算術の指導と思いきや
○次回は9月14日、11時に予約投稿しました。
◎仕事や家庭で使えるストレス解消①
・嫌な事があったら、ノートに書くようにするとストレス発散になります。
①悩んだ事や愚痴などの不満を日記に書く。
アイは、算術を指導するために、仁にお願いして過去問を持って来て貰った。
その中から、試験の傾向などを分析した。
(小学3年生くらいのレベルで助かった~。何とか私でも教えれそう。
取り敢えず今日は、足し算について授業をしよう~っと(^^♪)
いよいよ初めての授業が始まった。
アイは、一斉に見られる視線に照れながら、話を始めた。
「始める前に、皆さんにお願いがあります。
私の事を呼ぶ場合は、アイ先生と呼んで下さい。」
「ハーイ。アイ先生。」
仁は嬉しそうに言った。
「ほらほら、他の人も言って下さい。」
「・・・・アイ先生」
照れくさそうに、五右衛門が言った。
「この家の主人である俺が、なぜ言わないといけないんだ?
俺は言わないぞ。」
「若様。私の授業を受けるんでしょ?」
「いや。受けるつもりはない。」
「え。じゃ。何でいるんですか?」
「この部屋は、俺の部屋だから居て当たり前だろ?」
「それでは、他の人の邪魔になるので、出て行って下さい。」
「何?なぜ。俺に命令出来る。」
「算術の家庭教師をしても良いと言ったのは、若様じゃないですか?
ここを使って良いと言ったのも若様です。
そして、家庭教師の責任者は私です。
つまり、家庭教師を行っている時は、一番上と言う訳です。」
「う~ん。解るような解らんような説明だなぁ。」
良は、腕組みをしてアイの説明を聞いた。
「とにかく、私の事を先生と言って下さい。」
良は、顔を背けて、無言で返事をした。
(なるほど~ 頑なに拒む訳ね。
よーし。ちょっと困らせてあげましょう。(*´з`))
「あ~~~~~!!若様の後ろにネズミがいる~~~~!!」
アイは、良の方を指して大声で叫んだ。
「ヒッイーーーーーーーーーーーーーーーーー。どこにいる」
良は、ビックして思わず立ち上がって、辺りをキョロキョロと見た。
良の面白い行動や顔の表情を見て、みんな爆笑をした。
「良。なんて顔してるんだ。ハハハッハ。」
仁は、大きな声で笑った。
「ブーーーーーーーーーー」
五右衛門は、笑う事が悪いと思ったのか、口を抑えて笑いを必死に我慢をしていた。
「アハハッハ。お腹が痛い。苦しい~」
アイは、床を叩いて、一番笑っていた。
みんなに笑われて、ムスッとした表情で立ち尽くしていた。
そして、恥ずかしさの余り、部屋を出ようとした。
「あ~。若様どちらに行かれるのですか?
もしかして、大の大人が、ネズミが怖い訳ありませんよね。」
ニタニタして、笑みを浮かべて聞くアイ。
戸を開けようとする良の手が止まった。
そして、振り返った。
「ま、まさか、俺がネズミが怖いと訳無いぞ。」
必死に、誤魔化そうとしている良だった。
周りの人はニヤニヤして、見ていた。
「本当に? じゃ。部屋を出ないで授業を受けるのですね。」
「ま~しょうがない。受けてやるか。」
「でわ。今から若様は、私の生徒になったのですから、私の事を呼ぶ時は、何と言うんでしったけ?」
勝ち誇った様に、両手を組んでアイは、良の方を見た。
「それは、言わん。」
それだけは言いたくないので、フンと首を振る良だった。
「あ、そんな事を言うんだ。じゃ~。さっき行った言葉を何度も言っちゃおうかなぁ~」
カチンコチンに固まってしまった良は、しばらく考えて、小さな声で言った。
「アイ先生。」
「え?何て言いました?」
アイは、耳に手を当てて、ニヤニヤして聞いた。
「アイ先生。」
「あれ?良く聞こえないな?」
良は、アイを睨んだ。
「アイ先生。」
一番大きな声で言った。
(あ~ 何ていう快感なんでしょ。私が、イケメンの男を屈服させる事が出来るなんて。現代の時では考えられない事だわ。( ̄д ̄))
アイは、うっとりした表情で、余韻に浸っていた。
(それにして、何で俺がネズミが苦手だと知っているんだ?
