。」
雷が落ちる凄い音に、ビックリしたアイだった。
「戦闘だ。」
良は、突然厳しい顔になった。
「誰が戦ってるんですか?」
怖がっているアイは、恐る恐る聞いた。
「解らん。様子を見て来る。お前はここで待っていろ。衝足」
アイを残して、良は戦闘している所に、低い姿勢のままジャンプする様にダッシュした。
「何?あの速さは、魔法かなぁ?それにしても変な走り方。」
女が一人。走ってアイの横を通り過ぎて行った。
「韓馥様。韓馥様。」
呂将軍は、急いで、韓馥のいる部屋にやって来た。
「お待ちを呂将軍。」
部屋を警護する者に止められた。
「何だ。」
「剣を渡してください。」
「今までそのような事は無かったではないか?」
「決まりですので、ご協力を」
警護の兵士も一歩も引きかなかった。
不満そうな顔した呂将軍も仕方なく剣を渡し、部屋の中に入っていった。
「どうした?呂将軍。」
「韓馥様。今日は急いでお知らせしたい事があります。」
「それはどうゆう事かな?」
「辛評が賄賂を受け取っていた証拠を手にいれました。」
「ほぉ~そうか。見せてみろ。」
呂将軍は、韓馥に渡した。
そして、証拠の品を見ずに横に置いた。
すると、呂将軍がいた所に、上から檻が落ちて来た。
「何だ。これはいったい。」
「龍真石で使った。檻だよ。つまり、魔法が使えないという事だ。」
「何で、私がこのような目に合うのですか?」
「私は、そなたを信じていたのだよ。
だが、辛評がそなたの行動を予言してその通りなってしまった。」
残念そうに、呂将軍を見つめる韓馥だった。
「その通りです。韓馥様。」
辛評が部屋の脇から出て来た。
「辛評。貴様。何を韓馥様に吹き込んだ。」
「何って、お前が行った悪の所業を報告しただけさ。」
「私は、何もやっていません。韓馥様。」
「これが証拠だ。」
檻の中で、必死に訴える呂将軍を哀れな目で見るように、証拠の品を渡した。
「賄賂だけでなく、部下の妻を強引に自分の女にしたり、民に重い税を要求して私腹をこやしていたらしいな。」
「ち、違います。そんな事はしていません。もう一度調査をして下さい。」
ドンっと机を叩いた。
「そなたの事は言う事はもう。聞きたくない。牢屋に入れておけ。」
「ハァ。」
「信じて下さい。韓馥様~~~~~」
呂将軍の訴えも虚しく、兵士二人が軽々と檻の取っ手部分を持って、出ていった。
「さて、辛評。刑罰はどうする?」
「民衆の前で八つ裂きの刑がいいかと。」
「一番惨い殺し方ではないか?」
「そうです。見せしめのために行うべきです。それに、一族を全員殺します。」
「うーん。解った。そなたがそう言うならそうしよう。」
「ハ。では、刑の執行の準備をしてきます。」
辛評は一礼をして部屋を出て、ニヤッと笑っていた。
(よし。追いついた。)
良は、助けるために、こっちを向いていない後ろの兵士に、棒で横から殴った。
だが、こっちを見てないはずの兵士が、しゃがんで避けてしまった。
「何!!!!!」
避けた兵士はゆっくりこちらを向いた。
「危ないなぁ フフフ。」
「衝突」
当たれば凄い衝撃を受ける突きを見舞ったが、手を後ろに組んで簡単に避けられてしまった。
良は、焦っていた。これまで自分の攻撃が当たらない事は無かったからだ。
「良い突きだ。当たったら痛そう~。でも当たってみたいきもするな~。」
「衝連突」
良は、連続で突きを行ったが、1つも当たらなかった。
「ふぁ~。当たんないね。今度は、僕の番だね。」
欠伸をした後、大きな鎌で横に払った。
横にあった木が切れてしまったが、良は間一髪で後ろに避けた。
(危なかった。衝足を使っていなかったら、やばかった。)
「へぇ~。一瞬でそんな所まで行けるんだね。」
連続で鎌を振るった。
良は刃に触れないように、計算して避けたが足に傷を負ってしまった。
「なぜ?」
「フフフ。僕の攻撃が風だからね。他にも、こんな事も出来るよ。」
急に良は動けなくなってしまった。体全体が重くなってしまった。
