第24話 フーイズスシオケマスク?⑦
前回のあらすじ:
寿司桶仮面の正体は担任の司先生だった。鳥路さんが頭を下げて顧問をお願いした。
◆◆◆
「……」
鳥路さんが頭を下げたまま沈黙が続く。司先生が寿司桶仮面だったことは一旦置いておいて……鳥路さんが寿司同好会を設立を本気で考えていたのは意外だった。賀集さんの思いつきに振り回されている側だと思っていたのだけど……思えば賀集さんが部員を三名で数えているときに鳥路さんはその事を否定したりしていなかったような。
「なぜ寿司同好会に拘るのかしら鳥路さん? スシバトル部は既にありますよ?」
鳥路さんは頭を上げ、真剣な眼差しで司先生の顔を見つめる。
「私はスシバトラーじゃない」
「鳥路さんが色々な場所でスシバトルをしている話……私が知らないとでも? スシバトルの才能があるならばスシバトル部に入るのが普通、そう思いませんか?」
司先生が俺と賀集さんに同意を求める。
俺も賀集さんも首を縦に振らなかった。賀集さんと目が合うと意思が疎通できたかのように二人で司先生の顔を向き直し、首を横に振った。
「……理解のある友達がいるようですね。ならば寿司同好会というリスクを背負わずとも青春は十分に堪能できるのでは?」
寿司同好会がリスク? どういうことだ? 他の先生が寿司と聞いて逃げ出した事と何か関係があるのか?
「私は……寿司が好きです。そのせいで前の学校では友達らしい友達がいませんでした。だから、こっちでは寿司が好きな事を隠して普通で居ようと思っていました……けど、スシバトルのせいで本性がすぐにバレてしまった。でも、賀集さんも山本くんもそんな私を、寿司が好きな私をそのまま受け入れてくれた」
鳥路さん……
「二人が誘ってくれた活動……私は実現したい! それに寿司は人を笑顔にするもの! スシバトルの道具じゃない! 私は寿司同好会で正しい寿司を守りたい!」
俺は巻き込まれた側なんだけど……でも、鳥路さんの気持ちを知った今、俺は寿司同好会を見捨てることができなくなった。
「俺も寿司については鳥路さんと同じ考えです。寿司は別にそこまで詳しくありませんが……鳥路さんの手伝いをしてあげたいんです」
「私はそこまで深く考えてなかったけど……とりっじと山ちゃんが本気なら私も全力でやりたいです! 寿司同好会!」
俺と賀集さんの言葉を聞いて目を瞑る司先生。
何かを諦めたかのように溜息をつくと、いつもの優しそうな司先生の表情に戻った。
「一応聞くけど……どうして私を顧問にしたいの?」
「先生は寿司というか料理に詳しい。私にヒントをくれた時に確信した、寿司同好会の顧問は司先生しかいない。あと……」
ポン酢を固形にするというヒントですぐジュレに辿り着く鳥路さんもすごいと思うが……まだ理由があるのか?
「司先生はスシバトルが嫌い。いや、スシバトラーのことが嫌いだと思った」
寿司桶仮面はスシバトルを止めた。そこに意味があるとするなら……鳥路さんの答えに結びつく可能性は高い。
「……そこまで気付かれているなら隠すだけ無駄ね。良いでしょう。寿司同好会の顧問は私が務めます」
やった! これで寿司同好会が成立する!
「ただし」
「ただし!?」
まさかの追加条件に驚いて俺だけ声が出てしまった。恥ずかしい。
「私の手伝いもして貰います……自ずとそうなってしまうと思いますが」
「司先生の手伝い、ですか?」
賀集さんが首を傾げる。
まさか寿司桶仮面になれとかじゃないよね? 自ずとなるものではないと信じたいけども……
鳥路さんは司先生が何を言うのか想像できているのか静かに司先生の次の言葉を待っている。
そして、司先生は俺達の目を見てからゆっくりと口を開いた。
「……三人にはスシバトル部を潰す手伝いをして貰うわ」
◇◇◇
フーイズスシオケマスク? おわり
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こちらの作品はカクヨムからの転載版です。