・・・・・・まぁ。良いか。)
良は運が悪い事に、本人もまだ気づいていない。
ネズミだけで無く、動物全般が苦手な事を。
関島の屋敷に商人が供を連れて、やって来た。
そして、関島の部屋に通された。
「これはこれは、関島様。初めまして、場志と申します。」
「何だ。要件を言え。」
「ハイ。実は関様の領地に商売をさせて頂きたいと思いまして。」
「何の商売だ?」
余り興味なさそうに、聞いた。
「男性を楽しませる所です。当店は、美人から可愛い女まで、多種多様に揃っています。きっと、関様に喜んで頂けると思います。」
さっきまで、興味無かった関島は、獲物を見る様な目になった。
「ほぉ。では何をくれる?」
商人の男は、用意したお金の束を渡した。
「1000万円でございます。」
相場より、5倍高いお金だ。
「少ない。5000万円だ。」
商人の男は、困った表情になった。
「それでは、商売する意味がありません。」
「なら、その女を寄こせば、安くしてやる。」
関は、商人の後ろにいる女を指した。
「そ、それは困ります。」
「そうか。ならこの話は無かった事にする。」
「お、お待ちください。」
商人の男は慌てたが、後ろにいる女がじっと、関を見つめて
話に割り込んできた。
「私の値段はいかほどに?」
サクラは、笑みを浮かべて魅力的な声で言った。
「ハハハハァ。なかなか面白い。100万か?」
「安すぎます~。私をそこらへんの女と一緒にしないでください。」
口を尖らした。
「すまぬ。すまぬ。じゃ~1000万か?」
「まだまだです。」
「じゃ~いくらだ?」
「お耳を拝借させて下さい。」
サクラは、関の隣に行って、耳元で囁いた。
「私のお店に来て頂けたら教えます。」
「ほぉ~。お主、商売上手だな。」
「いえいえ。それほどでも。
ただ、お店に来たからと行って、直ぐに私を抱く事は出来ませんよ。
私は、軽い女ではありませんから。
でも、私を抱く事が出来れば、きっと町中の人の目が変わりますよ。」
上目遣いで、胸の谷間を見せながら話した。
「よかろう。速く店を作れ。行くのが楽しみだ。名を何と言う?」
関は、谷間を凝視して楽しんでいた。
「ビジでございます。」
「良い名だ。」
「ありがとうございます。」
「ではこちらの1000万円をどうぞ。」
商人の男が渡そうとすると、関は手で制した。
「これは、ビジに私からのプレゼントとしてあげよう。」
「さすがわ、関様。もう私の気を惹こうとしているんですね。」
「ハハハハ。ばれたか」
「フフフ」
口元を隠して笑った。
「ではこれにて、失礼します。」
「店が出来上がったら知らせるように」
「ハイ。一番に報告させて頂きます。」
関の屋敷を後にした。
「あれぐらいの駆け引きで、動揺をするな。」
「も、申し訳ありません。サクラ様。」
商人の男が、サクラに謝った。
「手ごたえが無さ過ぎて、落とす気にもならいわ。
次の男は、私を楽しましてくれるかしら。」
サクラは、顔を上げて夜空を眺めた。
「何度言えば解るの。」
アイは、猛烈に怒っていた。
「先生の教え方が悪いんじゃないんですか~?」
良は、先ほどのお返しとばかりに、意地悪な顔になった。
原因は・・・・・・・・文字が読めなかったのです。二人とも。
溯る事1時間前に戻る。
「じゃ~。この問題の解き方は」
アイは、説明しようとした時。
「ねぇ。アイちゃん。何って書いてるの?」
「??? え?」
「拙者も解らんでござる。」
「ちょ。ちょっと待って。」
「何で二人とも文字が読めないの?」
「いや~。勉強をするのが苦手でね。
小さい頃に習ってはいたんだが、サボってて読めないんだ。」
仁は面目ない顔になった。
「え?じゃ~。買い物する時はどうしてるの?」
「店員に聞いたり、良が代わりに読んでくれるから、大丈夫」
「五右衛門は?宣伝の文字を読んで来たんじゃないの?」
「拙者は、周りに文字を読める人がいたので、聞いたでござる。」
「じゃ~。何?文字や数字も教えないといけないの?」
「そうなるね。問題が読めないから」
仁はニコッと笑って誤魔化した。
「何て事だ。」
額に手をやって、がっくりと肩を落とした。
(そういえば、何で私。文字とか書けたり、読めたり出来るんだろう?
