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第26話 スシバトルクラブ②

前回のあらすじ:

スシバトル真実がちょっとわかった。鳥路さんはスッシーグッズ購入のため遅れて合流予定。


◆◆◆


「スシバトルの流行やスシバトル部の設立には金星かなぼしグループが大きく関わっているわ……二年の金星かなぼし瑠璃子るりこさん。二人ともよくご存知だと思うけど、彼女がこのスシバトルブームの火付け役ね」


「ああ……あのお嬢様っぽい人」

 

 金星グループ。色んなところで名前を目にする凄いグループ企業である。金星さんは名前の通り現当主の娘さんだ。


「ぽいっていうか本物のお嬢様だね。一年生の時同じクラスだったけど凄かったなぁ」

 

 賀集さんなら金星さんとも友達になっていそうだけど……どうなんだ? 俺はクラスが違ったから詳しくはないけど、遠目で見ても漫画やアニメのお嬢様といった感じで周囲の取り巻きも凄かった記憶がある。しかし、なぜ金星さんがスシバトルを? 金星グループは飲食関係はやってなかったと思うのだけど……

 司先生はホワイトボードに人物名や補足情報を書きながら話を続ける。


「金星さんはあくまで資金繰りや広報といった裏方がメイン。スシバトル部の中心にいる人物はあくまで部長の二年生の帯刀たてわきさえさんね。彼女が金星さんをスシバトルに巻き込んだと言われているわ」


 部長さん、帯刀って名前なのか。残念ながら一年生の時に面識はない。


「帯刀さんがどこでスシバトルを知ったかわからないけど……彼女が企てているのは寿司罵倒時代のならわしを利用した寿司屋の大将の締め出し。それも男性だけを狙ったもの」


 司先生は苦虫を噛み潰したような表情を見せる。

 男性の大将……それでスシバトル部の人達は男はどうこうイチャモンつけてたのか。


「あの、ならわしって何ですか?」


 賀集さんが手を挙げて質問する。


「敗者は勝者の言う事を一つ聞く、それが寿司罵倒の時からのならわしよ」


「なるほど。それで鳥路さんは勝った時に色々言ってるのか。サブリナさんの時は武装を解除させて寿司に専念させてましたね」


 司先生はホワイトボードに書くのを止めて俺と賀集さんの方に体を向ける。


「鳥路さんだからその程度で済んでるとも言えるわね。まぁ、根木さんとサブリナさんもお遊び感覚だから仮に勝っても過激な要求はしないでしょう……スシバトル部は違う。その店の経営を乗っ取るのが目的だから寿司屋の大将から寿司を奪うような残酷な要求ばかりよ」


 高校の部活でそこまで権力があるとは思えないけど、そこで出てくるのが金星さんか……成金寿司って鳥路さんにクレーム入れられるだけで済んだの相当幸運なのでは?


「どうして男性を狙うんですか? というか負けたからってまともに言うこと聞く必要無いと思うんですけど……」


 賀集さんが俺が聞きたいことを大体先に聞いてくれる。


「男が女に負ける事も逃げる事も一生の恥……もちろん昔の話よ。でも、寿司界隈では今も根強く残っている。スシバトラーに負ける寿司職人に寿司を握る権利は無い、そういう風潮がね」


 司先生は再びホワイトボードの方を向いて文字やら絵を描き込み始める。まるで俺達から表情を隠すように……


「時代錯誤の価値観。でも、それは覆せない事実。スシバトラーは寿司職人にあらず」

 

 江戸時代にスシバトラーって単語があったとは思えないんですけど……いつの時代の格言ですかそれ?


「……話が逸れたわね。とにかく帯刀さんは危険思想の持ち主、注意して接触すること。というか極力しないように!」


 ……帯刀さんは鳥路さんよりも実力が上だ。少なくとも寿司を握る速度に関しては。あの時の握りの速度や寿司の完成度は鳥路さんを間違いなく超えていた。


「スシバトラーとしての力量は計り知れないけど部長だから軽率にこちらにスシバトルを挑むようなことはしないはず。そういう意味で寿司同好会が直近一番警戒する必要がある人物は副部長の松風まつかぜ琴音ことねさんね……」


「琴音さんがスシバトル部に!? ど、どうして!?」


 賀集さんが驚く。先輩ということは三年生か。反応的に賀集さんは知り合いのようだけど……


「知っての通り名店も名店、あの松風鮨の親方の娘。文武両道、性格も穏やかで人望も厚い……スシバトラーになるような人間ではないと私も思っている。でも、その彼女が帯刀さんを部長として認めている……帯刀さんの実力は間違いなく高いでしょうね」


 ま、松風ってあの松風か! 有名すぎて全然ピンと来なかった!


「松風さんのスシバトラーとしての技量も不明だけど寿司を握る技術や寿司の知識は鳥路さんよりも上ね。今やりあったら擦り潰されかねない。松風さんとのスシバトルもしばらく避けるべきね」


 好戦的な人だったらやばかったかもしれない。穏やかな人って評価だし……いきなり襲ってこないよな?

 

 家庭科室の扉が開かれる音。振り向くとそこには鳥路さんと……背の高い女子生徒。誰?


「すみません遅れました。でも無事スッシーは買えた!」


 ふんすとスッシーキーホルダーを二つ見せつける鳥路さん。それを見て微笑む背の高い女子、多分俺よりも身長が高い。

 司先生と賀集さんは目を丸くして硬直している。何で? 背は高いけど凄く優しそうというか良い人そうな感じだけど……


「鳥路さん、後ろの人はその……知り合い?」


「スッシーショップでたまたま会って意気投合した友達! 寿司同好会に興味があるって言うから連れてきた!」


 鳥路さん嬉しそうだなぁ。趣味の合う友達が同じ学校だったなんて俺でも喜ぶ状況だ。しかも寿司同好会に興味があるなんて……ん?


「三年の松風琴音です。初めまして……はそこの男の子だけかな?」


 え


「今日は寿司同好会……いえ、鳥路さんにスシバトルを申し込みに来ました。よろしくお願い致します」


 ぺこりと頭を下げる松風先輩。


「……え!?」


 ワンテンポ遅れて鳥路さんが振り向きながら驚愕する。


 俺は驚きと混乱で声すら出なかった。

 今、一番相手にしちゃいけない人を鳥路さんが連れてきちゃった……

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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