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第四話 出会い

真第四話


 僕らがダンジョンを攻略した次の日の夜、突然王様に呼び出された。


「ハイドとは昨日のうちに仲直りしたみたいだね。ありがとね。」


 時折見せる王様の父の顔だ。


「いやいや、仲直りできたのはほとんど兄さんのおかげですよ。」


「そっか。」


 王様は僕の方を見て微笑む。それから何かを思い出したようで


「君が契約した悪魔の力教えてくれないか?」


 と僕の力について聞いてきた。



「いいですよ。」


 右手に何となく力を込めてみる。昨日のように肥大化して手のひらに大きな口が浮かび上がってきた。


「こんな感じ、これで攻撃したりこれで食べた死体の力を貰ったりできるって。」


「なるほど、中々良さそうな能力だね。少し気持ち悪いけど…」


 僕もそう思う。


 それからしばらく王様と話した後、王様が


「そうだ、君に見せたいものがあるんだった」


 そう言って異空間に手を突っ込み何か丸まったものを取り出した。王様はそれを足元に広げた。


「何ですか、コレ」


「魔法の絨毯だよ、ほらっ」


 そう言うと魔法の絨毯に座り、僕に手招きをした。僕が座ると


「行くよ」


 僕らは魔法の絨毯に乗って、夜の王都に飛び立った。王都は夜でも活気があって、人々の営みのそのエネルギーが感じられた。王都をぐるりと一周したその帰り道に


「フィン、どうだい僕の国は?」


「いい国だと思うよ。」


 王様は満更でもなさそうな表情を見せる。


「王様も兄さんも六将のみんなも良い人で、街の人たちはみんな今を楽しんでいて、未来に希望を抱いている。とっても良い国だと思うよ。僕はこの国が、……みんなが大好きだ。」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。僕はこの国のことを誰よりも愛しているからね。」


 そのまましばらく飛んだ後お城に戻った。絨毯から降りると


「フィン、君冒険に出たいんだって?」


「うん、どうして知ってるの?」


「僕、国中の声が聞けるんだ。それで君とハイドが話してるのが聞こえちゃってね。」


 やっぱすごいなこの人


「そうだよ、僕王様みたいに旅をして仲間を集めて、強くなってそして、僕も王様になりたいんだ。」


「どうして?」


 王様は僕に問いかける。

 

「僕は元々アルの所にいた。でも王様が彼女がたくさんの命を奪ったことを教えてくれて正しい道に僕を導いてくれた。だから僕も誰かを導けるようなすごい王様になりたいんだ。」


 本当に王様には感謝してる。


「そっか、何だか恥ずかしいな。」


 王様は頬を掻く


「君はピースと毎日訓練してるし、ダンジョンを攻略して悪魔の力も手に入れた。今の君はそこらの冒険者より遥かに強い。すぐにでも旅に出て良いよ。いつが良い?」


 いつ行くか選んで良いと言われると悩ましい。


「その…一歳の誕生日を迎えた後とかでも良いですか?誕生日祝われるのがどんなものか味わいたいので。」


「もちろん。じゃあ、後半年後が君の冒険の始まりに決まりだ。」


 こうして僕の旅立ちの日が決まった。


 それから僕はピースさんや兄さんと修行をして悪魔の力も使えるようになりどんどん強くなっていった。それから野営の仕方や狩りの仕方動物の捌き方、魔獣の素材の剥ぎ取り方などの冒険者に必要なことも教わった。三ヶ月ぐらいが過ぎた頃、師匠との訓練中にマジードさんがやってきた。


「おはようございます。フィン君」


「あっ、おはようございます。マジードさん、どうしたんですか?」


「あれっ、師匠から聞いてないの?」


 僕は師匠の方を見るが師匠は僕と目を合わせずに

 

「忘れていた。」


 とだけ言った。それを聞いてマジードさんは両手を使ってやれやれとした後


「今から君が冒険者としてやっていけるかどうかのテストをします。つまりサバイバルですよサバイバル。今から2日間ナイフ一本で乗り切ることができたらクリアって言う感じっす」


「なるほど」


 とは言うものの明日は兄さんと遊ぶ約束してたし早く言って欲しかった。そう思いながらチラッと師匠の方を見ると


「私だって悪いとは思っているよ」


 一切こっちを向かずにそう言ってきた。人の心でも読めんのこの人?


「あぁ、読めるよ。」


 衝撃のカミングアウト


「えぇ、マジっすか」


 もう半年近くの付き合いなのに初めて知った。


「それは言うタイミングが無かっただけだ。」


 そう言うけれど、今もそんなにいいタイミングだっただろうか。


「五月蝿い、さっさと行きな。」


 シッシッと手をブンブンさせる。マジードさんは笑いながら僕の方に近づいてきて、僕に触れてどこかにテレポートした。


「ここはどこですか?」


「ここは……ザイカの隣国のセレラインっすね。これから2日間この森で過ごしてもらうっす。ま、僕も一緒なんですけど」


「これから食料の確保とか火おこしとか寝床の確保とかを1人でやるって言う感じですか?」


「ま、だいたいそんな感じだね。私は君の手に負えない事が起きた時のためにいるお助けキャラみたいなものだよ。」


「わかりました。」


 それから僕は魔獣を狩ることにした。魔獣を狩って可食部を取り分けていると目の前に刃物を持った、銀髪で色白の痩せ細った青年が現れた。


「おい、お前この辺りで盗賊かそいつらが乗った馬車を見なかったか?それか、お前自身は盗賊か?」


 そう言ってその刃をこちらに向けてきた。


「見てないけど……どうしたの?」


「俺の妹が攫われたんだ。多分、奴隷商の仲間の盗賊に。」


 この世界の大国や先進国の多くはは奴隷制度を撤廃し、奴隷制度にま反対しているが、小国などでは未だに奴隷なんて制度があったりする。奴隷商ってのは盗賊などと結託し女子供を攫い売り物にするクズたちのことだ