「あれ?もう動けない?そうだよね。今、動けなくしたから」
男は笑って、良に近づいてきた。
「もうちょっと。遊んでも良いけど。仕事が残っているから。バイバイ。」
男は、鎌を大きく振りかぶった。
「炎弾」
男に向かって、炎の玉が襲った。
「おっと。」
男は、今度もあっさりと避けた。
そのスキに良は距離を置いて、炎を放った相手を見た。
「君は、こないだの。」
「話は後じゃ。まずはこの者を」
「君は後方から援護を。俺が奴を接近して攻撃する。」
良は一気に男の距離を詰めた。
「援護って、何?」
ウーリンは援護などした事が無いので解らなかった。
「うーん。ここから攻撃をすれば良いのだな。炎遠風」
ウーリンは、薙刀を振るって刀の先から、刃の形をした炎が男に向かった。
だが、ちょうど。良が突進している所に、炎の刃が当たりそうになった。
「何をしている。俺に当たりそうじゃないか。」
「そなたが、当たりに行ったのだろう?」
「コンビネーションは、イマイチですね。」
男は、鎌で攻撃をしたので、仕方なく良は後方に下がった。
「相手に、鎌の攻撃をさせない様にすればいいんだ。」
「そ、そんな事は解っておる。今度はワラワが攻撃するから、良がその後に攻撃をすればいいじゃろ?」
「何で、俺の名前を知っている?」
「そ、それは・・・行け。炎遠風」
ウーリンは必死に誤魔化そうとして、相手に攻撃をした。
仕方なく、良は刃の炎の後ろに付くために、衝足を使った。
男も鎌で連続攻撃をした。1つ目の風の刃で相殺して、2つ目で良を攻撃しようとした。
だが、誤算が生じた。1つ目の風の刃で相殺する事が出来ず。2つ目の刃で相殺したのだ。
「何という炎の力。僕の風の力より強い。」
良は、男の懐に入った。
「衝連突」
衝足でスピードを付けた連続の突きは、最初のものよりも速い突きだった。
(これなら、避けられないはず。)
「風壁」
男を突こうとしたが、透明な壁によって、全ての攻撃が当たらなかった。
そして、男は全ての攻撃が終わったタイミングで、鎌を振りかぶって攻撃をした。
ボーーーーン。
鎌に炎の玉が当たった。鎌が吹っ飛んだ。
「やったーー。」
ウーリンがガッツポーズをしていた。
良は、チャンスとばかりに、攻撃をしようとしたが、急に体が重くなった。
良とウーリンの体が重くなって、攻撃する事が出来なくっていた。
ウーリンと良は、驚愕の顔で男を見つめた。
男は、ゆっくり、飛ばされた鎌を拾いに行って、鎌を持ち上げた。
「さっきより。良い攻撃だったよ。フフフ」
男は、良に近づいた。
「なかなか。面白い戦いだったよ。じゃあね。」
鎌を振り上げようとした。
「やめるのじゃ。良を良を死なせはせぬ。良はワラワのものじゃ~。炎王倍。」
体が重い状態で、無理やり攻撃をした。
直径50mの炎の玉が、男に攻撃をした。
「風反射」
風の力を利用して出来る風の壁で、炎の玉を受け止めた。
だが、炎の玉の威力が強く、徐々に男は後ろに後退していった。
「行くのじゃーーーー」
ウーリンは、目を輝かせて、炎の玉を見た。
しかし、3秒後、信じられない光景が目に入った。
炎の玉が返されてしまったのだ。しかも良の所に飛んで行った。
「良ーーーーーーーー」
ウーリンは、絶望の表情で叫んだ。
良は、大きく深呼吸をしてゆっくり、棒を見た。
そして、両手で棒を握って、近づいた炎の玉を打った。
「おりゃ~~~~ 特大衝撃打。」
棒から信じられない衝撃波が出て、炎の玉を打ち返した。
「そ、そんなバカなーーー。」
男は狼狽えて、近づいた玉に包み込まれた。
ドカーーーーーーーーンと凄まじい音が鳴って、爆発した。
「今度こそ。アヤツを倒したのじゃ。」
ウーリンは興奮して、良に近寄った。
「やったの。良。」
「ああ。君のおかげだ。」
「そ、それほどでも。」
良に褒められて、頬の筋肉が緩みっぱなしのウーリンだった。
「フハハッハ。アッハハ。」
男は、お腹を抱えて笑っていた。
「あー面白い。勝ったと思ったんだね。まぁー。普通はそう思うよね。