ま~いっか。今は、この人達の問題を解決しないと。)
今日は、文字の勉強を行って、授業を終わった。
(ふぅ~。疲れた。でも、どうしよう。これから)
予定外の事が増えてしまった。
(うーん( 一一))
腕組みをして考えたが、頭が混乱したので、整理をするか。
☆目標
◎私 :商売をしてお金を儲ける事。
◎仁さんと五右衛門:文官の試験に合格。
◎若様 :特になし。
(ここで、問題は若様が特に何もない事なんだよなぁ~。
せっかく授業をしても、目標が無いとなぁ~。周りに悪い影響が出るし。
な~んかないかなぁ~。(-_-)zzz)
考えているうちに、アイは寝てしまった。
宮殿の庭で、ウーリンは一人で稽古をしていた。
シュ、シュ、ボーーーン。
ウーリンの前に置かれていた木が、真っ二つに割れて燃えていた。
「ダメダメダメ。こんな事をしてもアイツに勝てぬ。」
「姫様。」
「サザか。」
「あの者の事が解りました。」
「何!!本当か?してどこにいる?」
ウーリンは、サザに思いっきり近づいた。
「ひ、姫様近い、です。」
「おお。ワラワとした事が。」
ウーリンは、バツが悪そうな顔して、少し距離を置いた。
「早く、調べた事を申せ。」
早く聞きたいウーリンは、サザを急かした。
「関純の三男で、名を関良と言うそうです。
腕っぷしの強さも有名だそうです。イケメンで、民の人望もあるそうです。」
「そうであろう。そうであろう。」
ウーリンは自分の事の様に喜んだ。
「あの~。姫様。何だか嬉しそうですね。」
「なぬ。ワラワが喜んでいるだと。た、た、たわけた事を申すな。」
ウーリンは、なぜか狼狽えてしまった。
「そうですか。」
サザは、じーーとウーリンを見た。
「他には無いのか?」
「他と言いますと?」
「ほら。住んでいる場所とか。」
「ああ。調べてあります。」
「そうか。では早速会いに行くぞ。」
「姫様。会ってどうなるおつもりですか?」
「それは・・・・ 会ってから考える。行くぞ。」
「姫様~姫様~ お待ちを」
ウーリンは、良の屋敷に向かった。
次の日、授業の時間になって、若様の部屋に入った。
3人ともすでに待っていた。
「今日は、授業の前に、若様の目標について議論してもらいます。」
「別にいい。」
良は、面倒な表情になった。
「これは大事な事です。だらだら授業を聞いても意味がないので、
何か若様の目標などを決めましょう。」
「ハーイ。将軍を目指すのはどう?」
「良殿は、武に秀でているのか?」
「ああ。この辺じゃ負けた事ないよ。」
「ほぉ~。では拙者と勝負をいたそう。」
普段余り喋らない五右衛門が、戦いの話になると饒舌になった。
「将軍なんて無理だ。出来る訳ない。」
「いやいや。良の実力ならきっとなれるよ。お父上もこの国の重臣なんだから。」
「それはますます。勝負したくなったでござる。良殿の魔法は何かな?」
「良は、衝撃系なんだ。」
「ほぉ~。拙者は鉄だ。」
「余り、聞いた事が無いな。どんな魔法か見てみたいな。」
(話についていけず、存在が空気になってしまった。(-.-)
何で男って戦いが好きなんだろ。理解が出来ないよ。)
「ちょっと待った~~~~( ゜Д゜)」
勝負をしようと外に出ようとしたので、アイが呼び止めた。
「止めないで頂きたい。」
「アイちゃんも面白そうだから、見ようよ。」
「だ~~~~め~~~~~~。
今の時間は、勉強をする時間なんだから。」
アイは大声を出したので、肩で息をしていた。
「わ、解ったから。そんなに大声を出すな。な。」
良は、アイを落ち着かせるために、なだめた。
3人は元の位置に戻った。
「ハイではさっきの続きね。」
(何だこの違いは。(゜_゜))
3人の心の声が初めて一致した。
「将軍も良いけど、それは戦いが無いとだめでしょ。
だから、他の目標が良いよね。」
「良は、どんな目標がいい?」
