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算術の指導と思いきや

○次回は9月14日、11時に予約投稿しました。

◎仕事や家庭で使えるストレス解消①

 ・嫌な事があったら、ノートに書くようにするとストレス発散になります。

  ①悩んだ事や愚痴などの不満を日記に書く。

 アイは、算術を指導するために、仁にお願いして過去問を持って来て貰った。

 その中から、試験の傾向などを分析した。

(小学3年生くらいのレベルで助かった~。何とか私でも教えれそう。

 取り敢えず今日は、足し算について授業をしよう~っと(^^♪)


 いよいよ初めての授業が始まった。

 アイは、一斉に見られる視線に照れながら、話を始めた。

「始める前に、皆さんにお願いがあります。

 私の事を呼ぶ場合は、アイ先生と呼んで下さい。」

「ハーイ。アイ先生。」

 仁は嬉しそうに言った。


「ほらほら、他の人も言って下さい。」

「・・・・アイ先生」

 照れくさそうに、五右衛門が言った。


「この家の主人である俺が、なぜ言わないといけないんだ?

 俺は言わないぞ。」

「若様。私の授業を受けるんでしょ?」

「いや。受けるつもりはない。」

「え。じゃ。何でいるんですか?」

「この部屋は、俺の部屋だから居て当たり前だろ?」

「それでは、他の人の邪魔になるので、出て行って下さい。」


「何?なぜ。俺に命令出来る。」

「算術の家庭教師をしても良いと言ったのは、若様じゃないですか?

 ここを使って良いと言ったのも若様です。

 そして、家庭教師の責任者は私です。

 つまり、家庭教師を行っている時は、一番上と言う訳です。」


「う~ん。解るような解らんような説明だなぁ。」

 良は、腕組みをしてアイの説明を聞いた。

「とにかく、私の事を先生と言って下さい。」

 良は、顔を背けて、無言で返事をした。


(なるほど~ 頑なに拒む訳ね。

 よーし。ちょっと困らせてあげましょう。(*´з`))


「あ~~~~~!!若様の後ろにネズミがいる~~~~!!」

 アイは、良の方を指して大声で叫んだ。

「ヒッイーーーーーーーーーーーーーーーーー。どこにいる」

 良は、ビックして思わず立ち上がって、辺りをキョロキョロと見た。

 良の面白い行動や顔の表情を見て、みんな爆笑をした。


「良。なんて顔してるんだ。ハハハッハ。」

 仁は、大きな声で笑った。

「ブーーーーーーーーーー」

 五右衛門は、笑う事が悪いと思ったのか、口を抑えて笑いを必死に我慢をしていた。


「アハハッハ。お腹が痛い。苦しい~」

 アイは、床を叩いて、一番笑っていた。

 みんなに笑われて、ムスッとした表情で立ち尽くしていた。

 そして、恥ずかしさの余り、部屋を出ようとした。


「あ~。若様どちらに行かれるのですか?

 もしかして、大の大人が、ネズミが怖い訳ありませんよね。」

 ニタニタして、笑みを浮かべて聞くアイ。

 戸を開けようとする良の手が止まった。

 そして、振り返った。


「ま、まさか、俺がネズミが怖いと訳無いぞ。」

 必死に、誤魔化そうとしている良だった。

 周りの人はニヤニヤして、見ていた。


「本当に? じゃ。部屋を出ないで授業を受けるのですね。」

「ま~しょうがない。受けてやるか。」

「でわ。今から若様は、私の生徒になったのですから、私の事を呼ぶ時は、何と言うんでしったけ?」

 勝ち誇った様に、両手を組んでアイは、良の方を見た。

「それは、言わん。」

 それだけは言いたくないので、フンと首を振る良だった。


「あ、そんな事を言うんだ。じゃ~。さっき行った言葉を何度も言っちゃおうかなぁ~」

 カチンコチンに固まってしまった良は、しばらく考えて、小さな声で言った。

「アイ先生。」

「え?何て言いました?」

 アイは、耳に手を当てて、ニヤニヤして聞いた。

「アイ先生。」


「あれ?良く聞こえないな?」

 良は、アイを睨んだ。

「アイ先生。」

 一番大きな声で言った。

(あ~ 何ていう快感なんでしょ。私が、イケメンの男を屈服させる事が出来るなんて。現代の時では考えられない事だわ。( ̄д ̄))

 アイは、うっとりした表情で、余韻に浸っていた。


(それにして、何で俺がネズミが苦手だと知っているんだ?