でも、僕は普通じゃないから。」
男は、ニコリと笑って、後ろの方を見ていた。
ウーリンと良は身構えた。
「ば、ばかな。あれを食らって生きているとは。」
「僕はね今機嫌が良いんだ。だから、君たちにヒントをあげよう。
・・・・・・・・
なぜ君たちの攻撃を防げたか。それは、君たちの攻撃を事前に知っていたからね。
防御するのも簡単なんだよ。」
「・・・・・・・・・・・」
「それじゃ。僕は仕事が残っているので、退散しまーす。引き上げるぞ。」
後ろに居た黒装束の男達に命令をした。
「待て。まだ終わってはおらぬ。」
「君。まだ解っていないの? その気になればいつでも君達を殺す事も出来たんだよ。もっと戦うつもりなら、瞬殺させて貰うよ。仕事に支障をきたすのでね。」
男は今までにない殺気で威圧してきた。
「ワラワをなめるな。行くぞーー。炎」
「止めろ。」
ウーリンが攻撃をしようとしていたが、手で止めるように制した。
「なぜ。止める。まだ終わってはないぞ。」
「奴の言う通りだ。俺たちの最大の攻撃をしても無傷だ。
これ以上攻撃をしても無駄だ。」
「あやつは、ワラワを愚弄したのだぞ。」
「奴をそのまま行かせろ。」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
ウーリンは、ゴネ出した。
「死にたくなければ、俺の言う事を聞け。いいな。」
大声で言った。
ウーリンは固まってしまった。そして、涙目になった。
「そうそう。彼の言う通りだよ。またね~」
男は部下を連れて去って行った。
良は、男が去った事を確認すると、ほっとした表情になってウーリンを見た。
ウーリンは、良に怒られて涙目になっていた。
「さっきは、大声を出してすまなかったな。
でも、無謀な事はするなよ。いいな。」
「うん。」
良は、優しくウーリンの頭を撫でた。
すると、ウーリンが泣き出した。
生まれて初めて怒られたり、優しい言葉を掛けられてほっとした感情が入り交じって、
何で泣いているのか解らないウーリンだった。
「おいおい。泣くなよ。」
良は、急に泣き出したので、狼狽えてしまった。
しばらく泣いて、困った良。
「どうしたら、泣き止むだ」
良は、ボソッと呟いた。
「ウーリン。」
ボソッとウーリンが言った。
「何だって?」
「ウーリンって呼んでくれたら。」
「へ?」
「えーーーーん。」
「解ったよ。ウーリン。」
「もう一度」
自分の名が呼ばれて、嬉しかったウーリンは良にお願いした。
「ウーリン。これで良いか。」
「うん。今度からワラワの事をそう呼べ。」
「はいはい。あ、そういえば戦っていた奴、大丈夫かな?」
「そんな者が居たのか?」
ウーリンは、良を追って来ただけだったので、他の事に全く関心がなかった。
「ああ。探すぞ。」
ウーリンと一緒に探す事にした。
「いた。」
片膝を地面に付いて、肩で息をしている電我だった。
「大丈夫か?」
「ハァ。ハァ。一緒に戦ってくれたのだな。感謝する。」
「困った人は助けないとな。」
「それにしも誰に襲われたんだ?」
「解らん。ハァ。ハァ。嫌な予感がする。急いで戻らねば。これで失礼する。」
電我は馬に乗って、一礼をして去っていった。
「何だったんだ?」
「さぁ。あ、俺も人を待たせているんだった。じゃあな」
良は、アイの事を思い出して、迎えに行った。
だが、ウーリンも付いてきた。
「どうして付いてくるんだ?」
「ワラワもこちらに用があるのでな。」
「そうか。」
二人は、一緒に歩いて行った。
ウーリンにとっては、至福の時だった。
アイは、遠くで見ていたので、詳細は解らなかったが、戦いが終わった事だけは解った。すると、黒装束の集団がこちらにやって来た。
(まずい。襲われてしまうかもしれない。隠れよう。)
道の脇にある木に隠れた。
歩いている黒装束の集団は、近づき難い雰囲気だった。
1人だけ、馬に乗っている男の人がいた。
(着ている物が他の人と違うから、名のある人かな?
