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出会い

(ここはどこだろう……)

 霧に覆われてなにも見えない。くるぶしくらいの高さの水のある場所に、なぜか僕は立っていた。

 なんとなく夢の中だろうとわかるが、目が覚めそうもないのでただ歩き続けた。暑くも寒くもない、音も人の気配もない。なぜだか恐怖心はわかなかった。

 ひとしきり歩くと目の前に大きな影が現れた。僕の身長の何倍もあるそれは霧の向こうで蛇のようにゆらゆらと揺れていた。

 こちらに気付いたのかピタリと動きを止め、こちらに話しかけてききた。

「ようこそ我が友よ」

(我が友?初対面なのに?)

 それは僕のことを知っているようだった。

「今日この時をもって汝を我の使者とする。これを食べよ」

 どこからかカランと手のひらサイズの皿のようなものが僕の足元に飛んできた。それは海のような綺麗な碧色をしており、楕円形で少し透けていた。

「あの、これはなんですか?とても食べられそうにはないんですが――」

「これは我の鱗だ。……そういえば人間は小さいのだったな。ならこうしよう」

 投げられた鱗が宙に浮き謎の光を放つとまたたくまに小さくなり、人間でも食べられそうな飴玉サイズになった。

(この夢ファンタジーすぎるだろ……)

 いまさら断るのも気が引けたので僕は覚悟を決め、目をつむり一思いに飲み込む。すると、なにかが身体の中を駆け巡る感じがしたがすぐに治まった。

「これで完了だ。では、また会おう我が友よ」

「まっ、待ってください!あなたはいったい何者ですか――」

「我は――」

 大きな影が喋るのを遮るように強風が巻き起こる。強風と共に濃くなった霧に視界を奪われる。

目を開くと見知った天井がそこにあった。

(……なんか変な夢でもみてた気がするけど、なんだったんだろ)


「いってきいます」

 誰もいない家の玄関でひとり挨拶をし、僕は家を出た。

 だんだんと日が昇るのが遅くなり、まだ辺りは真っ暗闇に包まれていた。吹き荒れる冷たい風に抗いながら、海岸を目指した。

 去年の冬、母が交通事故で亡くなった。当時高校一年生だった僕にとって、思いがけない出来事だった。

 父はというと写真家をしており、よく家を空けていた。僕が小学生の時突然旅に出ると言い、それから一度も家には帰ってこなかった。今や生きているのかどうかも分からない。

母はそんな父のことを怒りも悲しみもしなかった。「あの人は気の向くままに生きてきたから」と、笑いながら言っていた。でも僕はそんな無責任な父のことが許せなかった。

 家族といえる唯一の存在だった母が亡くなったショックで僕は何もやる気が起きなくなってしまった。入ったばかりの高校も行けなくなり、今は気が向けば海岸へ行き、あとは家でなにをするわけでもなくボーっとして一日が終わる。そんな日々を過ごしている。

早朝の誰もいない海岸に着くと、ただひたすらに落ちているゴミを拾った。あらかた綺麗にした後、ひとり砂浜に座り込み海を眺めるのが日課になっていた。

「お前、今日もいるんだな」

 この海岸に通いだしてから、気づいた時には必ず蛇が現れるようになったのだ。碧い鱗に黒い斑点が散りばめられており、特徴的な模様なので毎回同じ蛇が現れているのだとすぐに分かった。

蛇なのに人懐っこい性格をしており、腕を上っていったり服のポケットに入り込んだりして自由に遊んでいる。爬虫類は苦手ではなかったのだが、思いのほか可愛く感じてしまっている自分に少し驚いた。

 ある日の早朝、いつものように蛇と遊んでいるとふと頭上に影がかかる。

「こんにちは、坊や」

 ぼろぼろの汚れたマントを身に纏い、フードを深く被り、何日も風呂に入っていないのか悪臭が漂ういかにも怪しげな人が覗き込んできた。

得体のしれない人物にどう反応すればいいか困っていると、その人はなにかに気付いたかのような反応をして、フードを脱いだ。

 ふわりと日の光のように輝く美しいブロンドの長髪が風になびく。肌は透き通るように白く、エメラルドグリーンの瞳が宝石のように輝いていた。

おとぎ話から出てきたかのような美しすぎる姿に、僕は呆然とする。

「すまない。驚かせてしまったようだね。私の名はシャロン。魔法使いをしている」

 華麗なお辞儀と共にゴールドに輝くイヤリングが揺れ、日の光が反射する。美しい所作がさらに、只者ではない雰囲気を漂わせる。

そんなシャロンの姿をまじまじと観察していると、首元の赤い石がついたチョーカーに目がいく。

よく見るとそこには喉仏があった。少し高めの声色に整った顔立ちに長髪から女性だと思い込んでいたが、どうやら違ったようだ。

(それにしても今どき、魔法使いって小学生でも信じないよ。何を言っているんだこの人は)

「お兄さんはどこの国の人ですか?僕になんの用ですか?」

「私はここではない違う世界から来たのだ。実はここに来た時大切なものを落として――」

 話し終える前に謎の男は倒れ込んでしまい、僕は慌てて男の体を支える。

 すると男の腹から豪快な音が鳴り響く。

 後から聞いた話だと、どうやら何日もまともな食事をしておらず、さらには寝不足で身体は限界だったようだ。





続きはまた後日投稿いたします!


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