 ・・・・・・まぁ。良いか。)

 良は運が悪い事に、本人もまだ気づいていない。

 ネズミだけで無く、動物全般が苦手な事を。


 

 関島(かんとう)の屋敷に商人が供を連れて、やって来た。

 そして、関島の部屋に通された。

 

「これはこれは、関島様。初めまして、場志(ばし)と申します。」

「何だ。要件を言え。」

「ハイ。実は関様の領地に商売をさせて頂きたいと思いまして。」

「何の商売だ?」

 余り興味なさそうに、聞いた。


「男性を楽しませる所です。当店は、美人から可愛い女まで、多種多様に揃っています。きっと、関様に喜んで頂けると思います。」

 さっきまで、興味無かった関島は、獲物を見る様な目になった。


「ほぉ。では何をくれる?」

 商人の男は、用意したお金の束を渡した。

「1000万円でございます。」

 相場より、5倍高いお金だ。


「少ない。5000万円だ。」

 商人の男は、困った表情になった。

「それでは、商売する意味がありません。」

「なら、その女を寄こせば、安くしてやる。」

 関は、商人の後ろにいる女を指した。


「そ、それは困ります。」

「そうか。ならこの話は無かった事にする。」

「お、お待ちください。」

 商人の男は慌てたが、後ろにいる女がじっと、関を見つめて

 話に割り込んできた。


「私の値段はいかほどに?」

 サクラは、笑みを浮かべて魅力的な声で言った。

「ハハハハァ。なかなか面白い。100万か?」

「安すぎます~。私をそこらへんの女と一緒にしないでください。」

 口を尖らした。

「すまぬ。すまぬ。じゃ~1000万か?」

「まだまだです。」

「じゃ~いくらだ?」


「お耳を拝借させて下さい。」

 サクラは、関の隣に行って、耳元で囁いた。

「私のお店に来て頂けたら教えます。」


「ほぉ~。お主、商売上手だな。」

「いえいえ。それほどでも。

 ただ、お店に来たからと行って、直ぐに私を抱く事は出来ませんよ。

 私は、軽い女ではありませんから。

 でも、私を抱く事が出来れば、きっと町中の人の目が変わりますよ。」

 上目遣いで、胸の谷間を見せながら話した。


「よかろう。速く店を作れ。行くのが楽しみだ。名を何と言う?」

 関は、谷間を凝視して楽しんでいた。

「ビジでございます。」

「良い名だ。」

「ありがとうございます。」


「ではこちらの1000万円をどうぞ。」

 商人の男が渡そうとすると、関は手で制した。

「これは、ビジに私からのプレゼントとしてあげよう。」

「さすがわ、関様。もう私の気を惹こうとしているんですね。」

「ハハハハ。ばれたか」

「フフフ」

 口元を隠して笑った。

「ではこれにて、失礼します。」

「店が出来上がったら知らせるように」

「ハイ。一番に報告させて頂きます。」


 関の屋敷を後にした。

「あれぐらいの駆け引きで、動揺をするな。」

「も、申し訳ありません。サクラ様。」

 商人の男が、サクラに謝った。


「手ごたえが無さ過ぎて、落とす気にもならいわ。

 次の男は、私を楽しましてくれるかしら。」

 サクラは、顔を上げて夜空を眺めた。



「何度言えば解るの。」

 アイは、猛烈に怒っていた。

「先生の教え方が悪いんじゃないんですか~?」

 良は、先ほどのお返しとばかりに、意地悪な顔になった。


 原因は・・・・・・・・文字が読めなかったのです。二人とも。

 (さかのぼ)る事1時間前に戻る。


「じゃ~。この問題の解き方は」

 アイは、説明しようとした時。

「ねぇ。アイちゃん。何って書いてるの?」

「??? え?」

「拙者も解らんでござる。」

「ちょ。ちょっと待って。」


「何で二人とも文字が読めないの?」

「いや~。勉強をするのが苦手でね。

 小さい頃に習ってはいたんだが、サボってて読めないんだ。」

 仁は面目ない顔になった。


「え?じゃ~。買い物する時はどうしてるの?」

「店員に聞いたり、良が代わりに読んでくれるから、大丈夫」

「五右衛門は?宣伝の文字を読んで来たんじゃないの?」

「拙者は、周りに文字を読める人がいたので、聞いたでござる。」

「じゃ~。何?文字や数字も教えないといけないの?」

「そうなるね。問題が読めないから」

 仁はニコッと笑って誤魔化した。


「何て事だ。」

 額に手をやって、がっくりと肩を落とした。

(そういえば、何で私。文字とか書けたり、読めたり出来るんだろう?