ちょっと。ステータス確認しよう。)
アイは、男のステータスを見た。
◎名前
ジョンソン(男)
◎基本値
武力:114(+30)
知力:78
政治:77
外交:14
魅力:44
潜在:13
◎魔法
先読み6
風5
重力3
????
◎その他
殺しが大好き。
変わった食べ物が好き。
料理好き。
????
(あれ? ????って何だ? 全部読めないようね。
!!!!!!!
武力が114って、三国志最強の武将呂布より強いじゃない。
しかも、魔法が4つ使えるみたいだし。
何この人。ジョンソンって聞いた事が無いんですけど。
ただ1つだけ解る事は、関わらない方が良いって事ね。
殺しが大好きって、普通じゃないから。)
ぷぅ~~~~~ん。
木に隠れているアイの所に一匹の蚊が飛んでいた。
(あっち行け。)
心で念じていたが、蚊はおかまいなしに、アイの近くを飛んでいた。
アイは、自然と目で蚊の行方を追った。
そして、アイの腕に止まった。
(とぉりゃ~~~~~)
思いっきり、自分の腕を叩いて、蚊を倒した。
「よし。倒した。」
思わず声を出してして、黒装束の人達と目が合ってしまった。
(蚊め~~~~~)
「怪しい奴だ。捕まえろ。」
アイは、あっさり捕まってしまった。
「ジョンソン様。怪しい人物を捕まえました。」
ジョンソンは、アイを一目見た。
「殺せ。」
感情の無い声で、黒装束の男に命令した。
(ちょっと待ってーー。何か考えないと。考えろ。考えろ。
さっき見たステータスにヒントは無かった?
あ、変わった食べ物が好きって、書いてあったよね。)
「ちょ、ちょと待って。死ぬ前に、ポテトチップスを食べさして、」
刀で斬り掛かろうとした時に、アイが叫んだ。
「何だ。ポテトチップスとは?」
(食い付いた( ̄д ̄))
「し、知らないんですか? あんなに癖になる食べ物を。」
アイは挑発した。
「ほぉ~~~この僕に、随分と生意気な発言ですね。」
アイを睨みつけた。
(怖いよ~~~。誰か助けて(T_T))
「どうせ殺されるなら、最後の晩餐に食べたいと思っただけよ。」
「どこに行ったら、それを食べる事が出来る?」
「誰も知らないわ。私が考えた食べ物だから。」
「本当かな。出まかせじゃないの?」
「嘘言ってもしょうがないでしょ。」
「だったら、作り方を教えろ。」
「嫌よ。教えた瞬間に殺すんでしょ。」
「言わなければ、この場で殺す。」
鎌を首の所に持っていった。
「ヒーーー。ごめんなさい。言います。言います。
材料は、塩とジャガイモです。
まず、ジャガイモの皮を剥いて、細く切ります。
次に、油に塩を入れて揚げて出来上がりです。
コツは、薄く切る事と、焦がさない様にする事です。」
震える声で、作り方を言った。
「うーん。確かに聞いた事ない食べ物だな。ああ。直ぐ食べてみたいな~。
ただ、美味しいのかな」
「ハイ。美味しいです。主食の食べ物では無くて、間食の食べ物です。
食べたら、パリッとした音がなって、病みつきになる事間違いなしです。」
「そう。じゃ~。一緒に来て貰おう。」
「へ?作り方を教えれば解放してくれるのでは?」
「そんな事。誰が言った?この場では殺さないけど、
もし、美味しく無かったら。・・・・解るよね。」
「は、はい。」
「隆元。先に行っていろ。」
「ですが、仕事に支障が来すのでは?」
「まだ。時間があるから、大丈夫。
まぁ。間に合わなかったら、向こうの指示に従え。」
「ハァ。」
一礼をして、黒装束の集団は去って行った。
「さぁ。都に行って、作ろうか。」
ジョンソンは、ニコニコしながら、アイを連れて都に向かった。
◎名言集
◆柳井正
「どれだけ良いアイデアがあっても、実行しなければ成功もしないし、失敗もしない。
それは時間のムダでしかないでしょう。」