二十九話
「横陣形、全弾斉射!」
24隻の宇宙船より反物質弾が電磁砲で一斉射出された。
「巨大宇宙生物より時空震発生、当地区より離脱を試みるようです。着弾まであと10秒」
宇宙生物の姿か揺らぎ霞み始める。
「5・4・3・2・・・・」
「着弾!」
宇宙生物の黒い外装を打ち抜き表層でいくつものクレーターが出来るが変化はそれだけではない。
乗員の脳内に響く焦りとも悲鳴ともつかない不快な声が響く。
「周辺に時空震、3・5・6 適勢増援 15秒後出現します!!」
着弾した宇宙生物は対消滅反応を起こし各クレーターより巨大な光球が出現し破片を撒き散らしながら質量が削られてゆく。
内部を殆ど消失させ卵の殻のような外殻を残し最初の宇宙生物は沈黙した。
「封印兵器の使用を許可する!総員、詠唱開始!」
「「「「「サー!」」」」」
「「「「「びっくりどっきりマシーン発進」」」」」
―――――!!!昭和の香り?!!
繭型宇宙船から周辺を覆い尽くす紫の煙が発生し、宇宙空間を漂いなから敵勢力の転送位置へ漂いはじめる。
それは超小型起動兵器DANGOMUSIである。
解説せねばなるまい。原寸型ダンゴ虫を模したそれは、ほぼ球状の状態で敵勢力に取り付き外壁に穴を穿ち、内部にもぐりこんだ後、周辺の構造物を取り込み分裂を繰り返し、重要機関に取り付き融合・解析・占領不可避な場合自爆をもって破壊する機械兵器だ。
出現した惑星級宇宙生物の衝撃波もなんのその、6体の生物に取り付いたと同時に、その生物は身震いを始める。
極小さな機体が宇宙生物の外装を紫の斑に変えてゆく。
宇宙生物は惑星ほどの巨体の為に、かゆいとこに手が届かず悶える。
外装で爆発が発生、禁断兵器の駆逐を試みているようだが殲滅され黒い外装を見せる個所も瞬く間に紫色に覆われてゆく。
「DANGOMUSI表層の65%を占有・内部への浸潤を開始」
正面モニターの超拡大映像を様子を伝えてくる。
外装をかじられ隙間ができたところ、飛翔体も全身をDANGOMUSIに覆われやわらかいところはほぼ空洞となり外装表面に蝉の死骸のように地表を覆い尽くす。小さな開口部よりコロコロ転がりながら流れ込むDANDOMUSI。
「宇宙生物の機能30%低下、内部免疫機能の抵抗を受けていますが増殖速度が上回っています」
「終わりましたね、船長」
「禁断兵器・・・・我々は恐ろしい兵器を開発してしまったな」
「情報伝達経路への浸潤を確認・無抵化まで10分前後です」
「全船、現状のまま待機!無害化を確認後、調査隊を派遣する・降下部隊は降下命令を待て」
宇宙生物は生きながらダンゴ虫に占領されたのだった。
―――――虫が体を這う・・・いやぁ!!!!