 ま~いっか。今は、この人達の問題を解決しないと。)


 今日は、文字の勉強を行って、授業を終わった。

(ふぅ~。疲れた。でも、どうしよう。これから)

 予定外の事が増えてしまった。

(うーん( 一一))

 腕組みをして考えたが、頭が混乱したので、整理をするか。


 ☆目標

 ◎私       :商売をしてお金を儲ける事。

 ◎仁さんと五右衛門:文官の試験に合格。

 ◎若様      :特になし。


(ここで、問題は若様が特に何もない事なんだよなぁ~。

 せっかく授業をしても、目標が無いとなぁ~。周りに悪い影響が出るし。

 な~んかないかなぁ~。(-_-)zzz)

 考えているうちに、アイは寝てしまった。


 宮殿の庭で、ウーリンは一人で稽古をしていた。

 シュ、シュ、ボーーーン。

 ウーリンの前に置かれていた木が、真っ二つに割れて燃えていた。

「ダメダメダメ。こんな事をしてもアイツに勝てぬ。」

「姫様。」

「サザか。」

「あの者の事が解りました。」

「何!!本当か?してどこにいる?」

 ウーリンは、サザに思いっきり近づいた。


「ひ、姫様近い、です。」

「おお。ワラワとした事が。」

 ウーリンは、バツが悪そうな顔して、少し距離を置いた。


「早く、調べた事を申せ。」

 早く聞きたいウーリンは、サザを急かした。

「関純の三男で、名を関良と言うそうです。

 腕っぷしの強さも有名だそうです。イケメンで、民の人望もあるそうです。」

「そうであろう。そうであろう。」

 ウーリンは自分の事の様に喜んだ。


「あの~。姫様。何だか嬉しそうですね。」

「なぬ。ワラワが喜んでいるだと。た、た、たわけた事を申すな。」

 ウーリンは、なぜか狼狽えてしまった。

「そうですか。」

 サザは、じーーとウーリンを見た。


「他には無いのか?」

「他と言いますと?」

「ほら。住んでいる場所とか。」

「ああ。調べてあります。」

「そうか。では早速会いに行くぞ。」

「姫様。会ってどうなるおつもりですか?」

「それは・・・・ 会ってから考える。行くぞ。」

「姫様~姫様~ お待ちを」

 ウーリンは、良の屋敷に向かった。



 次の日、授業の時間になって、若様の部屋に入った。

 3人ともすでに待っていた。

「今日は、授業の前に、若様の目標について議論してもらいます。」

「別にいい。」

 良は、面倒な表情になった。


「これは大事な事です。だらだら授業を聞いても意味がないので、

 何か若様の目標などを決めましょう。」

「ハーイ。将軍を目指すのはどう?」

「良殿は、武に秀でているのか?」

「ああ。この辺じゃ負けた事ないよ。」

「ほぉ~。では拙者と勝負をいたそう。」

 普段余り喋らない五右衛門が、戦いの話になると饒舌になった。


「将軍なんて無理だ。出来る訳ない。」

「いやいや。良の実力ならきっとなれるよ。お父上もこの国の重臣なんだから。」

「それはますます。勝負したくなったでござる。良殿の魔法は何かな?」

「良は、衝撃系なんだ。」

「ほぉ~。拙者は鉄だ。」

「余り、聞いた事が無いな。どんな魔法か見てみたいな。」


(話についていけず、存在が空気になってしまった。(-.-)

 何で男って戦いが好きなんだろ。理解が出来ないよ。)


「ちょっと待った~~~~( ゜Д゜)」

 勝負をしようと外に出ようとしたので、アイが呼び止めた。

「止めないで頂きたい。」

「アイちゃんも面白そうだから、見ようよ。」

「だ~~~~め~~~~~~。

 今の時間は、勉強をする時間なんだから。」

 アイは大声を出したので、肩で息をしていた。


「わ、解ったから。そんなに大声を出すな。な。」

 良は、アイを落ち着かせるために、なだめた。

 3人は元の位置に戻った。

「ハイではさっきの続きね。」

(何だこの違いは。(゜_゜))