「僕にも手伝わせてよ。」


 僕が彼にそう言うと


「よく言った。フィン君、彼を手伝ってあげましょう。」


 後ろからマジードさんの声がした。


「もし君が手伝うなんて言わずにそこの少年とバイバイしてたら怒ってたとこですよ。」


 マジードさんはやるぅって言って僕の脇腹を小突く


「やめてくださいよマジードさん」


 僕がそう言うと彼は少し驚いて


「マジードってザイカの六将のマジードさんですか!?」


「そうっすよ。よく知ってますねぇ。君名前は?」


 マジードさんがそう聞くと。


「僕はロイです。」


「僕はフィンよろしくねロイ。」


 僕が手を伸ばすと彼もそれに応じ僕の手を握った。


「その、ありがとう2人とも」


 彼のその言葉はきっと心からのものだった。


「妹さんが連れ去られたのはいつ?」


 僕がそう聞くと


「多分1時間ぐらい前だと思う。ごめん、しばらく気絶してたから分からないんだ。」


「気絶って盗賊にやられたのかい?」


「あぁ。盗賊に心臓を貫かれてもうダメだって思ったんだけどなんか生きてたんだ。」


 彼がそう言うとマジードさんが


「ちょっと見せてください。」


 そう言って彼の服を脱がせ心臓の付近をマジマジと見る


「うん、ちゃんと貫かれてる。多分、君は死の淵でスキルに目覚めたんですよ。」


「傷を癒す能力ですか?」


 僕がマジードさんに聞いてみる。


「ちょっと違います、見ててください。」


 そう言って彼女は左手をしっかりと伸ばし右手で腰に刺した剣を抜き左腕を切り落とす。だけど1秒もしないうちに傷口が塞がりニョキニョキと腕が元通りになった。彼女はその左腕で切り落とした腕を拾って投げて遊びながら僕らに説明する。


「僕のこれは超再生能力。切り落とした右腕をくっ付けたり新たに作り出すような回復魔法とは違って、傷口が元の形に戻ろうとする力が何倍にも何十倍にもなってるそんな能力さ。多分ロイ君のも似たようなもんだろ。」


「…そうですか」


 ロイは自分の心臓のあたりを見ながら押さえる。


「ま、そんなこと今はどうでもいいね。フィン君、問題です。盗賊が隠れたり拠点にしそうな場所はどんなとこですか?」


「廃墟とか洞窟とか人の目にあんまりつかないところ?」


「正解です。では、盗賊が隠れそうな場所を見つけるためには何処から見た方がいいですか?」


「空から?」


「正解です。フィン君高いところは嫌いですか?」


 そう言うと彼女は両手を広げてこっちにおいでと手招きする。


「ま、まさか……」


 この人、僕を空に放り投げるつもりじゃ


「そのまさかです。」


 そう言うと僕の背後に瞬間移動し僕を抱き抱える。


「無理無理、僕高所恐怖症ーーーーーーーーー」


 僕が言い終わる前に投げやがった。


「よーく見てくださいねーー。ちゃんと受け止めますからー。」


 下からそう聞こえる。


 高所恐怖症なのは本当なのに……下を見るだけで怖い。マジ無理目ぇ開けらんない。あぁもうこれ以上あがんない最高到達点っぽいなそう思い目を開けてみると、二人が本当に点にしか見えない。地面が意味わかんないぐらい遠い。本当に怖い。でもちゃんと見なきゃもう一回飛ばされるかもしれない。そう思い頑張って見渡して見た。この周りには隠れられそうな廃墟らしきものが二つと洞窟が3つあった。落ちていく僕はそれだけ見つけ後は怖いから目を瞑った。着地はマジードさんに任せた。急降下していく中で何かに包まれたような感覚になり、僕の降下も止まった。


「やっ、お疲れ様。よく頑張ったねフィン。」


 そう言って僕の頭を撫でる。


「半分強制だったじゃないすか。それに高所恐怖症は本当なんすよー」


 僕は泣きながら言う。


「ハハっ、ごめんごめん」


 なんか笑ってるんだけどこの人。


「それで何か見えたかい?」


 僕は見えたものを全て二人に伝えた。マジードさんは地図を何処からか取り出して、その大まかな場所を書き出した。そして


「ロイ君ちょっとおいで」


 と手招きし、ロイをお姫様抱っこして


「よしっ、フィン君全力で行くよ。」


 そう言うと一つ目の目的地に向けて走り始めた。


「はいっ!」


 僕は元気よく返事したが、ロイ君は顔を赤くしていた。


 

ロイ(13)身長151体重45

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