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第9話 スーパーエクスプレススシトレイン②

前回のあらすじ:

ギャルのお気には回転寿司。


◆◆◆


「ねこまた寿司!?」


「そ! ねこまた寿司!」


 鳥路さんの声の大きさにも動じずに会話を続ける賀集さん。多分心が強い。


「か、回転寿司の!? CMもやってる!? お皿十枚でサプライズポンできる!?」


「そうそう。あ! もしかして北海道になかった?」


「あるにはあったと思うけど……」


「えー? じゃあ行ったことない感じ?」


「い、行ったこと無い……ねこまた寿司は」


 やはり鳥路さんは普通にお高めの寿司屋に行くタイプの人。ファミリー層向けのイメージが強いねこまた寿司に行くと言う選択肢はほぼ無いはずだ。


「じゃ、今度の土日に一緒に行こうよ!」


「え!?」


 距離の詰め方が早すぎる! すごいぞ賀集さん!

 でも回転寿司に連れていかれることになりそうな鳥路さんがこれまでに見せたことがない複雑な表情になっている。友達に誘われて嬉しいけど回転寿司はちょっとみたいな……


「か、か、賀集さんは、寿司ネタ何が好き?」


 話題を変えた! 問題の先送り!


「マヨコーン!」


「寿司が……っ! ぐうううう!!」


 何か言いそうになった鳥路さんは自分で口を押さえながらおでこを机に強打する。

 鳥路さんのお弁当箱に入っていたいなり寿司がちょっとだけ宙を舞った。

 

「だ、大丈夫鳥路さん!?」


「大丈夫……ちょっと、ユニークなネタだったから……ほ、他には?」


「んー、カリフォルニアロールとか?」


「寿司がっ! 泣いて、んんんん!!」


 自分の頬を引っ叩いた鳥路さん。そんなに……

 

「ちょ、ちょっとぉ!? どうしたの急に!?」


 そりゃ賀集さんも心配するよ。


「はぁーっ……はぁーっ……寿司ネタに貴賤なし……そうよね?」


「え? あ、うん……」


 多分鳥路さんが自分に言い聞かせたのだろう独り言に賀集さんが返答してしまった。こ、これ以上鳥路さんに自傷させるのは見てられない。


「ねこまた寿司良いよね! 俺もたまに家族で行くことあるよ!」


「お、山本くん急にどしたん? 今日は一人? お昼一緒に食べる?」


「食べる食べる! ははは! お邪魔します!」

 

 鳥路さんの机に俺の机をくっつける。

 ……男子も女子もそんな目で俺を見るな! 俺だって百合の間に挟まる男になんてなりたくなかったんだ。それに賀集さんじゃなかったら「は? 山本きもっ」で終わりそうな流れだったし勇気ある行動だったと思うぞ!


「山本くんは寿司ネタ何好き? 鳥路さんと寿司の話題で盛り上がってたんよ」


 盛り上がってたか? いや、まぁ、そうかもしれない。


「俺はそうだなぁ……」


 鳥路さんの視線を感じる。ここで変わり種をピックしたら鳥路さんのビンタの矛先が俺の頬に変更される気がする。


「サーモン……とか?」


「わかるぅ! 美味しいよねぇサーモン!」


 賀集さんには同意を得られた。鳥路さんには……


「……」


 いかん。ゴミを見るような目で俺を見ている。サーモン駄目なの?


「あ、あと、あれ! しめ鯖!」


「渋いねぇ山本くん」


 渋くは無いと思うけど、賀集さん的にはそうらしい。


「しめ鯖は良い。保存食としての味付けながら鯖と酢の組み合わせが相性抜群。生の鯖も良いけど、私はしめ鯖の方が好き」

 

 急に饒舌になる鳥路さん。よし、うまく会話できたな。


「よーし! 土曜日にねこまた寿司行こう! 三人で! お寿司食べたくなっちゃった!」


「え!?」

「え!?」


「善は急げー。予約しとくねぇ。何時ぐらいが良い? やっぱお昼だよね」


 なぜ俺も行くことに!? 寿司トークに混ざりたくてこっちにきたと思われている!?

 鳥路さん……そんな目で俺を見ても俺にはどうしようもない。このまま行くしか無いのか? ねこまた寿司に? この挙動不審な鳥路さんと?

 ……いや、まだだ。最悪の事態を避けるためにここは一手打っておくべきだろう。




「あ、妹も連れて行っていい?」




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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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