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第16話 アメリカンシューティングスシ④

前回のあらすじ:

サブリナさんのファストドロウによる妨害で寿司を握れない鳥路さん。果たして勝機はあるのか……


◆◆◆


 深呼吸を終え、再びマグロを切り始める鳥路さん。

 これまでと同じ動きに見えるが、俺にもわかるぐらいに気迫に溢れている。

 サブリナさんもそれに気付いているのか、息を呑みながらホルスターに手を伸ばす。頼むから普通に寿司を握ってくれ。 


 鳥路さんが仕掛ける! 瞬きを許さないほどの速度でシャリとマグロが重なる!

 それを見たサブリナさんはホルスターの中のリボルバーを握る! 駄目だ! 妨害されてしまう! 

 鳥路さんがどんなに高速で寿司を握っていても、サブリナさんは確実に鳥路さんが妨害に耐えられないタイミングを狙って撃ってくる!

 

 鳥路さんは寿司を握る体勢を崩さない! このままでは……!


「なっ!?」


 鳥路さんはシャリとマグロを握った左手を頭に近い位置まで上げる!

 これまでと違う構え! 想定外の動作がサブリナさんのファストドロウを躊躇わせる!


「フッ!」


 鳥路さんは左手を振り下ろし、ピタリと腰の高さで止める!


「一手握り!?」

 

 眼鏡の女子が解説してくれた。ちゃんと名前がある握り方らしい。


「そ、そんなふざけた握り方で寿司が握れるはずがありまセーン! フェイクに決まってマース!」


 確かに鳥路さんは寿司を握るのに五回か六回ぐらい寿司を整える動作を取っていた。それをたった一回でというのは確かに無理がある。

 ……普通の女子高生だったらの話だ!


 鳥路さんが手を開くと、そこにはしっかりと整形されたマグロの寿司!

 サブリナさんが何回も整形した寿司よりも美しい形の寿司だ!

 湧き上がるギャラリー! 流石にこれは俺でもアガってくる!


「ば、バカな! ありえまセーン!?」


「喋っている暇なんてあるの?」


 鳥路さんは完成した寿司を寿司げたの上に置き、次の寿司に取り掛かる!

 左手で事前に切り分けていたマグロを手に取り、右手でシャリを取る!

 左手でマグロとシャリが合わさると同時に左手は握られ、再び頭の高さまで左手が上がる!


「フッ!」


 開かれた手には先程と同じように綺麗に握られたマグロの寿司! 早い!

 休む間もなく鳥路さんは三貫目に取り掛かる! 一貫30秒にも満たない早業! 本当に素人なのか鳥路さんは!? 


「大したスシソウルと感心しますが……既にその握り方は見切りましたネ!」


 サブリナさんは作りかけの二貫目を放棄してリボルバーに手を掛ける!

 確かに鳥路さんの一手握りは早いが、わずかに動きが止まるが瞬間はある。

 サブリナさんはそこを狙っているに違いない!

 

 鳥路さんの左手が頭の高さで止まる!


「イヤッ」


「はああああ!!!!」


 鳥路さんが空いている右手で箸の一本を苦無くないの如く投擲!

 サブリナさんのリボルバーの銃口に箸が突き刺さる!

 箸がリボルバーの薬莢の穴に刺さったことでリボルバーは機能停止! サブリナさんのファストドロウが不発に終わる!


「ホワット!?」


「二回も撃たれたらどのタイミングで仕掛けてくるかぐらい予測できる」


「あ、ありえない!! 無茶苦茶デース!!」


 相手の行動を予測したカウンター……本当にスシバトル素人なのか鳥路さん!?


「……早撃ち勝負は私の勝ちね」


「うぐううう!」


 今日一番の盛り上がりを見せるギャラリー!

 こ、これがスシバトル!


「す、すごいよ! 鳥路さん!」


「まだ勝負はついていない」

 

 鳥路さんは三貫目を完成させ、四貫目に着手する。 

 もうすでにサブリナさんと大差がついている。このままのペースでいけば差は更に大きくなるだろう。


「ハーッ!? ハーッ!? あ、ありえまセーン! ファ、ファストドロウでこの私がジャップに負けたというのですか!?」


「この後お前は寿司でも負ける。覚悟しろ」


「イイイイイック!?」

 

 鳥路さんから発せられる様々な形のプレッシャーでサブリナさんは悲鳴を上げる。

 リボルバーを封じられたサブリナさんはようやく真面目に寿司を握り始めるが、やはり遅い上にヘタクソだ。鳥路さんに追いつける気配は微塵も感じない。


「そこまで!」


 眼鏡の女子が制限時間の10分が終わりを告げる!

 両者の寿司げたに置かれた寿司の数……もはや真面目に数える必要もないだろう。


「サブリナ・フィッシャー、三貫! 鳥路英莉、十貫! よって勝者は鳥路英莉!」


 鳥路さんの圧勝だ!!

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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