「俺は、・・・特に無い。」
「だから、みんなに決めて貰った方がいいでしょ。」
「良は、領地を持っているので、民の暮らしを良くすると言うのは」
アイは仁の方を向いて、親指を立てた。
「だったら、この授業を算術や文字を覚えるだけの授業だけでなく、
領民の問題を解決する方法を考えましょう。
そして、実際に若様の領地を使って実験をしましょう。
政策などを論じれば、試験の時にも有効ですし、ただ文字を覚えるより、
実際に使ってみた方が速く身に付くんじゃない。」
「面白そうだよ。アイちゃん」
コクコクと五右衛門も頷いた。
「ねぇ。いいでしょ。若様。」
「でもなぁ~。」
「良い結果になれば、きっと周りの人から評価されますよ。」
アイは、目で援護射撃をするように要請した。
「そうそう。良い行いをするのは、領主様の義務だぞ。」
コクコクと五右衛門も頷いた。
「解った。やってみろ。」
「やったー」
アイはニコニコした顔になった。
(疲れる( 一_一))
「ではどんな問題があるでしょうか?」
「お金が無い。田畑が出来ない土地が多い。治安が悪い。」
良は、即決で答えた。
「全然ダメじゃないですか。何をしていたんですか?」
怒った表情でアイは、良を攻めた。
「まぁ。俺なりに頑張ってはいるんだがな。」
良は、仁に顔を向けた。
「元々、良が貰う領地は良い土地で、今よりもっと多かったんだ。
だけど、運が悪い事に、急に納める税が増えたので、減らされてしまったんだ。
そこで、兄達の領地を分けて貰う事になったんだけど、
自分達の都合が悪い領地を良にやったんだ。山賊や盗賊が一杯いる所や痩せ細った所などをね。
そこから、領地を回って、盗賊や山賊などを追い払ってはいるんだけど、
良がいなくなったら、また悪さをするんだ。つまり、人手不足なんだ。」
「じゃ~何で、お金が無いの?」
「田畑が出来る場所が少ないから、入って来るお金も少ないんだ。
それに、徴収したお米は、朝廷に納めないといけないから、
お金が無いんだ。しかも借金をしているしね。」
仁は悲しそうな顔で言った。
「優先順位を付けるなら、まず、お金を生む政策を考えないといけないわね。」
「なぜだ?」
「お金があれば、人を雇う事も出来るし、
朝廷に納めるお米も買う事が出来るし、借金も返す事が出来るからよ。」
「確かに、そうだが、何か良い考えがあるのか?」
「それを考えるの。」
「俺でさえ出来なかったのに、簡単に答えが見つかるはずがない。」
「それは、やってみないと解らないでしょ若様。」
「考えを出してみろ。」
それから、10分間、各々無言になって考えた。
「よし。そろそろ考えがまとまっただろ。良い考えが浮かんだ人は?」
「米を収穫した後に、麦を植ればいいんじゃない?
そうすれば、麦を売ったお金で米も買えるし。人々の生活が豊かになるんじゃない。」
「お前はバカか。さっき言っただろ。田畑が少ないって。」
「そんなに、怒んなくてもいいじゃない。」
「良。アイちゃんは、現状を知らないから解らないんだよ。」
「そんなに少ないの?どれくらいの比率?」
「1:9」
「1割しか田畑が無いの?」
「そうだ。だから、根本的な解決にはならん。」
「じゃ。特産物を他の所に売るっていうのは?」
「そもそも。特産物が無い。」
「探せばいいじゃないですか? 無かったら新しい物を作れば」
「無い。」
この一言で、アイは発言する気力が失せてしまった。
「なんだ。他に無いじゃないか。やっぱり、無理なんだよ。」
「諦めたら、そこで終わりでござる。今と何も変わらない。
本当に、変えたいと思っているのか?」
みんなが諦め掛けた時に、五右衛門が言った。
「はぁ!! 俺だって良くなる方法を考えているんだ。
それを、外部の人間に言われたくないない。」
良は、興奮した口調になった。
「止めて。若様。外部の人間だから見える事もあるの。
