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第五話 友達


僕らは廃墟と洞窟を巡っていった。何個目かの洞窟の入り口に着いた時奥からなんか物音がした。奥に進むと馬車の荷台があり、その中には泣いている子供たちが沢山いた。


「フィンさん、この中に妹はいない。」


 ロイはそう言う。僕らは急いでその内の一番大きい子の拘束を解いて色々聞いた。


「この洞窟の奥に化け物がいて、盗賊の人たちが私たちを奥に連れてって化け物に食べさせるんです。」


 彼女はそう言った。僕は何だか悪寒がした。



 僕らは三人で洞窟のさらに奥に進むことにした。進んでいると三人のガラの悪い男たちが現れた。


「何もんだおめーら」


 そう言って男の一人がこちらにナイフを向けてくる。ロイは


「こいつらだ。」


 とだけ言う。


「君達が攫った子供のお兄ちゃんとお節介な二人だよ。あの子達は解放させてもらった。」


 僕がそう言うと彼らは襲いかかってきた。


「フィン君、一人でやれますよね。」


 マジードさんにそう言われたからには一人でやるしかない。僕は彼らを死なないギリギリの攻撃で気絶させ、子供達に付けていた拘束具をつけた。


「二人とも急ぎましょう。」


 僕らは急いで洞窟の奥に進む。しばらく進むと洞窟の中とは思えないほど開けた空間に出た。少し歩いていると何かを踏んだ感触があった。それを見てみると、耳だった。周りを見渡すと骨や腕なんかも落ちている。僕らは遅かったんだ。もう何人か化物に食べられていた。多分ロイの妹も。ロイの方を見る。彼は顔をこちらに向けないが多分泣いている。彼も悟ったのだ。


 僕は化け物を探すため目を凝らし色んなところを見る。いた、上だ。あれはダンジョンにいたコウモリの魔獣だ。


「二人とも上。」


 僕がそう言うとロイは上を見上げる。だけどマジードさんは最初から気づいてたみたいだ。


「フィン君あれも一人でいけますか?」


 そう言って僕がいつも使ってる剣を僕に手渡す。


「頑張ってみます。ロイを安全なところに。」


「もちろんっすよ。」


 マジードさん達は数歩下がって魔法で結界みたいなものを作る。


 僕は兄さんみたいに壁を走ることなんてできない。だから、この前師匠に習った土の魔法で壁に足場を作りながら上っていく。同じぐらいの高さになったらコウモリに向かって跳ぶが距離が足りない。僕は右手に全力で力を込めて右手を最大限に肥大化させ、コウモリの体になんとか噛み付く。



 体をよじ登り背面に周り、翼を切り落としてやろうと思い。20回程切りつけてやっと翼をもぐことができた。これを素手で一瞬でちぎった兄さんやっぱ強すぎるな。そう思いながら落下するコウモリに掴まり。地面に落ちる寸前に風魔法で衝撃を軽減する。


 それから僕は全力で何度も何度もコウモリの心臓に届くように剣を突き刺す。数分が過ぎたころ、そのコウモリは絶命した。


「思ったよりやりますね。フィン君」


「ありがとうございます。ふぅー……疲れた」


 僕は腰を下ろす。ロイはハザから崩れ落ちたような姿で座り込んでいた。


「ロイ、そのなんて言うか…えっと、ごめんな」


 わからない、僕も何を謝りたいのかわからない。なんて言葉をかけるべきかわからない。それでもなんか言わなきゃ、いけないような気がした。


 ロイはしばらく何も返せる状態になかったが泣き止んでから


「フィンさんが謝ることは何もないですよ。その……こちらこそ、すみません」


 それからもしばらくは彼が泣き続けた。彼が泣き止んだ後、僕の提案で骨や死体を埋葬することにした。みんなを弔った後子供達の元に戻り、彼等を家族のもとに送り届けたり、ザイカの孤児院で面倒を見てもらうためにいろんな手続きをしたりマジードさんがしてくれた。


 その間僕はロイと話すことになった。


「ロイ、その君は帰らないのかい?」


「はい。僕は妹以外の家族も昔死んじゃいましたから。盗賊に殺されて。それからは妹と冒険者として日銭を稼いでいたんです。」


「その……ごめんね。」


 それから少し沈黙が続いたが僕は我慢ができず口を開く。


「その、許せないよなぁ。盗賊とか色んな、この世の悪意みたいなもんがロイから家族を奪って色んな真っ当に生きてる人を殺したりして。」


「そう…ですね。その、俺もそう思います。許せない。」


 また悲しいことを思い出させてしまったかもしれない。また少し沈黙が続いた後また僕は口を開く。


「あのね、ロイ。僕には夢があるんだ。」


「どんな夢でしょうか?」


「王様になるって言う夢。馬鹿げた話かもしれない。でも大英雄プレ・タゴニスみたいな前例もある。僕は王様になって君みたいな良い奴が悲しむ事のない世界を作りたいんだ。」


