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第13話 アメリカンシューティングスシ①

 回転寿司での食事会は思っていた以上に収穫が多かった。鳥路さんと賀集さんが仲良くなった他に、参加者の俺と妹の輝理かがりも二人と仲良くなれた気がしている。


「とりっじ、部活は決めた?」


「入るつもりはない」


 とりっじとは賀集さんが付けた鳥路さんのあだ名だ。小さい「つ」が入っただけなのにあだ名として完成度が高い。鳥路さんは相変わらず学校だと口数は少なく賀集さんに対しても一見塩対応に感じるが、表情を見る感じ嫌とかそういった感情は無さそうだ。


「えー? そしたら新しく作る感じ? 寿司部とか? 私手芸部だから掛け持ち全然いけるよ!」


「寿司部って何するの……」


 俺も鳥路さんと同意見だ。スシバトル部なら部活としてていを成しそうだけど……そもそもスシバトルって何だよ。鳥路さんも神奈川に来てからスシバトルに巻き込まれたと言っていたし、神奈川がおかしいだけなのかもしれない。神奈川に住んでいる俺と賀集さんが知らなかったのは謎だけど……とりあえず神奈川全域が洗脳されているとかでは無いようだ。

 今の所鳥路さんのスシバトルしか見ていないので、もしかすると彼女が特別スシバトル巻き込まれ体質なのかもしれない。


「山ちゃんは寿司部はどう思う?」


「え!? 俺!? そうだなぁ……」


 隣の席に座っていて暇そうだからって話を振らないでほしい。賀集さんも鳥路さんも感じていないだろうけど、二人の会話に混ざるとクラスからの目線が俺に集中するのだ。特に男子。

 賀集さんも鳥路さんもジャンルは違えど美少女に分類される。一方で俺は庶民の一般人。言いたい事はわかるが二人が大してその事を気にしていないんだから諦めてくれ。二年のクラス替えで全員が関係構築を様子見だったはずなのに、どうしてこう変な方向で団結してしまったのか……

 それより今は寿司部についてだった。


「人数的に同好会からスタートじゃない?」 

 

「じゃあ寿司同好会だ! 三人だと部にできないもんね」


 確か部員五名が部にできる条件の一つだったはず。他にも色々とルールはあったはずだけど……ん? 三人? 鳥路さんと賀集さんで二人だろ? 妹は中学だし、残ったの俺?


「待って!? 何で俺も入ってるの!?」


「先生に申請してくるね!」


「え!?」

「え!?」


 鳥路さんと同時に俺も声が出た。しかし、その声は賀集さんには届かず賀集さんは颯爽と教室から出て行ってしまった。行き先は恐らく職員室。行動力が高すぎる。


「……」


 何で止めなかった? みたいな目で睨まれても困るんですよ鳥路さん。

 男子共も俺に殺意に近い感情をぶつけてくるんじゃない。


「す、スシバトルだ! 家庭科室でスシバトルやってるぞ!」


 教室に駆け込んできた男子生徒の声を聞くと、俺と鳥路さん以外のクラスメイトが立ち上がる。


「マジかよ! 今年はどうなってるんだ!?」


「クレープ食いに行ってる場合じゃねぇ!」


 あっという間に全員教室から出ていき、残ったのは俺と鳥路さんだけに。

 ……鳥路さんがここにいるのにスシバトルが発生した? そうなると鳥路さんが原因で起きている現象とかではなく、普通に存在するってことかスシバトル……


「……俺達も見に行こうか」


 頷く鳥路さん。

 それにしても一体どこの誰がスシバトルをやっているんだ。



◇◇◇



「日本のスシバトル! 低レベルデース!」


「くっ……!」


 俺達が家庭科室に着いた頃にはスシバトルは決着がついていた。

 負けたのは根木さん、勝ったのは……金髪碧眼の外国人の女性。制服を着ているし、留学生とかかな? 一年生の時には見た事が無い人だ。

 

「一体どんなスシバトルを……ああ!?」


 家庭科室のテーブルの上にスシバトルの結果である寿司らしきものが二つの寿司げたに置かれていた。

 一つは一応寿司として体裁は整っているものの、鳥路さんの寿司と比べるのも烏滸おこがましいレベルの出来の寿司。

 もう一つはもはや寿司として成り立っておらず、崩れた酢飯の上に乗っけられた刺身といったもの。立ち位置的に根木さんが握ったものになるが……根木さんはもっと綺麗に寿司を握っていたはずだ。何が起きたんだ……?

 そんな酷い惨状を見てしまったことで鳥路さんは怒りで肩が震えている。

……流石の俺でもわかる。これは

 


「寿司が!! 泣いている!!」



 鳥路さんの怒号が飛ぶ。

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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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