第69奏:琴音の決意
雅を迎え入れた最初の練習は、迷走中であった新曲に新たな風を迎える最高の形で終えることができた。
練習後、琴音は雅に心からの感謝を伝える。
「雅さん……本当に、ありがとうございます。この未完成な曲を、あんな風にしてくれて……」
「どういたしまして。貴女が作った音楽は、わたくしの魂を揺さぶるほどに美しい音色ですわ」
雅は琴音の言葉に静かに答えた。
琴音も今日の練習を経て、雅とのセッションを行い、迷いが吹っ切れたことを話す。
「最近、完璧な曲を作らなきゃって……ずっと考えてたんです。でも、雅さんが私の未完成な曲を聴いて、あんな風に音を重ねてくれて……」
そして琴音はまっすぐな瞳で雅を見つめた。
「……完璧じゃなくても、誰かの真似じゃなくても、私にしか作れない音楽があるんだって、わかりました。それをもっと追求していきたいんです」
その言葉に雅は満足そうに頷く。
「わたくしは、あなたが、心のままに音を奏でるのを、心から楽しみにしておりますわ」
そうして四人での初練習を終え、文化祭ライブに向けて、具体的な準備が始まりだした。
「雅さん、本番はドラムの機材……どうしますか?」
綾乃がふとした疑問を雅に問いかけると、雅は首を傾げながら答える。
「でしたら、わたくしのドラムセットは、そちらにお持ちしましょうか? それとも、貸し出しとかあるのですか……?」
雅の答えに、三人は顔を見合わせてしまう。
そして新たなメンバーを迎え、綾乃たちのバンドは文化祭ライブに向けて、確かな一歩を踏み出したのである。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
よければブックマークとご感想、お待ちしております。
毎日午後5時30分に更新しております。
次回の更新は、第70奏:雅の提案、12月24日水曜日午後5時30分です。




