三十三話
ゆけぇゆけぇ♪
探検は再開された、そのとき・・・・
「うわぁ!!」
記録映像を撮るため先行して葦のような林に降りようとしていたカメラマンスタッフが転倒した。
現場経験も長いベテランスタッフが足を滑らせるなど、よほどのことがない限りありえない。
――――うんうん、普通のことをすごく大げさに言ってたなぁ:要は転んだだけです。
スタッフは腕に負傷を負い、救護スタッフから治療を受ける。
傷は幸いにして軽傷であったか、一つ間違えれば命の危険が付きまとう未知の領域では小さな傷とはいえ無視できない。
――――えっと、どうも足を挫いただけの様です。
葦の草原に降りた我々を迎えたものは、噎せ返るような熱と湿気だった。
「隊長、これは一体・・・・」
「宇宙生物の体毛だろうか、体内で作られた熱を排出するためか、この葦は地面から熱と水分を吸い上げているように見えるが・・・」
「では、サンプルとして先ほど倒れていた物を採取しておきます」
クルーの一人が足早に隊列から離れようとした。
「一人で行くな!!!!」
声を張り上げ行動を抑制する。しかし、間に合わなかった。
葦のような茂みからヌラリと粘液質の物体が、クルーに迫ろうとしていた。
――――クルーの進行方向の茂みが動いてたのでなんとなく居るなってわかってたけど、そう来ましたか。
確か水曜日の夕方だったと思います。(謎)