 3人の心の声が初めて一致した。


「将軍も良いけど、それは戦いが無いとだめでしょ。

 だから、他の目標が良いよね。」

「良は、どんな目標がいい?」

「俺は、・・・特に無い。」

「だから、みんなに決めて貰った方がいいでしょ。」

「良は、領地を持っているので、民の暮らしを良くすると言うのは」

 アイは仁の方を向いて、親指を立てた。


「だったら、この授業を算術や文字を覚えるだけの授業だけでなく、

 領民の問題を解決する方法を考えましょう。

 そして、実際に若様の領地を使って実験をしましょう。

 政策などを論じれば、試験の時にも有効ですし、ただ文字を覚えるより、

 実際に使ってみた方が速く身に付くんじゃない。」


「面白そうだよ。アイちゃん」

 コクコクと五右衛門も頷いた。

「ねぇ。いいでしょ。若様。」

「でもなぁ~。」


「良い結果になれば、きっと周りの人から評価されますよ。」

 アイは、目で援護射撃をするように要請した。

「そうそう。良い行いをするのは、領主様の義務だぞ。」

 コクコクと五右衛門も頷いた。

「解った。やってみろ。」


「やったー」

 アイはニコニコした顔になった。

(疲れる( 一_一))


「ではどんな問題があるでしょうか?」

「お金が無い。田畑が出来ない土地が多い。治安が悪い。」

 良は、即決で答えた。

「全然ダメじゃないですか。何をしていたんですか?」

 怒った表情でアイは、良を攻めた。


「まぁ。俺なりに頑張ってはいるんだがな。」

 良は、仁に顔を向けた。

「元々、良が貰う領地は良い土地で、今よりもっと多かったんだ。

 だけど、運が悪い事に、急に納める税が増えたので、減らされてしまったんだ。


 そこで、兄達の領地を分けて貰う事になったんだけど、

 自分達の都合が悪い領地を良にやったんだ。山賊や盗賊が一杯いる所や痩せ細った所などをね。


 そこから、領地を回って、盗賊や山賊などを追い払ってはいるんだけど、

 良がいなくなったら、また悪さをするんだ。つまり、人手不足なんだ。」


「じゃ~何で、お金が無いの?」

「田畑が出来る場所が少ないから、入って来るお金も少ないんだ。

 それに、徴収したお米は、朝廷に納めないといけないから、

 お金が無いんだ。しかも借金をしているしね。」

 仁は悲しそうな顔で言った。


「優先順位を付けるなら、まず、お金を生む政策を考えないといけないわね。」

「なぜだ?」

「お金があれば、人を雇う事も出来るし、

 朝廷に納めるお米も買う事が出来るし、借金も返す事が出来るからよ。」


「確かに、そうだが、何か良い考えがあるのか?」

「それを考えるの。」

「俺でさえ出来なかったのに、簡単に答えが見つかるはずがない。」

「それは、やってみないと解らないでしょ若様。」

「考えを出してみろ。」

 それから、10分間、各々無言になって考えた。


「よし。そろそろ考えがまとまっただろ。良い考えが浮かんだ人は?」

「米を収穫した後に、麦を植ればいいんじゃない?

 そうすれば、麦を売ったお金で米も買えるし。人々の生活が豊かになるんじゃない。」

「お前はバカか。さっき言っただろ。田畑が少ないって。」

「そんなに、怒んなくてもいいじゃない。」

「良。アイちゃんは、現状を知らないから解らないんだよ。」

「そんなに少ないの?どれくらいの比率?」

「1:9」

「1割しか田畑が無いの?」

「そうだ。だから、根本的な解決にはならん。」


「じゃ。特産物を他の所に売るっていうのは?」

「そもそも。特産物が無い。」

「探せばいいじゃないですか? 無かったら新しい物を作れば」

「無い。」

 この一言で、アイは発言する気力が失せてしまった。


「なんだ。他に無いじゃないか。やっぱり、無理なんだよ。」


「諦めたら、そこで終わりでござる。今と何も変わらない。

 本当に、変えたいと思っているのか?」

 みんなが諦め掛けた時に、五右衛門が言った。


「はぁ!! 俺だって良くなる方法を考えているんだ。

 それを、外部の人間に言われたくないない。」

 良は、興奮した口調になった。


「止めて。若様。外部の人間だから見える事もあるの。

 今度から、考えを言う時は、否定しないようにしましょう。

 それに、言った内容を木に書いておきましょう。

 そうすれば、組み合わせで新しい考えが浮かぶから。」


「何でそんなに自信があるんだ。」

「実際にやった事があるから、大丈夫。」

(現代で、人をまとめるプロジェクトマネージャーをしていたからね)

