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Sounding Dreams - 再び巡り逢う音 -  作者: 蒼月 美海
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第90奏:予選の幕開け

 予選当日。

 四人は、ライブハウス『RESONANCE』の前に集合していた。


「……ついに、来たね」


 綾乃が静かに呟くと、三人は緊張した面持ちで頷いた。

 会場の前には、すでに多くのバンドが集まっている。

 楽器ケースを抱えた若者たちが、次々と会場に入っていく。


「すごい……こんなにたくさんのバンドが……」


 イヴが圧倒されたように呟く。


「わたくしたちも、参りましょう」


 雅の言葉に、四人はライブハウスの中へと入っていった。

 受付を済ませると、スタッフが楽屋へと案内してくれる。

 廊下を歩いていると、どこからか楽器の音が聞こえてきた。

 リハーサルをしているバンドの音だ。

 その音は、どれも実力のあるバンドだと感じさせるものだった。


「……レベル、高いね」


 綾乃が小さく呟くと、イヴも緊張した表情で頷いた。

 案内された楽屋に入ると、四人は楽器の準備を始めた。

 綾乃はベースのチューニングを確認し、イヴはギターの弦を調整する。

 琴音は持参したキーボードの電源を入れ、雅はドラムスティックを握りしめていた。


「すごい、本当にたくさんのバンドが来てる……」


 イヴが不安そうに呟くと、琴音も俯いてしまう。


「大丈夫……かな……私たち……」


 雅は冷静を装っているが、その手は微かに震えていた。


「大丈夫」


 綾乃が静かに言うと、三人が顔を向けた。


「私たちは、ここまで一緒に来たんだから。自分たちの音楽を信じよう」


 綾乃の言葉に、三人は少しだけ落ち着きを取り戻した。


「そうだね……! 私たち、頑張ってきたもんね!」


 イヴが拳を握りしめると、楽屋のドアがノックされた。


「はい」


 綾乃が答えると、ドアが開き、一人の少女が顔を覗かせた。


「やっぱり、綾乃ちゃんたちだ」


 その声に、四人は驚いて顔を上げた。


「響さん!?」


 そこに立っていたのは、『Luminous』のギタリスト、倉本響だった。


「久しぶり。予選、頑張ってね」


 響は優しく微笑むと、楽屋の中に入ってきた。


「響さんも、出場するんですか?」


 琴音が尋ねると、響は静かに頷いた。


「うん。これで三回目の出場なんだ」


「三回目……!?」


 イヴが驚いたように声を上げる。


「そんなに出場してるんですか……?」


「うん。一年生の時から、毎年出場してる。今年は高校三年生だから……」


 響は一度言葉を切ると、真剣な表情で続けた。


「高校生活では、これが最後のチャンスなんだ。来年からは大学生として新人枠に出ることになるから、高校生活最後の年に、どうしても本戦出場を決めたいんだ」


 響の言葉に、四人は言葉を失った。

 高校三年生。

 高校生活最後の年。

 響にとって、今回の予選には特別な意味があるのだ。


「響さん……」


 綾乃が言葉を失っていると、響は笑顔を見せた。


「でもね、今年こそは絶対に本戦に行くつもりだよ。だから、綾乃ちゃんたちも本気で来てね」


 響の真剣な眼差しに、綾乃は静かに頷いた。


「……はい。私たちも、全力で臨みます」


「楽しみにしてる」


 響はそう言って、楽屋を出て行った。

 ドアが閉まると、四人は顔を見合わせた。


「……三回目の出場、か」


 綾乃が呟くと、イヴも真剣な表情で頷いた。


「響さん、本気なんだね……」


「わたくしたちも、負けていられませんわね」


 雅が静かに言うと、琴音も決意を込めて頷いた。


「うん……!  頑張りましょう……!」


 その時、スタッフが楽屋に顔を出した。


「『Aura・Notes』さん、リハーサルの時間です」


「はい!」


 四人は楽器を持ち、スタッフの後について廊下を進んだ。

 やがて、ステージの袖に到着する。

 スタッフが「どうぞ」と促すと、四人はステージへと上がった。

 客席には、まだ観客はいない。

 しかし、審査員席には、数人の審査員が座っている。

 その中には、オーナーの白石恵美の姿もあった。


「それでは、音響チェックを兼ねて、軽く演奏してみてください」


 スタッフの言葉に、四人は楽器を構えた。

 琴音のキーボードが優しいメロディーを奏で、綾乃のベースが土台を支える。

 雅のドラムが力強くリズムを刻み、イヴのギターと歌声が重なっていく。

 リハーサルとはいえ、四人の音は本番さながらの迫力を持っていた。

 演奏が終わると、審査員席から拍手が聞こえてきた。

 恵美が、静かに微笑んでいる。


「ありがとうございました。本番、頑張ってください」


 スタッフの言葉に、四人はステージを降りた。

 楽屋に戻ると、四人は本番まで待機することになった。

 廊下からは、他のバンドの演奏が聞こえてくる。

 どのバンドも、レベルが高い。

 それを聴くたびに、四人の緊張は高まっていく。


「……すごいね、どのバンドも」


 イヴが不安そうに呟くと、綾乃が彼女の肩を叩いた。


「大丈夫。私たちの音楽も、負けてないよ」


 その時、楽屋のドアがノックされた。


「はい」


 綾乃が答えると、ドアが開き、白石恵美が顔を覗かせた。


「オーナー……!」


 四人は驚いて立ち上がった。


「準備はできてる?」


 恵美は優しく微笑みながら尋ねた。


「はい……!」


 四人は力強く答える。


「良かったわ。あなたたちのリハーサル、とても良かった。本番も、その調子で頑張りなさい」


 恵美はそう言って、四人を見渡した。


「あなたたちの音楽を、楽しみにしているわ」


 その言葉に、四人は胸が熱くなるのを感じた。


「ありがとうございます……!」


 恵美は静かに微笑むと、楽屋を出て行った。

 四人は顔を見合わせ、静かに頷き合う。

 そして時間が過ぎ、やがてスタッフが楽屋に顔を出した。


「次は、『Aura・Notes』の出番です」


 その言葉に、四人は立ち上がった。

 楽器を持ち、廊下を進む。

 心臓が激しく鳴っている。

 でも、それは恐怖ではなく、期待と興奮だ。

 ステージ袖に到着すると、観客のざわめきが聞こえてきた。

 会場は、すでに多くの観客で埋まっている。

 四人は顔を見合わせた。


「……行こう」


 綾乃の言葉に、三人は力強く頷いた。

 そして四人は、ステージへと向かうのであった。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

よければブックマークとご感想、お待ちしております。


毎日午後5時30分に更新しております。

次回の更新は、第91奏:響き渡る音色、1月15日午後5時30分です。


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