第79奏:再訪のプレリュード
翌日の放課後。
綾乃、イヴ、琴音の三人は、校門で雅と待ち合わせをしていた。
「お待たせしましたわ」
そして雅が現れると、四人は並んで歩き始めた。
「それで、今日はどこに行くの?」
イヴが尋ねると、雅は静かに答える。
「ライブハウス『RESONANCE』ですわ」
「『RESONANCE』!?」
三人は驚きの声を上げ、互いの顔を見合わせた。
「ええ。GSGの予選に出場するには、会場となる『RESONANCE』のオーナーの許可が必要ですの。ですから、まずはオーナーに相談をしに行こうと思いまして」
雅の言葉に、綾乃は少し緊張した面持ちになる。
雅が以前いたバンドの解散ライブで『RESONANCE』に行った以来、あそこには足を踏み入れていない。
それはオーナーの白石恵美に、綾乃たにの音楽がまだ認められていないからだ。
「……大丈夫かな」
綾乃が不安そうに呟くと、イヴが彼女の肩を叩いた。
「大丈夫だよ! 私たち、文化祭で成功させたんだから!」
「うん……! 私たちの音楽、きっとオーナーさんにも届くはずだよ……!」
琴音も力強く頷く。
そして三人の励ましに、綾乃は少し笑顔を取り戻した。
「……うん、そうだね」
四人は並んで歩き続け、やがてライブハウス『RESONANCE』の前に到着した。
重厚な扉の前に立つ四人。
「……行こう」
綾乃がそう言って、扉を開けた。
中に入ると、カウンターの奥に見覚えのある二人の姿があった。
一人は店長の神崎凛、そしてもう一人は――
「あら、久しぶりね」
オーナーの白石恵美だった。
「オーナー……」
綾乃は緊張しながらも、一歩前に踏み出す。
「あの、今日は相談があって来ました」
「相談?」
恵美は興味深そうに首を傾げた。
「はい。GSG、『Grand Sound Genesis』の予選に出場したいんです」
綾乃の言葉に、恵美の表情が変わった。
「……GSGの予選。あなたたち、本気なの?」
恵美の真剣な眼差しに、四人は静かに頷く。
「はい。私たち『Aura・Notes』は、GSGに挑戦したいんです」
綾乃がそう言うと、恵美は少し考える仕草を見せた。
「GSGの予選は、ここ『RESONANCE』で行われる。つまり、私が審査員の一人ということになるわね」
「はい……」
「でもね」
恵美は四人の目をまっすぐに見つめた。
「あの日、私はあなたたちに言ったわよね。嘘偽りのない音楽を奏でられるようになったら、またここに戻ってきなさいって」
その言葉に、綾乃は唇を噛みしめる。
「……私たちは、変わりました。あの日から、ずっと練習を重ねて、文化祭でも成功させました。そして……」
綾乃は一度言葉を区切ると、三人の顔を見渡した。
「四人で、最高の音楽を創り上げてきました」
綾乃の言葉に、恵美は静かに微笑んだ。
「……そう。それなら、その音楽を私に聴かせてちょうだい」
「えっ……?」
「今すぐ、ここで演奏しなさい。あなたたちの音楽が本物なら、私は予選への出場を認めるわ」
恵美の言葉に、四人は顔を見合わせた。
「わかりました……!」
綾乃は力強く答えると、三人に向き直る。
「行こう、みんな」
「うん!!」
そして四人は、ステージへと向かうのであった。
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