 僕がそう言うと。彼は


「良い夢ですね。」


 ニコッと笑う。無理をさせてしまったのかもしれない。でもその後も彼は口を開く。


「フィンさん、少しお話しいいですか。」


 そう聞いてきた。


「もちろん」


 僕は優しく答える。


「その…俺を迷わず助けようとしてくれて、魔獣を一人で倒して死んだ子供達を弔おうとして、そして貴方の夢を聞いて、その何と言うか貴方の強さに、その優しさに惚れました。」


 そんなに褒められると少し恥ずかしい。


「その…マジードさんと一緒に行動しているから、恐らく身分の高い人なんだと思いますけど、……その、貴方に仕えさせてくれませんか。」


 僕は顔を赤くして、涙目になりながらの彼の申し出に真摯に答える。


「僕の夢は王様になる事だ。でもその前に僕は冒険に出たいんだ。だから、冒険仲間から、友達からよろしくね。ロイ。」


 僕がそっと手を伸ばすと彼はその手を優しく握った。しばらくして、マジードさんが帰ってきた。僕はまだロイに自分の正体について話していなかったから、マジードさんに外に会話が出ないように結界を張ってもらいロイに正体を打ち明けた。だけど彼はそんなこと気にしないで僕に着いて行くと言ってくれた。


 それからマジードさんは僕を連れて先ほどのコウモリの魔獣の死骸がある場所へ向かった。


「何でまた戻ってきたんですか?」


 僕はマジードさんに聞く。


「このコウモリの魔獣スキルを持ってるみたいなんですよ。」


 マジードさんは指で丸を作りその穴からコウモリを覗くように見ていた。


「えっ本当ですか。」


 マジードさんは頷く


「反響定位って言う能力と闇夜の襲撃って言う能力っすね。」


 そうマジードさんは言う。


「どんな能力ですか」


「反響定位は闇夜でも超音波を出してその反響で物の位置とかがわかるようになる能力で闇夜の襲撃は夜とか暗い場所で不意打ちをするとバレにくくなるし、威力も上がる。そんな能力ですね。」


 そう言うと僕にそいつを食べるように促す。


「えーこれ食べたほうがいいんですかね。なんか気持ち悪い。」


 コウモリを手から食べる字面にすると本当に気持ち悪い。


「まぁーそう言うのは慣れです。一回食べてみるのがいいと思うよ。」


 どうしても僕に食べさせたいみたいだ。


「わかりましたよー」


 僕はそう言って右手をコウモリに伸ばし食べ始める。


 けど実際に口から食べてるわけじゃないからそこまで気持ち悪い訳でもなかったし。体の何倍ものコウモリもペロリと食べ終わることができた。


「マジードさん、何で盗賊達はコウモリに子供達を食べさせていたんでしょうか。」


 僕は聞いてみる。


「多分あの盗賊達と契約したんだろうねぇ。」


「契約?」


「まぁ呪いの一種みたいなものさ。多分コウモリは彼等を襲わない。その代わりに見返りを求めたんだろ。」


 僕は疑問に思い聞いてみる。


「そんなことできるんですか。」


「あぁ魔獣や魔物なんて物の中にはある程度の知能を持った奴もいるからね。」


 そんなこと知らなかった。


「そうですか。」


 これから僕が冒険に出るまでロイはどうするのか話しているとマジードさんが


「じゃあ私の家、と言っても二、三年使ってない家があるんだけどそこ使っても良いよ。」


「良いんですか。でも、悪いんでなんか仕事をさせてください。」


「だめだよ、しばらくは体と心を休めたほうがいいと思います。君のような少年が本来味わうことはないような悲しみをたくさん味わってるんですから。」


 マジードさんがそう言うと彼は泣きながら感謝を伝えた。


 僕のサバイバル訓練は1ヶ月後に延期になった。僕はそれから毎日ロイの元に通ったし、兄さんと一緒に遊びに行くようにもなった。僕の初めての友達兼部下とはこれからも長いこと付き合って行くことになる。そんな気がした。


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