プロローグ1 俺の日常がそんなに充実しているわけがない(ガチ)
目が覚めると同時に目覚ましを止める。
時刻は6時30分。いつもどおりに起きて用意をすませ、家をでる。
うちから学校までは徒歩5分であるため、この時間帯はいつも登校してくる学生たち
で賑わっている。
と、校門に差し掛かったところで肩を叩かれる。
「おはよう、陽希。」
振り返るとそこには、嫌味なほどのイケメンがこれでもかというほど爽やかな笑みを
浮かべている。これが他人であったならば心の中で1分間に100は呪詛を吐いてい
ただろうが、そうもいかない。
「おはようさん。今日もあいかわらずイケメンだな・・・・・・ちっ。」
「あはは。舌打ちとはひどいなぁ・・・
僕たち小さい頃からの付き合いじゃないか。」
そう、こいつの言う通り俺たちは俗に言う幼馴染というやつなのだ。
それだけじゃなく、俺は色々とコイツには助けられているから無下にはできない。
ま、それでもこいつ・・・
あぁ、言ってなかったけどこいつは和泉 奎。
スポーツ万能、成績超優秀。ルックスはさっきも言ったけどガチのイケメンで、
俺みたいなやつにも構ってくれるほど性格もいい。
けどこうも世の理不尽さを目の当たりにさせられると、いくら恩があっても舌打ち
くらいしないとやってられねぇから。
あ、ついでに俺な?
俺は朝倉 陽希。運動、成績、ルックスどれをとっても平凡な普通の学生である。
ただ、強いて言うならば交友関係が人とはちょっと違うことだろうか。
まぁそれは後々として、とりあえずは・・・
「教室いくか。」
まずは登校してしまうとしよう。
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奎と一緒に教室へ入る。
同時に俺は気配を薄めて自分の席へ向かう。自分でも少し悲しくなってくる行い
だが、保身の為には仕方ないのだ。
一体なぜかと言うと、そんなに重い話ではないのだが発端は小学校にまで遡る。
実は俺や奎は孤児院出身だった。小学校ころになって俺たちの代は徐々に引き取ら
れていき、俺もそのころ今の親元に来た。
で、俺を引き取った俺の母ちゃんは結婚していなかったんだ。所謂シングルマザー
だな。まあでも、生活自体は収入はかなりよかったみたいだし、母ちゃん普通にい
い人で俺は文句なんて一つもなかった。
だけど、学校のみんなは違った。
つい俺は口を滑らせて自分の家庭事情を友達だと思ってたやつに打ち明けて
しまった。
次の日にはクラス中にひろまっていた。
子供っつーのは残酷なもので、自分と少しでも違うものを徹底的に弾劾する。
例えば孤児院出身だとか、片親だとか・・・・・・・ね。
そんで俺は根暗になっちゃって、中学に入ると現実逃避するようにオタク趣味
にはまって。それがばれて、さらにいじめられて。
周りはみんな敵だらけだった。
でも高校に入ると一転とはいかないまでも、光明が差し込んだ。
そう、奎や他にも何人かの味方ができた。
同じ中学のやつらが高校でも俺をいじめようとしてきた。
そこを奎たちに助けられて、いまではいじめは全くなくなった。
でもいじめられたという事実は消えない。とてもじゃないが社交的には
振舞えないのでともだちは少ない。
あれ、ちょっと重くなっちゃったかな?
まぁつまりだ、一応改善したとは言え俺の根暗アンドオタクは治ってない。
それなのにこれ以上目立つのはあまりよろしくないだろう。
でもなー
一応は気を使ってみてるけど無駄だろ、これ・・・・・・
だって
「おはよ~、陽ちゃん」
「おっす、陽希!今日はいつもよりなんか元気めじゃね?」
幼馴染ズを筆頭に、俺にかまってくれる物好きたちスペック高すぎなんだもん!!
ーーーーーそこまで思いを巡らし終えた瞬間、突如として光に覆われたーーーーーー
ありがとうございました!