今度から、考えを言う時は、否定しないようにしましょう。
それに、言った内容を木に書いておきましょう。
そうすれば、組み合わせで新しい考えが浮かぶから。」
「何でそんなに自信があるんだ。」
「実際にやった事があるから、大丈夫。」
(現代で、人をまとめるプロジェクトマネージャーをしていたからね)
「やった事があるって」
「良いからやりましょう。みんな。」
アイの言葉で、否定しないでアイディアを出し合うようになった。
「人気の飲食店を誘致をしたら。」
「良いね。だったら、観光を目玉にしたら、沢山の人が来るのでは」
「観光かー面白い発想だなぁ。」
この後も敢えて、アイディアを否定せずに数を増やした。
そして、アイは、アイディアを木に書いて行った。
ある程度、数が多くなって、
アイは、文字が読めない二人に、1つ1つ読み方を教えた。
そして、二人にアイが書いた文字を見本として、自分で書かせて、覚えさせた。
「ふぅ~。ただ言われた文字を覚えるより、自分が使った言葉の方が覚えやすいね。」
「アイ先生。拙者、書きたい事があるのだが、どう書けばいい?」
五右衛門が意欲的に、文字を習おうとしていた。
それを見ていた。仁も負けじと
「アイ先生ってどう書くの?」
意欲的な二人を見て、アイは嬉しくなって書き方を教えて行った。
暫く、文字の指導をした後、
「今度は、木に書いた言葉を見て、組み合わせてみましょう。
否定な事も言ってOKです。」
アイが書いた木を地面に置いて、討論をした。
「例えば、【飲食店】と【特産物】を組み合わせて、
この領地に沢山の飲食店を誘致すれば、ここに来れば色んな物が食べられると言う事で、沢山のお客様が来て下さる可能性が上がるんじゃない?。」
「ただ、そうゆう所は多いから、余り話題にならない。」
「【専門】を追加するのはどう?
きしゅう
例えば、中華ラーメンの店などを沢山集まれば、ラーメンの冀州って言う事で、評判になるんじゃない?」
「確かにね。人に知って貰う事が大事って事だよね。」
「そうそう。良く気付いたわね仁さん。」
「もっと褒めて、アイちゃん。」
「アイ先生でしょ。」
アイは、頬を膨らまして注意した。( ̄д ̄)
「悪くないが、俺の領地だから、もっとパンチが効いたものは無いか?」
「だったら、【飲食店】を別の物に変えたら良いんじゃない?」
「【温泉】はどう? 良にピッタリだろ?」
「温泉なんて出ないのに、バカな事言うな」
「ハハハ。冗談。冗談。」
(仁さん何気に良いアイディア。
少し前まで使われていた温泉街を作る方法だわ。
温泉の宿泊だけでなく、お土産や雑貨屋などを作って、
宿泊の時に着る浴衣姿で外に出れるようにした事で、有名になったんだよな~)
「もっと、男らしい物が良い。」
「男らしいって、戦闘に関係ある物とか?」
「そうそう。やっぱ。男は戦いだ。」
(ふぅ~。何で男って戦いが好きなんだろう。自分が死ぬかもしれないのにね。)
「戦いに役立つ物って言ったら。刀とか?」
「いいね。鎧や兜なども作れたら、最高だ。」
「という事は、鍛冶屋の町を作れば良いと言う事ね。」
「おおおお!! それそれ俺の領地にピッタリだ。」
良は、手を叩いて大喜びをした。
「では領主様の了承を得たので、次の段階に進めます。」
「次って?」
「どうやって、鍛冶屋の町にするって事よ。
まず、どうやって鍛冶屋の人を引き抜くかよね。」
「そんなの高いお金で来て貰えばいいんじゃない?」
仁は当然の様に言った。
「確かにそれもあるけど、家族も一緒に住んで貰えるようにしないと定着してくれないよ。」
「そうだね。お金だけ貰って、逃げる可能性もあるしね。
家族一緒だったら、辛い時も支えになってくれるし、ここに住む意志があるって解るよね。」
「他にも喜んで来てもらうために、税を減らせば良いんじゃない?
