第66奏:雅の告白
「わたくしを貴女方のバンドに、正式に加入させていただきますわ」
雅の言葉に、綾乃は目から嬉し涙が浮かぶ。
綾乃は雅のドラムに圧倒されながらも、充実感に満ちた表情で雅を見つめていた。
すると、雅は目を瞑り、ゆっくりと自身の過去について話し始める。
「……わたくしは、九条家として、常に完璧を求められてきました。ピアノ、ヴァイオリン、乗馬、お習字…すべて、完璧にこなさなければいけませんでしたの」
そう言って、手に持っていたドラムスティックを強く握りしめた。
「……ドラムはわたくしにとって、唯一、完璧を求められない場所でした。ただ、自分の心のままに、音を叩きつけることができる場所……」
しかし、その唯一の居場所もいつしか九条家の跡継ぎとしての重圧に押しつぶされそうになっていたという。
「……そんなとき、貴女がわたくしのことを見つけてくれた。そして貴女がわたくしの消えかけていた火を、もう一度燃え上がらせてくれました」
そして雅は綾乃の目をまっすぐに見つめ、そう告白した。
その言葉に、綾乃の胸は熱くなるのを感じる。
すると、意を決したように雅は答えた。
「わたくしを貴女方のバンドに、ドラムとして正式に加入させていただけませんでしょうか」
雅ははっきりと言葉にした。
そうして二人の間に、確かな絆が芽生えた瞬間だった。
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