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第12話 スーパーエクスプレススシトレイン⑤

前回のあらすじ:

ほとんどカリフォルニアロールのねこまたロールを見た鳥路さんは正気を保つために自分の腹を殴った。


◆◆◆


「うぐっ……」


 結構な力で自分の腹を殴ったらしく、少しうずくまる鳥路さん。


「ほ、本当に大丈夫?」


 隣の賀集さんは純粋に心配をしている。


「大丈夫……ゆ、ユニークなお寿司ね……頂くわ」


 鳥路さんが震えながらねこまたロールを口にする。目を閉じてゆっくりと味わっているようだ。


「……」


 寿司の定義……俺は酢飯とネタを使って一口サイズになっていれば寿司になるぐらいの認識しか持っていないが、鳥路さんはどう思っているのだろう? 鳥路さんは賀集さんに見えないようにうっすらと目を開いて周囲の様子を伺っている。


 周りのテーブルでは家族連れが楽しそうに食事をしていたり、若者が友人同士で談笑していたり、マダムの方々は会話に花を咲かせながら寿司を食べている。

 寿司は人を笑顔にする。鳥路さんの言っていた寿司の定義がそうなのであれば、鳥路さんの答えは既に出ているのだろう。


「……美味しい」


「でしょ! あとはとろたくもおすすめ!」


「それも頂こうかしら」


 鳥路さんはもっと気難しく頑固な人だと思っていたけど、想像よりも柔軟で思慮深い女性なのかもしれない。それでいて拘りも大事にしており、間違いを正す時は大人相手でも立ち向かえる。

 たかが寿司の話ではあるけども、かっこいいなと改めて思った。スシバトル中の鳥路さんもそうだが、生き様というか何というか……


「……そうだ。賀集さん、スシバトルって詳しい?」


「全然? この間の家庭科室のやつが初めてかな」


「……だよね!」


 学内にもまともな人間が居て良かった。鳥路さんも自分をスシバトラーじゃないと言っていたし、ここにいる人間はスシバトル被害者の集まりなのかもしれない。


「鳥路さんはスシバトルってどこまで詳しいの?」


「……さぁ。少なくとも北海道では無かった。こっちに来たらことあるごとに喧嘩を売られるようになって……」


 まるで神奈川が異常地域みたいな反応。やはりスシバトルは一般的なものじゃない。一度スシバトルの有識者を見つけてちゃんと話を聞いた方が良さそうだ。思いつくのは……解説の女の子だな。


『ご注文のお寿司が到着しました』


 輝理の頼んだラーメンとプリンが届いた。


「プリン!?」


 やはりそれに驚いた鳥路さん。


「プリンぐらい普通だって、ねぇ?」


「飯の途中でデザート食ってまた寿司に戻るのお前ぐらいしか知らん」


「お、お兄ちゃんの裏切り者!」


 俺はデザートは食後派だ。くすくすと笑う賀集さん。困惑しながらも妹の言葉を鵜呑みにしている鳥路さん。

 どうなる事かと心配だった回転寿司だったが、鳥路さんにとっても俺達にとっても有意義な時間を過ごすことができたと思う。


 サンキュー、ねこまた寿司。


 あと、サプライズポンは一回当たったが、ハズレの景品だった。許さないぞねこまた寿司。


◇◇◇

スーパーエクスプレススシトレイン おわり


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◇◇◇

こちらの作品はカクヨムからの転載版です。

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