「やった事があるって」

「良いからやりましょう。みんな。」


 アイの言葉で、否定しないでアイディアを出し合うようになった。

「人気の飲食店を誘致をしたら。」

「良いね。だったら、観光を目玉にしたら、沢山の人が来るのでは」

「観光かー面白い発想だなぁ。」

 この後も敢えて、アイディアを否定せずに数を増やした。

 そして、アイは、アイディアを木に書いて行った。


 ある程度、数が多くなって、

 アイは、文字が読めない二人に、1つ1つ読み方を教えた。

 そして、二人にアイが書いた文字を見本として、自分で書かせて、覚えさせた。

「ふぅ~。ただ言われた文字を覚えるより、自分が使った言葉の方が覚えやすいね。」

「アイ先生。拙者、書きたい事があるのだが、どう書けばいい?」

 五右衛門が意欲的に、文字を習おうとしていた。

 それを見ていた。仁も負けじと

「アイ先生ってどう書くの?」

 意欲的な二人を見て、アイは嬉しくなって書き方を教えて行った。


 暫く、文字の指導をした後、

「今度は、木に書いた言葉を見て、組み合わせてみましょう。

 否定な事も言ってOKです。」

 アイが書いた木を地面に置いて、討論をした。


「例えば、【飲食店】と【特産物】を組み合わせて、

 この領地に沢山の飲食店を誘致すれば、ここに来れば色んな物が食べられると言う事で、沢山のお客様が来て下さる可能性が上がるんじゃない?。」


「ただ、そうゆう所は多いから、余り話題にならない。」

「【専門】を追加するのはどう?

 きしゅう

 例えば、中華ラーメンの店などを沢山集まれば、ラーメンの冀州って言う事で、評判になるんじゃない?」

「確かにね。人に知って貰う事が大事って事だよね。」

「そうそう。良く気付いたわね仁さん。」

「もっと褒めて、アイちゃん。」

「アイ先生でしょ。」

 アイは、頬を膨らまして注意した。( ̄д ̄)


「悪くないが、俺の領地だから、もっとパンチが効いたものは無いか?」

「だったら、【飲食店】を別の物に変えたら良いんじゃない?」

「【温泉】はどう? 良にピッタリだろ?」

「温泉なんて出ないのに、バカな事言うな」

「ハハハ。冗談。冗談。」

(仁さん何気に良いアイディア。

 少し前まで使われていた温泉街を作る方法だわ。

 温泉の宿泊だけでなく、お土産や雑貨屋などを作って、

 宿泊の時に着る浴衣姿で外に出れるようにした事で、有名になったんだよな~)


「もっと、男らしい物が良い。」

「男らしいって、戦闘に関係ある物とか?」

「そうそう。やっぱ。男は戦いだ。」

(ふぅ~。何で男って戦いが好きなんだろう。自分が死ぬかもしれないのにね。)


「戦いに役立つ物って言ったら。刀とか?」

「いいね。鎧や兜なども作れたら、最高だ。」

「という事は、鍛冶屋の町を作れば良いと言う事ね。」

「おおおお!! それそれ俺の領地にピッタリだ。」

 良は、手を叩いて大喜びをした。


「では領主様の了承を得たので、次の段階に進めます。」

「次って?」

「どうやって、鍛冶屋の町にするって事よ。

 まず、どうやって鍛冶屋の人を引き抜くかよね。」


「そんなの高いお金で来て貰えばいいんじゃない?」

 仁は当然の様に言った。

「確かにそれもあるけど、家族も一緒に住んで貰えるようにしないと定着してくれないよ。」

「そうだね。お金だけ貰って、逃げる可能性もあるしね。

 家族一緒だったら、辛い時も支えになってくれるし、ここに住む意志があるって解るよね。」


「他にも喜んで来てもらうために、税を減らせば良いんじゃない?

