第75奏:文化祭当日
文化祭当日。
ステージ裏は、教師や生徒が行き交い、いつもと違う空気に包まれていた。
そして大勢の学生たちが、ステージを一直線に注目している。
先程までダンスグループが発表しており、それが終わって、今は自分たちが使う機材などの準備をしてくれていた。
次は自分たちの番。
いつものライブステージとは違い、今回は友達や知っている教師などがたくさんいる。
そんな中、綾乃、イヴ、琴音の三人は緊張を隠せないでいた。
しかし、雅は静かにドラムスティックを握り、三人に声をかける。
「皆様、緊張なさっていますわね」
雅の言葉に、三人は小さく頷いた。
「わたくしは、今まで完璧を求められて育ちました。ですが、完璧ではないからこそ、心を込めて音楽を奏でられるのだと、貴女方から学べました」
雅はそう言って、三人の目をまっすぐに見つめる。
「わたくしたちは、完璧な音楽を奏でる必要はございません。ただ、わたくしたちだけの、最高の音楽を奏でれば良いのですわ」
その言葉に、三人の緊張は少しずつほぐれていくのがわかる。
三人の顔から先程までの緊張した顔とは違い、笑顔が徐々に戻ってきていたのだ。
「うん、そうだね」
そして綾乃は、雅の言葉に応えるように力強く頷く。
「雅さん……ありがとう」
琴音も続くように感極まった様子で言う。
「準備終わりました、ステージに向かってください!」
その時、機材の準備が終わり、教師や生徒がステージ上から離れ、舞台袖へと向かう。
「よし! いこう!」
イヴは最後に自分の頬を軽く叩き、気合いを入れた声で三人に呼びかけた。
この言葉に応えるように、三人は頷き、そしてステージへと向かう。
いよいよライブが始まる。
初めて揃った四人のハーモニーが、文化祭の空に響き渡ろうとしているのであった。
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次回の更新は、第76奏:最高のライブ、12月30日火曜日午後5時30分です。