そうすれば、鍛冶屋自身の利益が増えるから良いんじゃない?」
「それは、俺の収入が減るではないか。」
「確かに、最初は数が少ないので収入は減るけど、鍛冶屋の数が増えると収入が増えるわ。
例えば、税率40%、年間100円稼いだとします。
鍛冶屋が1つで40円の収入
鍛冶屋が2つで80円の収入
鍛冶屋が10つで400円の収入
また、税は率だから、鍛冶屋が儲ければ儲かるほど収入が増えるのよ。
例えば、税率40%として、
年間100円稼いで、40円の税金
年間200円稼いで、80円の税金
年間1000円稼いで、400円の税金」
「ふーん。なるほど。
沢山、領地に来てもらって、繁盛して貰えば、俺の収入も増える訳か。」
「そういうことよ。若様。
他にも、出店をするのに60~70%くらい援助すれば、来やすいと思うの。」
「だったら、全額援助すれば、もっと来るんじゃない?」
仁は、疑問に思った事をアイに聞いた。
「確かに、全額だと沢山の人が来てくれるけど、こちらの負担が増えて、
お金を回収するのに時間が掛かってしまうし、自分で費用を出す事によって、
もっと儲けようと言う気持ちになって、商売に励むはずよ。」
「そういうもんなぁんだ~。」
仁は、頷いて感心していた。
「もう1つ大きなメリットがあるの。
鍛冶屋の材料で共通する材料を一括で注文する事で、材料費を安く抑える事が出来るの。鍛冶屋の数が増えれば増えるほど、取り扱う量が増えるので、交渉する時に有利になるわ。
材料を扱うお店も定期的に、大量の注文が入って儲ける事が出来るので、材料費を20%くらい安くしてくれると思うの。
そうすれば、利益を上げる事も出来るし、他のお店より安く商品を提供する事も出来るはずよ。」
思わず、良は目を見開いて驚いてしまった。
(凄い!!何だこの発想は、ここまで考えていたのか。本当にこの間まで使用人だったのか。)
「凄い。凄い。これなら、沢山来てくれる人がいるかもしれないね。」
仁は、拍手をして褒めた。
「もう~。照れるじゃない。もっと褒めて。もっと褒めて。」
アイは喜んで、手でもっと、もっと、と言うジェスチャーをした。
「調子に乗るな。」
良は、調子に乗るアイを一括した。
「はぁ~い。」
アイは、口を尖らして言った。
「この条件で探すか。」
「ちょっと待って。まだ続きがあるの。」
「は!まだあるのか。」
「そう。もう1つ新しい事を始めるわ。材料を運ぶのに護衛などが必要になると思うの。その護衛を村人にやって貰うの。そうすれば、雇用を生む事が出来るし、治安を守る時にも役に立つわ。」
「ただ、訓練をする必要があるな。」
「そう。まず、村人を訓練して、護衛を行う人と治安を守る人に分けます。
実際に材料の護衛を行って、慣れて来たら、商売の幅を広げて、
商人や個人客の荷物を守る護衛を行えば、収入を増やす事が出来るわ。
次に、治安を守る人は、兵士の数が増えて経験を積めば、傭兵として稼いで貰えばいいんじゃない。」
「なるほど。独自で稼げれるようにする訳ね。」
「仁さん。鋭~い。」
「アイ先生に褒められると嬉しいな。」
仁は、ニヤニヤが止まらなかった。
「まぁまぁの案だなぁ。」
「素直じゃないな。良。」
「だけど、元手がかなり掛かるのが問題なんだよね。
若様。投資をしてくれる人はいないですか?」
「うーん。そうゆうお金の管理は、リンに任しているからな。」
「じゃ。リンさんを説得しましょう」
「おお!!」
仁は拳を上げてノリノリだった。
「あれ?五右衛門。どうしたの?」
渋い表情をした五右衛門が下を向いていた。
「拙者。文字を覚えるのも遅いし、全く話に付いていけなかったし、
良い考えも浮かばなくて悔しいんでござる。」
「男だったら、そんな事でメソメソするな。」
良は、五右衛門に檄を飛ばした。
しかし、五右衛門が落ち込んだ。
「もう~。若様。
五右衛門、気にしなくて良いよ。人によって理解度が違うし、
良い考えとかは日頃から考えないとなかなか出ないよ。
だから、他の人を気にせず、自分のペースで1つ1つ出来る事を増やそうね。」
「アイ先生は、優しいでござる。嬉しいでござる。」
五右衛門は涙を流して、喜んだ。
(五右衛門。感動してくれるのは嬉しんだけど、泣き過ぎだよ。( ̄д ̄)/ビシ、ビシ)
◎名言集
◆稲盛和夫(京セラ創業者)
「情熱とは、寝ても覚めても24時間そのことを考えている状態。
自分自身の成功への情熱と呼べるほどの強い思いが、成功への鍵。」