 そうすれば、鍛冶屋自身の利益が増えるから良いんじゃない?」

「それは、俺の収入が減るではないか。」


「確かに、最初は数が少ないので収入は減るけど、鍛冶屋の数が増えると収入が増えるわ。

 例えば、税率40%、年間100円稼いだとします。

 鍛冶屋が1つで40円の収入

 鍛冶屋が2つで80円の収入

 鍛冶屋が10つで400円の収入


 また、税は率だから、鍛冶屋が儲ければ儲かるほど収入が増えるのよ。

 例えば、税率40%として、

 年間100円稼いで、40円の税金

 年間200円稼いで、80円の税金

 年間1000円稼いで、400円の税金」


「ふーん。なるほど。

 沢山、領地に来てもらって、繁盛して貰えば、俺の収入も増える訳か。」

「そういうことよ。若様。

 他にも、出店をするのに60~70%くらい援助すれば、来やすいと思うの。」

「だったら、全額援助すれば、もっと来るんじゃない?」

 仁は、疑問に思った事をアイに聞いた。


「確かに、全額だと沢山の人が来てくれるけど、こちらの負担が増えて、

 お金を回収するのに時間が掛かってしまうし、自分で費用を出す事によって、

 もっと儲けようと言う気持ちになって、商売に励むはずよ。」

「そういうもんなぁんだ~。」

 仁は、頷いて感心していた。


「もう1つ大きなメリットがあるの。

 鍛冶屋の材料で共通する材料を一括で注文する事で、材料費を安く抑える事が出来るの。鍛冶屋の数が増えれば増えるほど、取り扱う量が増えるので、交渉する時に有利になるわ。

 材料を扱うお店も定期的に、大量の注文が入って儲ける事が出来るので、材料費を20%くらい安くしてくれると思うの。

 そうすれば、利益を上げる事も出来るし、他のお店より安く商品を提供する事も出来るはずよ。」


 思わず、良は目を見開いて驚いてしまった。

(凄い!!何だこの発想は、ここまで考えていたのか。本当にこの間まで使用人だったのか。)

「凄い。凄い。これなら、沢山来てくれる人がいるかもしれないね。」

 仁は、拍手をして褒めた。


「もう~。照れるじゃない。もっと褒めて。もっと褒めて。」

 アイは喜んで、手でもっと、もっと、と言うジェスチャーをした。

「調子に乗るな。」

 良は、調子に乗るアイを一括した。

「はぁ~い。」

 アイは、口を尖らして言った。


「この条件で探すか。」

「ちょっと待って。まだ続きがあるの。」

「は!まだあるのか。」


「そう。もう1つ新しい事を始めるわ。材料を運ぶのに護衛などが必要になると思うの。その護衛を村人にやって貰うの。そうすれば、雇用を生む事が出来るし、治安を守る時にも役に立つわ。」


「ただ、訓練をする必要があるな。」

「そう。まず、村人を訓練して、護衛を行う人と治安を守る人に分けます。

 実際に材料の護衛を行って、慣れて来たら、商売の幅を広げて、

 商人や個人客の荷物を守る護衛を行えば、収入を増やす事が出来るわ。

 次に、治安を守る人は、兵士の数が増えて経験を積めば、傭兵として稼いで貰えばいいんじゃない。」


「なるほど。独自で稼げれるようにする訳ね。」

「仁さん。鋭~い。」

「アイ先生に褒められると嬉しいな。」

 仁は、ニヤニヤが止まらなかった。


「まぁまぁの案だなぁ。」

「素直じゃないな。良。」

「だけど、元手がかなり掛かるのが問題なんだよね。

 若様。投資をしてくれる人はいないですか?」


「うーん。そうゆうお金の管理は、リンに任しているからな。」

「じゃ。リンさんを説得しましょう」

「おお!!」

 仁は拳を上げてノリノリだった。


「あれ?五右衛門。どうしたの?」

 渋い表情をした五右衛門が下を向いていた。

「拙者。文字を覚えるのも遅いし、全く話に付いていけなかったし、

 良い考えも浮かばなくて悔しいんでござる。」

「男だったら、そんな事でメソメソするな。」

 良は、五右衛門に檄を飛ばした。

 しかし、五右衛門が落ち込んだ。


「もう~。若様。

 五右衛門、気にしなくて良いよ。人によって理解度が違うし、

 良い考えとかは日頃から考えないとなかなか出ないよ。

 だから、他の人を気にせず、自分のペースで1つ1つ出来る事を増やそうね。」

「アイ先生は、優しいでござる。嬉しいでござる。」

 五右衛門は涙を流して、喜んだ。


(五右衛門。感動してくれるのは嬉しんだけど、泣き過ぎだよ。( ̄д ̄)/ビシ、ビシ)

◎名言集


◆稲盛和夫(京セラ創業者)

「情熱とは、寝ても覚めても24時間そのことを考えている状態。

 自分自身の成功への情熱と呼べるほどの強い思いが、成功への鍵。」

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